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*PRC QLZ-87 【擲弾発射器】 [#za399d9f]
#ref(QLZ87.jpg,center,60%)
|全長|重量|口径|装弾数|発射形式|発射速度|製造国|h
|970mm(本体)&br;1060mm(三脚架込)|12kg(本体)&br;20kg(三脚架込)|[[35mm×32>口径#GLAmmo]]|6/15((後継のQLB-06及びQLU-131用4発ドラムマガジンも使用可能))|S/F|500rpm|中国&br;スーダン|

 1980年代に中国の華東工業院(現、南京理工大学)で開発された35mm口径の[[携行自動擲弾発射器>擲弾発射器]]。発射器は陆家鹏教授、弾薬は在骐教授が開発チームを主導していた。
 発射器の製造は[[国営9656廠(湖南資江機器廠)>中国北方工業公司#e648f039]]、[[光学照準器>スコープ]]の製造は国内向けを国営5618廠(湖南華南光学機器廠)、輸出向けを国営559廠(無錫湖光儀器廠((現在はノリンコ子会社の北方光電集団有限公司のさらに子会社である江蘇北方湖光光電有限公司となっている。)))が担当した。
 後述の経緯から、恐らく現存する小火器では世界で唯一[[フルオート]]機能を持つ個人携行擲弾発射器である。発射モードはセレクタにより[[セミオート]]・フルオートを切り替え可能。
 後述の経緯から、恐らく現存する小火器では世界で唯一[[フルオート]]機能を持つ個人携行擲弾発射器である((QLZ-87より前の1968年にはアメリカで[[M1919A4>重機関銃/ブローニング M1917]]をベースにXM174というフルオート可能かつQLZ-87よりも軽量な擲弾発射器が開発され、ベトナム戦争に投入されているものの、原型となったM1919A4と同様にM2三脚架や車両や航空機の銃架に据えて運用されたため個人携行火器ではない。XM174E1というモデルでは[[スリング]]で肩から下げて腰だめに射撃可能ではあったようだが実用的ではなかったようだ。))。発射モードはセレクタにより[[セミオート]]・フルオートを切り替え可能。

 1980年代の中国軍は、コピーしたソ連のAGS-17を参考にした自動擲弾発射器を要求すると共に、それが歩兵1人で携行可能となる事を求めた。これは当時の中国軍における自動車化が途上であった事や、仮想敵であるインドやベトナムとの国境が山岳や森林地帯で車両の通行が困難である為に、重装備の輸送に車両を頼り切れないという事情があった。

 この要求により設計されたQLZ-87は当時の中国にありがちな事ではあるが、それぞれの要素を他国製の銃器から模倣して組み合わせる事により完成している。動作方式はベトナム戦争で鹵獲した[[M16>コルト AR15]]の[[ガス直噴方式]]、閉鎖方式は他の工廠でライセンス生産していた[[53式軽機槍>USSR DP]]や[[56式班用機槍>USSR RPD]]などで採用されていたフラップ閉鎖方式、[[ドラムマガジン]]は[[81式班用機槍>突撃銃/PRC 81式自動歩槍]]のドラムマガジンを元にしているがこれは大元を辿れば[[トンプソン>短機関銃/オートオードナンス トンプソン]]にまで遡る。弾薬はAGS-17を模倣している模様で、この為かハイ・ロー・プレッシャー薬莢を採用しておらず((薬莢の外寸を共通とするアドオン・スタンドアロン用の91式35mm擲弾発射器に用いる弾薬ではハイ・ロー・プレッシャー薬莢を採用している。))、その弾速はNATO標準40mm榴弾の歩兵用(46mm,約80m/s)の倍以上、固定機銃用(53mm、約240m/s)に近い190m/sを実現しており、有効射程は車両などの点目標へは600m、歩兵部隊などの面目標へは1200m、最大射程は[[ストック>銃床]]を兼ねたバッファーチューブの上面に刻印された射表によれば1782mとなっている((この射表は100mから1782mまでの100m刻みで刻印されており、また発射器本体に刻印されている為に紛失リスクが無いという利点も有る。))。
 上掲画像ではグリップが見当たらないが、これは発射器の下面がドラムマガジンと三脚架取付基部で占められているために、グリップが機関部の右側面から斜め下向きに向かって取付されている為である。また発射器上面の[[キャリングハンドル]]は[[コッキングハンドル]]とボルトキャリア、ガスシリンダーを兼ねており、発砲時にはハンドルごと前後する。
 ちなみにドラムマガジン本体にはゼンマイを巻き上げるためのハンドルやレバーが付属しておらず、発射器のグリップ底部に付いているソケットをドラムマガジン正面の六角軸に宛がって巻き上げるようになっている。もちろん、グリップは発射器から取り外す事で巻き上げハンドルとして使用可能になっている((一部の部隊ではドラムマガジンの巻き上げに片口メガネレンチを使用しているのが確認されている。))。

 こうして完成したQLZ-87は中国軍に採用され、火力分隊では携行擲弾発射器として[[バイポッド]]を使用しての伏射のみならず立射でも射撃可能な擲弾発射器として、中隊や大隊では三脚架や車両の銃架に据えて自動擲弾発射器として、幅広く運用される事となった。
 しかし、歩兵1人でも携行可能な重量に抑えるべく、反動を抑える為に威力と射程が犠牲となっている事は中国軍としても評価が分かれる所であった他、発射器右側面から斜め下向きに伸びたグリップが伏射では身長175cm以上でないと構え辛い、装填状態の15発ドラムマガジンが余りにも重すぎて脱落しやすい、携行擲弾発射器としてなら装弾数は6発でも十二分に足りる、逆に自動擲弾発射器としては装弾数は15発だと不足気味、光学照準器の脱着に工具と時間を要する為に即応性に欠けるといった欠点があった。
 とはいえ、動作信頼性に関しては6発ドラムマガジンで運用する限りは特に問題無く、重すぎる15発ドラムマガジンについても火力分隊の装填手が下から支える事で脱落への対策が可能となり、[[M16>コルト AR15]]と[[DP>USSR DP]]の良い所取りした事による良好な整備性、[[破甲弾(HEAT弾)>アーマーピアシング弾]]を用いれば最大80mm厚の装甲を貫通可能などと使い勝手は悪くないようだ。
 このため、自動擲弾発射器としての後継には給弾方式に30発ベルトリンク給弾を採用したQLZ-04自動擲弾発射器が、携行半自動擲弾発射器としての後継には新たにより軽量な装弾数4発のドラムマガジンと共にQLB-06半自動擲弾発射器とQLU-131狙撃擲弾発射器が採用された現代においても、枝分かれした後継のどちらの役割も1つでそれなりにこなせる、文字通り"良く言えば多才、悪く言えば器用貧乏"な擲弾発射器として現役であり、この特性は携行出来る装備に制約の強い海軍陸戦隊では得難いようで運用例がしばしば見られる。
 一方、陸軍の一般部隊での配備もまだまだ確認されている他、中国軍で広く運用されている4輪駆動軽装甲車"猛士"の最新型である第三世代型では、RWSの搭載火器としてQJZ89重機関銃や[[95式自動歩槍>PRC QBZ-95]]など各種携行火器を搭載できるようになっており、その選択肢の一つとしてQLZ-87を搭載している運用が南部戦区第75集団軍や西藏((チベット))軍区山南軍分区などで確認されている。こういったように、開発当初には想定されていなかった運用方法もされながら、しばらく現役であり続けるようだ。

 また海外に目を向けるとソマリアやイランなど中東やアフリカの各国へ輸出されている他、スーダンではライセンス生産も行われており、こちらでも携行擲弾発射器から車載擲弾発射器まで幅広い運用を見せている。

 なお現在、製造元である湖南資江機器有限責任公司の親会社である湖南省兵器工業集団有限責任公司は公式サイトにおいてQLZ-87を警察用装備として紹介しており、実際に新疆ウイグル自治区ウルムチ市の武警で配備されているのが確認されている。

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|登場作品|ジャンル|使用者|備考|h
|[[ウルフ・オブ・ウォー]]|−|−|項目参照|
|[[バトルフィールド 3]]|−|−|項目参照|
|[[バトルフィールド バッドカンパニー]]|−|−|項目参照|
|ファークライ4|ゲーム|−|GL-A87&br;装弾数8発|

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CENTER:このページの画像は湖南資江機器有限責任公司の親会社である[[湖南省兵器工業集団有限責任公司>http://www.hoig.com.cn/]]の[[製品紹介>ページhttps://www.hoig.com.cn/ywly/1143452-0-2.html]]から転載しています。
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