弾倉を備えず、一回の発射ごとに手動で弾丸を薬室に装填する銃、またはその構造のこと。連発機構が普及した20世紀以降でも、ライヒトピストーレや、トンプソン/センターのコンテンダーのような、次弾の装填を素早く行うシリアスな理由のない、競技銃、狩猟銃、信号銃などで見られる。
シングルショットの銃は、排莢や次弾装填のためのメカニズムを排することから、構造が単純で、安価かつ頑丈にできるという利点がある。このため、過去には、第二次世界大戦時にドイツやソ連が使用した対戦車ライフルのような非常に強力な弾丸を扱うライフルで採用された。しかし、シンプルすぎて衝撃を抑制するような機能に乏しく、撃つたびに肩を痛めてしまい右肩・左肩の計2発しか撃てない「2ショットライフル(ツヴァイ・シュッツ・ゲベール)」などと揶喩された。現在の対物狙撃銃でも構造単純化(=生産コストの節約)のため単発式のものがあるが、こちらはちゃんと衝撃吸収システムが装備されている。超遠距離から狙い撃つ銃であれば、敵からの反撃を考慮する必要は少ないので、単発式でも圧倒的不利にはならない。
拳銃にも射撃競技や狩猟用として、多くのシングルショットモデルがある。これは単発中折れ式のライフルからストック?を省略、銃身を短くしたような外見を持っている。単発とはいえ拳銃サイズでライフルの弾薬を使用できるので人気があり、アメリカではライフルの使用が制限されている州のハンターに需要がある。
なお、個人で携行するタイプのグレネードランチャーの多くがシングルショットであるのは、擲弾が40mmなどの大柄の弾薬であるため、弾倉や装填機構を組み込んだ場合、非常に重くかさばるためだ。とはいえ、多弾数化から得られる火力や即応性のメリットも大きいため、回転式弾倉を備えた個人携行型のリボルビングランチャーも少なくないシェアを持っている。
最新の10件を表示しています。 コメントページを参照