#author("2021-08-17T07:45:00+09:00","default:user","user")
*ドラムマガジン / Drum magazine [#h82aa9bd]

 主に[[フルオート]]を多用する銃器で用いられる、給弾機構を内蔵した多弾数の円筒型[[弾倉>マガジン]]の総称。
 給弾機構のバネには、弾薬を込めながらゼンマイを手動で巻いて使用するもの、弾薬を込めた後にゼンマイを手動で巻いて使用するもの、Beta社のCマグ(画像参照)のように弾薬を込めれば自動でゼンマイも巻き上げられるタイプがある。
 ただし、動力内蔵型は箱型マガジンと比べて構造が複雑なため、故障や給弾不良を起こしやすく、製造コストも高いという欠点もあり、Cマグを除けば現在ではあまり使われていない。
#ref(CHG000-2.jpg,right,nolink,around,50%,Cマグ)

 形状そのものも、大きく幅を取るためにかさばって運搬や保持に支障があるため、軽便さが売りの[[拳銃]]や[[短機関銃]]などにはほとんど用いられなくなった。
 しかし、高さに限ればドラムマガジンは大容量にも関わらずそこまで嵩張らず、同じ銃に使用できる標準的な容量の箱型マガジンと比べてさえも同程度、あるいは小さくできるため、伏射を多用する[[軽機関銃]]では射撃姿勢を低くできるメリットがある。

 軍用としてはその重量や容積によって携行可能な弾薬数そのものが減っては本末転倒であること、そもそもそれほど大量の弾薬を安定して射撃可能な、あるいはそういった運用方法を必要とするマガジン給弾式火器がほとんどないことから、現代の軍隊における採用例は中国の[[QBB-95>PRC QBZ-95]]など少数に留まっている。しかし特殊部隊ではしばしばドラムマガジンを使用するライフルが実際に使用されていることが確認されている。


 代表的なものはフィンランドの[[スオミ M1931>短機関銃/スオミ M1931]]、アメリカの[[トンプソン M1921,M1928>短機関銃/オートオードナンス トンプソン]]、ソ連の[[PPSh41>短機関銃/USSR PPSh41]]、ドイツの[[ルガー P08]]、[[ベルグマン MP18>短機関銃/ベルグマン MP18]](スネイルマガジン)など。
 近年の製品では、シンガポールの[[ウルティマックス100>CIS ウルティマックス100]]が、60連と100連のドラムマガジンを採用している。最近の潮流からは逆行しているが、このマガジンは「使い捨て」前提として軽量化されているのが特徴で、ウルティマックス自体の軽量化にも一役買っている。

 なお一部の[[軽機関銃]]で採用された円盤型のものは、パン(平鍋)マガジンと呼ばれるもので、これには給弾に用いる駆動力を銃側から受けるものと、内蔵するゼンマイ等で駆動するものの二種類がある。前者の例はアメリカの[[ルイス機関銃>BSA ルイスMkI]]で、銃のボルトの前後動に伴いカム機構とラチェットによって容器が回転しつつ、内部のスロープによって弾薬を機関部に送るようになっている。後者の例はソ連の[[DP機関銃>USSR DP]]などで、マガジン中央部に内蔵したゼンマイにより上蓋が回転し、上蓋の内側に並ぶ爪が弾を送り出すようになっている。

 発展形として、[[PP19ビゾン>短機関銃/イジェマッシュ ビゾン]]や[[PP90M1>短機関銃/KBP PP-90M1]]、[[キャリコシリーズ>短機関銃/キャリコ M900]]などが採用している、ヘリカル(らせん状)に弾薬を装填するヘリカルマガジンが存在する。ドラムマガジンと比べて、マガジン内の弾薬以外のパーツが占める空間が少なく体積あたりの容量が大きいほか、細長く比較的かさばらないため、銃の保持や携行が容易な点で優れている。しかし、マガジンのサイズそのものは、20連30連の従来のボックスマガジンに比べれば大きいため、大量に携行するには向かない点はドラムマガジンと同様である。また、ヘリカルマガジンのバネは手巻き式になっており、使用前にバネを巻く必要がある。

 なお、ドイツの[[MG34>ラインメタル/マウザー MG34]]や[[MG42/MG3>グロスフス MG42]]などに付属しているのは、しばしば混同されるがドラム状の弾薬ベルトコンテナである。一方、MG34で使用される75連サドルドラムマガジンは給弾機構を内蔵する「マガジン」である。
//↑余談的な内容かつ自明ですので、上記説明については簡略化し末尾に移動しました。

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CENTER:このページの画像は[[Beta社>http://www.betaco.com/]]から転載しています。
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