*ダムダム弾 /dumdum bullet [#r7a28e02]

 もともとは旧英領だったインド・コルカタ(カルカッタ)近郊のダムダム工廠で造られた、 [[.303British>口径]] の中でも、殺傷力を高めた特殊な弾薬の俗称。

鉛がむき出しの銃弾の殺傷力が高いのは、ライフル銃が発明されて銃弾の速度が音速を上回るようになってから、
経験的に知られていた。高速で撃ちだされる軟らかい鉛の弾丸は、目標に命中すると大きくつぶれるように変形したり、
砕けてバラバラになったりして、傷の程度を酷くしていた。実際に、ダムダム工廠で製造される前から、狩猟用として使われていた。
 ライフル銃が発明されて銃弾の速度が音速を上回るようになって以来、鉛がむき出しの銃弾の殺傷力が高いのは経験的に知られていた。高速で撃ちだされる軟らかい鉛の弾丸は、目標に命中すると大きくつぶれるように変形したり、砕けてバラバラになったりして、傷の程度を酷くした。こうした軟頭弾は、ダムダム工廠で製造される前から、実際に狩猟用として使われていたのである。

こういった経験を元に、ダムダム工廠で作られたのが MKII.303British だった。
これは通常の .303British の先端から1mmほど銅合金の覆いを取っ払って、先端だけ鉛をむき出しにしたものだった。
しかしこのMKIIは、発射の際にコアの鉛だけが発射され、周囲のジャケットが銃身内に取り残されるという事故を起こすことがあった。
MKII はインド駐留軍が使用していたが、イギリス軍の制式弾薬ではなかった。
 こういった経験を元に、ダムダム工廠で作られたのが MK.II .303British だった。これは通常の .303British の先端から1mmほど銅合金の覆いを取っ払って、先端だけ鉛をむき出しにしたものだった。
 しかしこのMk.IIは、発射の際にコアの鉛だけが発射され、周囲のジャケットが銃身内に取り残されるという事故を起こすことがあった。Mk.II はインド駐留軍が使用していたが、イギリス軍の制式弾薬ではなかった。

その後にイギリス軍の制式となってMK III へとなり、さらに先端に窪みを設け、より銃弾が変形したり、砕け散りやすく改良した MK IV、
弾丸の底部もジャケットで覆い、コアだけが飛び出す問題を解決したMK V が開発された。
これらはダムダム工廠ではなく、イギリス本国で生産されていたが、この頃にはすでにこういった弾薬を、総じてダムダム弾と呼ぶようになっていた。
 その後にイギリス軍の制式となってMK.IIIとなり、さらに先端に窪みを設け、より銃弾が変形したり、砕け散りやすく改良した Mk.IV、弾丸の底部もジャケットで覆い、コアだけが飛び出す問題を解決したMk.V が開発された。
 これらはダムダム工廠ではなく、イギリス本国で生産されていたが、この頃にはすでにこういった弾薬を、総じてダムダム弾と呼ぶようになっていた。

後に1898年、ドイツからダムダム弾は不必要な苦痛を与える兵器で、[[ハーグ陸戦条約]]に抵触しているという抗議が出された。
この抗議は世界的に受け入れられ、ダムダム弾は戦争においては使用禁止となった。
イギリスは弾薬を全てジャケットで覆ったMK VI に更新し、その後さらに現代の弾薬と同じ形である、
先端が尖ったスピッツァー弾頭のMK VII へと更新した。保有していた残りのダムダム弾は、射撃訓練などで消費した。
 後に1898年、ドイツから、ダムダム弾は不必要な苦痛を与える兵器で[[ハーグ陸戦条約]]に抵触している、という抗議が出された。この抗議は世界的に受け入れられ、ダムダム弾は戦争においては使用禁止となった。
 イギリスは弾薬を全てジャケットで覆ったMk.VI に更新し、その後さらに現代の弾薬と同じ形である、先端が尖ったスピッツァー弾頭のMk.VII へと更新した。保有していた残りのダムダム弾は、射撃訓練などで消費した。

ドイツからは不必要な苦痛を与えるとして抗議を受けたダムダム弾だが、確かに同じ.303ブリティッシュの通常弾に比べれば傷の程度は酷くなった。
しかしイギリス軍がダムダム弾を使用できる[[リー・エンフィールドライフル>RSAF リー・エンフィールド]]の前に制式使用していた、マルティーニ・ヘンリーライフルの方が、傷の程度は酷かったりする。
マルティーニ・ヘンリーライフルの方が単発銃ながら、リー・エンフィールドライフルよりも大口径で、最初からジャケットで覆われていない、鉛がむき出しの弾薬であったためである。
ドイツの抗議は別に明確な根拠があったわけではなく、戦争におけるプロパガンダ合戦の一角であったと言える。
 ドイツからは不必要な苦痛を与えるとして抗議を受けたダムダム弾だが、確かに同じ.303Britishの通常弾に比べれば傷の程度は酷くなった。
 しかしイギリス軍がダムダム弾を使用できる[[リー・エンフィールドライフル>RSAF リー・エンフィールド]]の前に制式使用していた、マルティーニ・ヘンリーライフルの方が、傷の程度は酷かったりする。マルティーニ・ヘンリーライフルの方が単発銃ながら、リー・エンフィールドライフルよりも大口径で、最初からジャケットで覆われていない、鉛がむき出しの弾薬であったためである。
 ドイツの抗議は別に明確な根拠があったわけではなく、戦争におけるプロパガンダ合戦の一角であったと言える。

ダムダム弾はいろいろな思惑から使用禁止になったが、規制は無くとも近い将来には使用されなくなっていっただろうと思われる。
後年になってからは機関銃が発達し、単位時間当たりの銃弾の発射数は飛躍的に上昇した。
そのため、発射熱による銃身の加熱も飛躍的に上昇し、鉛のコアが外部に露出している弾丸では、
熱によって鉛が溶け出してしまい、銃身を損なうようになってきてしまった(レッディング現象)。大量の弾薬を消費する近代戦では、どちらにしろ弾丸全てをジャケットで覆った、
いわゆる[[フルメタルジャケット]]を使用せざるをなかったのである。
 ダムダム弾はいろいろな思惑から使用禁止になったが、規制は無くとも近い将来には使用されなくなっていっただろうと思われる。
 後年は機関銃が発達し、単位時間当たりの銃弾の発射数は飛躍的に上昇した。そのため、発射熱による銃身の加熱も飛躍的に上昇し、鉛のコアが外部に露出している弾丸では、熱によって鉛が溶け出してしまい、銃身を損なうようになってきてしまった(レッディング現象)。大量の弾薬を消費する近代戦では、どちらにしろ弾丸全てをジャケットで覆った、いわゆるフルメタルジャケットを使用せざるをなかったのである。

また、現代のライフル弾は発射薬の改良などとともに、弾丸を小さくして速度を増すよう作ってあるため、あまりの高速度により、
命中すると容易にジャケットと弾芯が分離したり、弾丸が砕け散ってしまう。現代のライフル弾はダムダム弾のような形状はしていないが、
対人威力に関しては、まったくダムダム弾に遅れはとっていない。
 また、現代のライフル弾は発射薬の改良などとともに、弾丸を小さくして速度を増すよう作ってあるため、あまりの高速度により、命中すると容易にジャケットと弾芯が分離したり、弾丸が砕け散ってしまう。現代のライフル弾はダムダム弾のような形状はしていないが、対人威力に関しては、まったくダムダム弾に遅れはとっていない。

ダムダム弾は現在でいうところの、ジャケッティド・ソフトポイント弾にあたる。もちろん狩猟用ライフルの弾薬としては、現在でも使用されている。
 ダムダム弾は現在でいうところの、ジャケッティド・ソフトポイント弾にあたる。もちろん狩猟用ライフルの弾薬としては、現在でも使用されている。



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参考文献
著:小林宏明「図説 銃器用語辞典」
著:カヅキ オオツカ SATマガジン連載「銃で撃たれるということ」
著:同上 「銃器使用マニュアル」

参考・引用元サイト
[Firearms Tactical .com]
http://www.firearmstactical.com/
[Dummy Cartridges]
http://www.k5.dion.ne.jp/~sak/main/Cartridges/Cartridges.html
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