#author("2024-02-19T15:27:02+09:00","default:user","user")
*重機関銃 / Heavy machine gun [#v659f0a7]
 主に陣地や車両に設置し、複数人による運用を要する[[機関銃]]の総称。もともと「機関銃」といえばこのクラスのことを言った。第一次大戦に前後して各国で兵士1人でも携行可能なほど軽量な[[軽機関銃]]が登場すると、従来の重い機関銃が重機関銃と呼ばれるようになった。

 1862年に最初の機関銃である[[ガトリングガン]]が登場し、その後普仏戦争で使用されたフランスのミトライユーズや1881年に考案されたアメリカのガードナー銃など様々な物が開発され、1885年にアメリカの発明家であるハイラム・S・マキシムが発明した水冷式のマキシム機関銃が登場しこれが現在の機関銃の基礎となった。
 当時のマキシム系機関銃で50〜60kgとかなりの重量があったために、移動時には神輿のように複数人で担ぐか分解する必要があるなど小回りが利かないが((そのため移動しやすいように二輪台車に搭載されていたものもあった。))、[[ベルト式給弾>弾帯]]による高い持続射撃能力により、無類の威力を発揮した。当初の活躍の場は植民地戦争で、せいぜいがマスケット銃の貧弱な装備の現地軍に対し、無数の屍を築きあげた。20世紀初頭の日露戦争においてはロシア軍の装備したマキシム機関銃が日本軍の従来的な突撃戦術に対して猛威を振るい、近代化された軍隊同士の戦闘でもその有効性を証明すると共に、軽機関銃のような車両や駄馬に頼らずとも軽快な機動性を持ち、歩兵に随伴しての突撃支援のみならず、主戦線ではない側面などでの防御戦闘でも迅速に火力を展開できる[[フルオートマチック>フルオート]]火器の登場を促した。第一次世界大戦ではその制圧力により重機関銃が互いに正面からの突破をほぼ完全に阻んだことから、連合軍と同盟軍の両陣営は迂回戦術を許さぬ欧州を縦断するほどの塹壕陣地を築き、塹壕戦という膠着状態に陥ることとなった。飛行機や自動車が発達し戦場でも使われるようになると、これらにも据え付けられるようになった。

 これらの重機関銃は元々6〜8ミリクラスの既存の小銃弾、あるいは更に大口径としてもより旧式の黒色火薬を使用するために大口径だった11ミリクラスの小銃弾を使用するものだったが、航空機やトラック、戦車といった戦力の機械化、装甲化が進むと、これらを撃破可能とする為に新たに開発されたより大威力の弾薬を使用する機関銃が登場した。これらの大威力な重機関銃の[[口径]]として現在では12.7ミリが主流であるが、より大口径な14.5ミリも一部で使われ続けている。またかつては9mmや13.2mmといった様々な口径も用いられていた。こういった大口径な機関銃が重機関銃として扱われ始めると、これと区別するために小銃弾を使用する機関銃は中量級機関銃(Medium machingun)とも呼ばれるようになった。

 第二次大戦後、[[汎用機関銃>GPMG]]が登場すると中量級機関銃はこれらに取って替わられていった事もあり、重機関銃は小銃弾よりも大威力のものが主となった。その出自ゆえに装甲車輌や建築物を貫通する程の威力がある為、[[対物火器]]としても扱われる。 

 大口径のものは[[ブローニングM2>重機関銃/ブローニング M2]]や[[デシーカ>USSR DShK]]、小口径のものはマキシム機関銃を始めとして、[[ブローニング M1917>重機関銃/ブローニング M1917]]、イギリスのヴィッカース重機関銃がその代表格。
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