#author("2020-10-17T00:04:54+09:00","default:user","user")
*スライドストップ / Slide stop [#y978e238]
 [[自動拳銃]]で、弾を撃ち尽くした際にスライドを後退した状態でロックする装置。
 新しい[[弾倉>マガジン]]を装填した際、スライドリリースレバーを解除すれば、自動的にスライドが前進すると共に初弾が薬室に装填されるので、弾倉交換のたびに手動でスライドを引いて[[コッキング]]する必要が無いという仕組み。
 スライドストップがかかった状態は「ホールドオープン」と呼ばれ、弾切れになったことを射手に知らせる、副次的な機能も持つ。

 構造的には、撃ち尽くして空になり、押しあがってきたマガジン・フォロワーが、銃内部のスライドストップのリリースレバーと連動した部分を動かし、リリースレバーがスライドの切り欠き溝に噛み合うことによってロックする。弾倉を再装填した後はリリースレバーを直接操作するか、スライドを改めて引き直して噛み合いを外すことでロックを解除する。リリースレバーを多用しすぎると部品が摩耗するため、ユーザーや採用組織によってはスライドを引いて解除するよう訓練している場合もある。
 [[ベレッタ M1934]]など、一部の古い設計の自動拳銃は、マガジン・フォロワーが直接スライドに引っかかってロックする仕組みになっている。これらの場合は、空マガジンを引き抜くと勝手にスライドが元の位置に戻るため、改めてコッキングする必要がある。
 
 拳銃に限らず、[[自動小銃]]、[[突撃銃]]などの各種自動火器にも同様の機構を持つ物が多い。この場合は「''ボルトストップ''」または「''ボルトキャッチ''」と呼ぶ。
 リロードの際、リコイルスプリングに抗しながらのコッキング操作が省ける一方、わずかながらも部品点数が増え、構造が複雑化するほか、再装填しないままだと薬室が開放されたままになり、侵入した塵芥などが[[ジャム(作動不良)>ジャム]]の原因になるなどの難点もある。このため[[AK47>USSR AK47]]系や[[FNC>FN FNC]]のように、ボルトストップを備えていない銃も存在する。
 後退したボルトをリリースする機構は「軽いコッキング操作を要するもの」と「ボタン操作によって可能なもの」に分かれる。前者には[[89式小銃>豊和工業 89式小銃]]や[[SVD>USSR ドラグノフ]]、[[G36>HK G36]]((G36はリリース機能は無く、トリガーガード内のボタンはボルトを後退して留めておく機能しかない。))、後者は[[M16/AR15>コルト AR15]]シリーズや[[MP7>短機関銃/HK MP7]]などが挙げられる。
 ボタン式リリースは、中でもM16/AR15はユーザーが多いことから、同様のデザインとして操作の共通化を図ったものも見受けられる(例:[[SCAR>FN SCAR]]、[[MPX>短機関銃/シグザウエル MPX]]、[[UMP>短機関銃/HK UMP]]など)。
 また、古い銃でも固定弾倉式の自動小銃([[M1ガーランド>スプリングフィールド M1]]や[[SKS>USSR シモノフSKS]]等)にも搭載される例があった。固定弾倉ボルトアクション小銃の形状ほぼそのそのままに自動化した初期の自動小銃では、ボルトが開かなければマガジンにアクセス出来ないため、手動式と異なりホールドオープン機構が無ければ装填が相当不便となるためである。
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