#author("2022-04-09T11:48:59+09:00","default:user","user")
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*トリジコン ACOG [#afffe177]
#ref(TA31RCO-M150CP-2015_2.jpg,center,nolink,ACOG TA31RCO-M150CP)
|モデル|倍率xレンズ径|全長|重量|光源|h
|~TA01NSN|4x32|147.3mm|424.1g|トリチウム|
|~TA31RCO-M150CP|4x32|185.4mm(フルセット)|452.9g(フルセット)|トリチウム・光ファイバー|
|~TA11MGO-M249|3.5x35|221.0mm|396.9g|~|
|~TA11SDO-CP|3.5x35|221.0mm|589.7g|~|
|~TA648MGO-M240|6x48|266.7mm|1255.9g|~|
 ACOG(Advanced Combat Optical Gunsight)とは、アメリカのトリジコン(Trijicon)社が製造する[[スコープ]]シリーズである。
 倍率は固定で、一般的な[[テレスコピックスコープ>スコープ]]より小型。倍率(1.5倍から6倍)、レティクル形状、RMR([[ミニダットサイト>ダットサイト]])の有無などで多種多様なバリエーションを誇る。

 両目を開けた状態での使用を考慮した設計(BAC:Bindon Aiming Concept)と、電池不要なトリチウム((日本語では三重水素と訳される水素の放射性同位体))と光ファイバーを利用したレティクルの発光機構が特徴。
 従来のスコープでは両目での照準が難しく、かといって片目を閉じて覗くと視野が狭まるだけでなく、視野が暗くなるという問題があった。BACに基づいたACOGでは明るい視野とレティクルによって、両目で覗いた時に自然に標的をズームできるようになっている(倍率の付いたダットサイトのように扱える)。
 明所ではスコープ上部の集光チューブから光ファイバーを通してレティクルを照らし、暗所では内臓のトリチウムが光る。
 明所ではスコープ上部の集光チューブから光ファイバーを通してレティクルを照らし、暗所では内蔵のトリチウムが光る。
 全モデルが、弾丸の落下から距離に合わせた照準線を持つ弾道補正機構(BDC:Bullet Drop Compensator)を標準装備している。

 ピカティニー規格のレイルに対応したマウントを持つ他、[[AR-15>コルト AR15]]系の[[キャリングハンドル]]に直接マウントすることも可能である。基本的に2本のネジ締め固定だが、モデルによってはQD(クイック脱着)タイプが装備される。
 2013年モデルからミニドットサイトのマウント穴が標準装備された。

 2000年代初頭のアフガン紛争やイラク戦争の頃、市街地戦で誤射が多発しており、アメリカ軍は敵味方・民間人を識別して誤射を防ぐ目的で、一般兵にも広くACOGを配備した。
 またこの時期、非正規戦闘において[[5.56mm弾>5.56mm x45弾]]の威力不足と射程不足が囁かれており、旧式だが大口径・長射程の[[M14>スプリングフィールド M14]]が持ち出されたり、高威力の6.8mmx43 SPCへの移行なども検討されていた。ACOGの配備で弾着を良く確認できるようになると、実際は威力不足ではなく単に当たっていなかった事が判明した。この後、新型弾薬([[M855A1>グリーンチップ]])の配備もあり、5.56mm弾の不満は激減した。

 「TA01NSN」は初期のACOGでSOPMODキットのBlock1に採用されている。このモデルには光ファイバーによる光源やBAC設計がない。
 レティクルはクロスヘア型で夜間のみトリチウムが発光する。BDCの対応距離は600m。また近距離戦・バックアップ用のゴーストリングサイトが取り付けられている。

 「TA31RCO(RifleCombatOptic)」は現在米軍で使用されているACOG。外形はほぼTA01と同じだが、光ファイバー・トリチウムのデュアル光源を持ち、レティクルはシェブロン(逆三角)形で常に発光する。
 BDCは800mまで対応し、バックアップサイトを持たない。ベースモデルのTA31Fとの違いは、レンズを保護するレンズキャップとキルフラッシュ(反射防止材)を標準装備している点。
 [[陸軍>アメリカ陸軍]]向けが「M150CP」で、[[海兵隊>アメリカ海兵隊]]が「M4」・「A4」であり、それぞれ微妙にBDCが違う。現在では海兵隊においてシェブロンレティクルをTA11SDOと同じレティクルに改装したTA31Dが使用されている。

 「TA11」は海兵隊向け分隊支援火器用ACOGで、倍率が3.5倍になり、TA01、TA31の弱点であったアイリリーフ距離が長くなった。
 馬蹄型レティクルのTA11Hをベースにした専用の複雑なレティクル形状を持つ。「SDO-CP」モデルには上部にRMRサイトが取り付けらている。

 「TA648MGO」は[[機関銃]]用ACOGで、6倍・馬蹄型レティクルを持つ。主に海兵隊で用いられている。
 倍率が高いだけに大型で、上部にミニダットサイト用の[[ピカティニーレール]]が取り付けられている((他機種では専用マウントが用いられる))。12.7mm弾に対応した「TA648MGO-M2」も存在する。

 この他、イギリス軍ではDoctor(ミニドットサイトの一種)を上部に搭載したTA31を、[[自衛隊]]のAASAM出場チームがLED+単三電池を使用するTA02を使用している。

 シンプルで高性能なスコープだが、その分高価で、TA01NSNは1347ドル、TA31RCO-M150CPが1779ドル、TA11SDO-CPが2698ドルにもなる(2015年10月現在、Trijicon社ホームページより)。[[M4カービン>コルト M4]]の単価が650ドル程度と考えるといかに高いかが分かる。

 一時期、軍に納入された製品に聖書の一節を示す刻印があったことで、イスラム系団体から反発を受け、物議を醸した。これに対し、トリジコン社は軍用モデルへの刻印を削るという対策を取った。トリジコン社によれば刻印は複数種類あるが、その節の内容は「光」に関するものでACOGの「電源なしに光り続ける」という特徴を表しているに過ぎず、聖戦の意味合いはないとされる。

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CENTER:このページの画像は[[トリジコン社>https://www.trijicon.com/na_en/index.php]]から転載しています。
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