1970年代に起きた日本赤軍によるダッカ事件。テロ対策に関して、当時の日本政府は全くの無知であり、政府が決定した超法規的措置で容疑者の要求を丸呑みにしたことが原因で、日本は、欧米諸国から『テロリスト輸出国家』と名指しで批難されるという屈辱を味わった。
この汚名返上を図るため、異例中の異例とも言える速さで設置が決定された対テロ専門の特殊部隊がこのSAT(日本警察特殊急襲部隊)である。
完全新設の部隊ではなく、元は機動隊の内部にあったSAPという特殊作戦チームから派生した部隊であり、現在の隊員の総数は確認できているだけでも約350名。
現在は全国12都道府県の警察本部に配備され、ハイジャック事件やSIT、銃器対策部隊では対処の難しい事案に対処することになっているが、2005年の8月下旬には新たに沖縄県警にもSATが20人体制で設置されたことは記憶に新しく、また札幌で行われた大規模な対テロ訓練においては、自衛隊員に混じって、表向きは機動隊の銃器対策部隊としてSATが訓練に参加していることが確認されている。
隊員は若手の、それも優秀な警察官から選抜され、つい最近までは、その存在事体が警察内部でも極秘扱いとされてきた(事実に所属隊員は警察の名簿から存在を抹消されていたらしい)。その装備体系や訓練方式は無駄が多いとも言える警官の訓練とは別次元の存在であり、かつては類似した事件で日本とは真逆の対応を取り、その勇名を馳せたGSG9を参考しているが、訓練そのものはアメリカのSWATやHRT(アメリカ連邦捜査局・人質奪還部隊)との共同訓練を通じての実力養成を図ることを第一義としていたらしい。
ところが、それが結果的に上手く行かなかったようで、現在は設立時に参考にしたGSG9やGIGNといった、ヨーロッパの名だたる名門対テロ部隊との共同訓練や人員交換をすることの方が多いようだ(装備からしてもかなりヨーロッパ的である)。
警察庁が公開した訓練の映像が民放各社を通じて、全国放送されたことで話題となった部隊だが、今もなお、その全容は謎に包まれており、とにかく秘密の多い部隊ではある。
ただ、内部の情報がそれなりに開示されており、以前では知りえることが不可能に近かった隊員個人の装備や訓練の内容が明らかになることも多くなり、それと同時に一般レベルにおける部隊の存在そのものも確実に認知され、浸透しているようだ。
アメリカのSWATやドイツのGSG-9、SEK、イギリスのSASなどと比べれば、その出動回数は非常に少なく、出動してもオブザーバー的立場であることが多いので、部隊の実力は如何ばかりかと疑問に思える。しかし、実際の戦力は高次元であり、実戦経験を積めばかなり強力な特殊部隊に変容する可能性を秘めていると言えるだろう。実際に、部隊の練度を調べたある国の対テロ部隊広報担当者曰く、「士気も高く、装備も隊員の素質も充分である」とのこと。
拳銃 | 狙撃銃 | 短機関銃 | 突撃銃 |
シグザウアー P226? H&K USP | PSG1 レミントン M700? | H&K MP5? | 豊和工業 64式小銃 豊和工業 89式小銃 |
最新の10件を表示しています。 コメントページを参照