5.45 x39 mm弾
1974年にAK74とともに、5N7の名称で制式採用された、ソ連の小口径高速弾。ベトナムで捕獲されたM16をソ連の専門家が調査し、その結果をもとに開発された。M16の5.56mmNATO弾と同様に、大幅な発砲時の反動軽減、一人当たりの携行弾数の増加というメリットを、赤軍にもたらすこととなった。
薬きょうはリムレスのボトルネック形状で、材質は鉄製となっている。弾丸は複雑な構造をしており、被甲内部にはトムバックでコーティングされた長さ15mmの軟鋼製弾芯があり、それはさらに鉛に包まれている。弾丸の前部には弾芯を覆う鉛が3mmほど延長して伸ばされ、そこから先端までに5mmの空洞が設けられるという三層構造となっている。装薬の成分はニトロセルロースが81%、11.6%のニトログリセリン、5.3%のエチルセントラリト、0.9%のジニトロトルエン、残りは有機性の不純物となっている。
本弾薬の薬莢は、容量が旧来の7.62mm x39弾より29%、5.56mmNATO弾に比べても15%少ないので、何かしらの威力を向上させる工夫を盛り込まねばならなかった。それがこの複雑な弾丸の構造にある。先端の空洞は弾丸の重心を後方へと移す作用があり、弾丸がターゲットに突入した際には着弾衝撃でこの空洞が潰れ、弾丸の重心が即座に移動してタンブリング(倒弾現象)を引き起こすようになっている。これにより効率よくソフトスキンに対して、運動エネルギー(破壊力)を放出させるように工夫がなされている。それでいて軟鋼弾芯により、5mm厚の鋼板をも撃ち抜ける貫通力をも付与されている。しかしながら本弾薬は度重なる改良を受けているので、現在は必ずしもこの構造ではない。
型式 | カラーコード | 備考 |
5N7 | なし | 初期型 |
7N6 | ネックに赤 | 1987年配備の改良型。弾芯をHRC硬度60の鋼鉄に変更 |
7N10 | ネックに紫 | 1992年配備の貫通力強化型。鉛の延長部も鋼芯に変更 |
7N10 | ネックに赤 | 1994年配備の改良型。空洞部を鉛に置き換えて無くす |
7N22 | ネックに赤、先端に黒 | 1998年配備の徹甲弾。弾芯を炭素鋼に変更 |
7N24 | N/A | 強化型徹甲弾。弾芯をタングステンカーバイドに変更 |
7T3 | ネックに赤、先端に緑 | 曳光弾。曳火距離800m |
7U1 | 先端に黒と緑 | 亜音速弾 |
7H3 | N/A | プラスチック弾頭の空包 |
7H4 | N/A | 装填訓練用の擬製弾 |
PSP | N/A | ADS水陸両用銃専用弾。 |
SN-P | N/A | TP82ピストル専用弾。宇宙用 |
型式 | 銃口初速 | 運動エネルギー |
5N7 | 915 m/s | 1,340 J |
7N6 | 880 m/s | 1,328 J |
7N10 | 880 m/s | 1,402 J |
7N22 | 890 m/s | 1,457 J |
7U1 | 303 m/s | 239 J |