・ストーリー
アメリカ戦略空軍基地の司令官ジャック・リッパー将軍は精神に異常をきたし、指揮下のB-52爆撃機の34機にソ連への核攻撃(R作戦)を命令したまま基地に立て篭もった。巻き込まれた英国空軍のマンドレイク大佐は将軍の閉じこもる執務室から出られなくなる。
アメリカ政府首脳部(大統領、軍高官、異常な性格の科学者など)は、会議室にソ連大使を呼んで対策を協議する。ソ連首脳とのホットラインで、ソ連は攻撃を受けた場合、報復として地球上の全生物を放射性降下物で絶滅させる爆弾を自動的に使用することが判明する(この爆弾はドゥームズデイ・デバイス、「皆殺し」装置と呼ばれている)。密かにこのようなものを配備したことを非難するアメリカ側に、ソ連側は「近日公表する予定だった」と悪びれない。
この不毛な協議が続いている間にも爆撃機は進撃を続け、やがて事態は破滅的な結末へと突き進んでいく――。
・解説
1962年の「キューバ危機」など、深刻な東西冷戦、米ソ対立を背景に、「偶発核戦争」の恐怖を描いた、S・キューブリック監督の代表作。同時期に同テーマを描いた作品としては、他に『未知への飛行/フェイル・セイフ(原題;FAIL-SAFE)』などがあるが、緊張感に満ちた展開の『未知への――』とは裏腹に、こちらはとことんブラック・コメディ調。深刻な事態に右往左往するだけの無能な政権中枢、旧ナチスドイツ生き残りのマッド・サイエンティスト、Dr.ストレンジラヴ*1の珍妙な風体・言動、クライマックスシーンの「水爆ロデオ」、エンディング・テーマ『また会いましょう』の脳天気な歌詞など、全編が黒い笑いに満ちている。
(冒頭にとってつけたように挿入された、アメリカ空軍による「映画はフィクションであり、現実には起こりえない」との断り書きすら、ある意味失笑を買う)
その一方で、後述のB-52の内部構造など、真に迫った(シャレにならない)描写も少なくない。本作の制作当時には未開発だったが、後に旧ソ連で、作中の「皆殺し装置」を連想させる自動報復システム「Dead Hand(使者の手)」が、1984年から稼働していると確認されている。
一説には、事の発端リッパー将軍の「ガイキチ」ぶりも、専門の精神科医の目から見て「違和感がないレベル」だとか。
・予備知識
・爆撃機のそれぞれには第二次世界大戦で使用された全爆弾・砲弾の16倍の破壊力がある核兵器が搭載されている。
・爆撃機の一般通信回路は敵の謀略電波に惑わされないためにCRM114とよばれる特殊暗号装置に接続されていて、この装置は通信をまったく受け付けない。そのため爆撃機を引き返させることは不可能である。
・例外として三文字の暗号を送信することによってこの装置を解除できる。その暗号はリッパー将軍しか知らない。
・核攻撃仕様のB-52内部構造はアメリカ空軍の機密で、全く協力が得られなかった。細部まで造り込みがされているが、これは美術監督ピーター・マートンの創作である。マートンは、メル・ハンター著『Strategic Air Command』を底本にしながら合法範囲で可能な限りB-52のインテリアを調べ上げた。苦心の創作が結果として実機とあまりにも一致していたため、美術チームはFBIの捜査対象とされたほどであったという。
・ラストはヴェラ・リンがうたう第二次世界大戦時代の流行歌『また会いましょう』の甘いメロディが流れる中、核爆発の映像が繰り返し流され、核戦争を暗示させるシーンで終わる。
・当サイトのリンクからはその長すぎるタイトルのため「博士の異常な愛情」の省略形で表記する
使用者 | 銃器名 | 備考 |
ジャック・D・リッパー将軍(アメリカ空軍) | M1911 | 机の上においているだけ |
M1919A4 | 窓の外にいる陸軍第23空挺師団にむけて発砲 三脚は無し 故に銃身を素手で握りながら発砲 | |
ライオネル・マンドレイク大佐(イギリス空軍) | M1919A4 | リッパー将軍の射撃補助 |
T・J・キングコング少佐(アメリカ空軍) 及びB-52搭乗員 | M1911 | 遭難キットの中に入っていた |
バープルソン空軍基地守備隊 | M1919A4 | 陸軍第23空挺師団にむけて発砲 |
短機関銃/GM M3 | 陸軍第23空挺師団にむけて発砲 | |
バット・グアノ大佐(アメリカ陸軍) | M1 カービン | ドアノブや自販機の破壊に使用 |
US MkII手榴弾 | − | |
アメリカ陸軍第23空挺師団 | 短機関銃/GM M3 | − |
M1919A4 | − | |
M1 ガーランド | − | |
M1A1 カービン | − |
最新の10件を表示しています。 コメントページを参照