AICWは、オーストラリア政府のCTD計画(Capability and Technology Demonstrator)で開発された、試作型の次世代歩兵銃の名称である。同国政府の機関・DSTO(Defence Science and Technology Organisation)と、民間企業のメタルストーム社及びテニックス・ディフェンス・システムズの技術提携で開発された。基本コンセプトは5.56mmライフル/40mmグレネードランチャー/多目的光学サイト搭載の複合火器であり、アメリカが行ったOICW計画との類似点が見られる。
ライフル部分はF88(オーストラリアでライセンス生産されているAUG)がベースで、ランチャー部分はメタルストーム社の技術を採用している。通常、M203のようなアンダーバレルタイプのランチャーでは、ライフルとランチャーでトリガーの位置が異なり、グリップを握り替える手間が生じてしまう。また単発式ランチャーではリロードに時間がかかる。AICWに要求されたのは、グリップを握り替える事なくライフルとランチャーが操作でき、複数の弾が装填できることだった。ライフル上部にランチャーを載せ、“セーフ/ライフル/ランチャー”の切り替えセレクターを設けている点では、OICWとあまり違いは無い。
AICWの最も特徴的な点はランチャー部分にある。OICWでは弾の装填には箱型弾倉を使用していたが、これではサイズがかさばり余計に重くなってしまう。そこで採用されたのが、メタルストーム社が開発した“3ショット・グレネードランチャー(3GL)”である。これは一見するとシングルショットランチャーに見えるが、実は砲身内に3発の弾体をまとめて装填しており(1発目の後ろに、2、3発目が並ぶ)、最前弾から一発ずつ発射できる*1という独特な構造を持つ。撃発は、バットストック?内部に組み込まれた電子制御式点火装置で行う。また、弾薬自体はケースレス仕様なので、排莢も行わない。
レシーバー上部には多目的光学サイトが搭載されている。試作型「AICW VX3」では、ITL製Viperサイト(レーザーレンジファインダーとデジタルコンパス内蔵)や、Vinghog製FCS(射撃制御装置)を装着して射撃テストを行っていた。
AICWの開発はフェーズ3まで進み、2005年には実弾使用のトライアルが実施されている。オーストラリア国防省の計画では、2010〜2012年にかけて同国の国防軍にAICWシステムを導入するという(現在の動向は不明)。
全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 発射形式 | 製造国 |
738mm | 6.48kg(非装填時) 7.85kg(装填時) 9.9kg(多目的光学サイト装着時) | 5.56mm×45 | 30 | S/F | オーストラリア |
40mm | 3 | S |
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