#author("2021-08-25T22:14:13+09:00","default:user","user")
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*フラッシュハイダー / Flash hider [#o7da5db2]

 発射時に銃口から生じる閃光を減らす為、銃口部に装着される筒形の部品。「''フラッシュサプレッサー''」とも呼ばれる。
 原理としては銃口炎(マズルフラッシュ)を複数方向に分散させることで、熱・密度を減らし、冷却速度を速めるというもの。
 発射時に銃口から生じる火炎や閃光を減らす、もしくは射手や標的の視界から遮蔽する為、銃口部に装着される部品。「''フラッシュサプレッサー''」とも呼ばれる。
 火炎や閃光を減らす原理としては銃口から噴出するガスを漏斗形状に通す事で、ガスの圧力と温度を下げて燃焼し辛くしている((詳しい原理としては、銃口から噴出するガスが超音速流れである事により、超音速流れが末広ノズル(つまり漏斗形状)を通過する際に流体の圧力と温度が下がる事を利用している。))((副次的な効果として、漏斗形状が銃口からの発砲音に前方への指向性を持たせる事で射手の耳への負荷を抑制する効果もある。))。また漏斗形状を採らず円筒の側面に入れたスリットからガスを拡散させている製品も存在している。遮蔽する場合は円盤などの影に火炎や閃光を収めているものである。

 元々は射手側の視界に入る銃口炎を隠す(hide)ことで連射時の視認性を向上し、負担を軽減する装置(hider)であった。その後、[[暗視装置]]の登場と時を同じくして敵から見える銃口炎を減らし、被発見率を下げる方向性へと変化していく。その用途としては「減音効果のない[[減音器]]」とも評せる。
 減音器より遥かに小型かつ耐久性も高いため、現代では軍用としては一般的である。減音器や他のマズルデバイスと交換できるよう、マズルスレッド(ねじ切り)を介して装着されるのが定石である。[[ライフルグレネード]]の発射を想定する場合は、当然ながらその装着に対応した形状で作成される。
 元々は射手側の視界に入る銃口炎を隠す(hide)ことで連射時の視認性を向上し、負担を軽減する装置(hider)であった。その後、敵から見える銃口炎を減らし、被発見率を下げる方向性へと変化していく。その用途としては「減音効果のない[[減音器]]」とも評せる。
 同じく銃口に取り付ける[[コンペンセイター]]とは混同されることが多いが、それぞれの役割は全く異なり、機構的にも別物に近いが、根元にコンペンセイター、先端にフラッシュハイダーを組み合わせたり、フラッシュハイダーの漏斗形状の側面に開口部を設けてコンペンセイターとしても機能させるようにした製品もある((SureFire社のWarComp、日本の[[89式小銃>豊和工業 89式小銃]]の消炎制退機など。))。

 第一次世界大戦の頃には、メガホン状の形状をした射手側の視界補助となるパーツが既に登場しており、主にマキシム機関銃やシュワルツローゼ機関銃などの[[機関銃]]に装着されていた。メガホン形状は銃口からの発砲音に前方への指向性を持たせる事で射手の耳への負荷を抑制する効果の他に、銃口から噴出するガスがメガホン形状を通過する現象は末広ノズルにおける超音速流れそのものであるため、ガスの温度と圧力が下がる事によって発砲炎が小さくなり敵からの視認性を下げる事ができる。しかし、メガホン形状自体が大型になりがちで嵩張るため、小火器用としては第二次大戦後に廃れていったが、牽引火砲や車両、艦船に搭載される機関砲などでは、第二次世界大戦でポンポン砲や九六式二十五粍機銃など小火器同様に各国で採用されていたのに続き、現代でもボフォース57mm砲や90口径35mm機関砲KDEなど各国で採用され続けている。
 第二次大戦頃から[[SMLE No. 5 ジャングルカービン>小銃/RSAF リー・エンフィールド]]など[[小銃]]用にも広く普及し始めたが、当時登場したばかりの暗視装置を使用した際の優位性を確保するため、そして暗視装置の焼き付きを防止するため、改良が続けられた。かくしてアメリカ軍の[[M3カービン>ウィンチェスター M1]]に発射炎を分散する現代的なフラッシュサプレッサーが装備されることになる。同様の経緯で戦後のソ連でも[[AKML>USSR AKM]]用のフラッシュサプレッサーが開発された。
 減音器より遥かに小型かつ耐久性も高く、現代ではコンペンセイターの機能も持たせている製品が軍用として普及している。減音器や他のマズルデバイスと交換できるよう、マズルスレッド(ねじ切り)を介して装着されるのが定石であるが、製品によってはフラッシュハイダーそのものを減音器の取付アダプターとして着脱の手間を省いているものもある。[[ライフルグレネード]]の発射を想定する場合は、当然ながらその装着に対応した形状で設計されている。

 同じく銃口に取り付ける[[コンペンセイター]]とは混同されることが多いが、それぞれの役割は全く異なり、機構的にも別物に近い。
 一応、ハイダーの形状によってはある程度の反動抑制効果が得られることはある。更に、根元にコンペンセイター、先端にハイダーを搭載することで双方の効果をそれなりに併せ持つパーツも存在している(SureFire社のWarComp、日本の[[89式小銃>豊和工業 89式小銃]]の消炎制退機など)。
 第一次世界大戦の頃には、漏斗形状のマズルデバイスが既に登場しており、主にマキシム機関銃やシュワルツローゼ機関銃などの[[機関銃]]に装着されていた。
 第二次世界大戦の頃には[[SMLE No. 5 ジャングルカービン>小銃/RSAF リー・エンフィールド]]など[[小銃]]でも採用され始め、当時登場したばかりの暗視装置を使用する[[M3カービン>ウィンチェスター M1]]では発射時の火炎や閃光を抑える事で射点の暴露を防ぎ、そして暗視装置の焼き付きを防止するために、漏斗形状のフラッシュサプレッサーが装備されることになる。同様の経緯で戦後のソ連でも[[AKML>USSR AKM]]用のフラッシュサプレッサーが開発されたが、こちらは円筒の側面にスリットを入れた形状である。
 しかし、この頃のフラッシュハイダーは消炎性能を得る為に漏斗形状が大型で嵩張るため、歩兵火器としては第二次大戦以降、消炎性能よりも携行性や取り回しを重視し、さらに先述のコンペンセイターの機能を持たせた小型の製品が主流となっていった。
 一方、牽引砲架や車両、艦船に搭載される機関砲などでは携行性が重視されず、用途によってはコンペンセイターの反動軽減効果も不要な為、第二次世界大戦でポンポン砲や九六式二十五粍機銃など小火器同様に各国で採用されていたのに続き、現代でもボフォース57mm砲やエリコン35mm機関砲KDEなどのような大型漏斗形状のフラッシュハイダーが各国で採用され続けている。


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