*ポリマーフレーム / Polymer frame [#b4f32db1]
 合成樹脂(要するにプラスチック)で製造されたフレーム。『ポリマー』とは、化学的には『重合体』、『高分子化合物』の事だが、この場合は強化プラスチックやナイロン素材などをさす。
 銃火器のような強度を必要とする工業製品に、軟弱なプラスチックを用いるなど従来では考えられなかったが、実際にはグリップパネルや、マガジンバンパーなど、それほど強度を要しない部品も少なくない。一方、プラスチックの方は技術の向上により徐々に耐久性を増し、発砲の激しい衝撃に耐えうる素材も登場し始めていたのである。
 機は熟していたが、実際に使用するとなると簡単には進まなかった。[[拳銃]]で初めて一体成型のポリマーフレームを採り入れた((ポリマー素材をフレーム(の一部)に採り入れた、という意味でなら同H&Kの[[P9S>HK P9S]]のほうが早い。))のは、[[H&K>ヘックラー ウント コッホ]]社の[[VP70>HK VP70]]だったが、あまりにも特殊な性格の銃だったため一般には受け入れられず、成功しなかった。
 ポリマーフレーム拳銃で初の成功作となったのは、オーストリアの[[グロック17>グロック 17]]である。VP70と異なり、軍・現場の意見・要望を生かして開発されたグロック17は、斬新ながらも決して奇抜な銃ではなく、非常に合理的に設計されていた。グロックの優れた資質は、ポリマー素材の強度に懐疑的だったユーザーにも次第に受け入れられていき、同時にポリマーフレームも広く認知されることとなった。このためグロック17は、(実際には2代目であるにもかかわらず)ポリマーフレーム拳銃の元祖と誤解されている。
 またほぼ同時期に、[[突撃銃]]ではレシーバーをポリマー製とした、同じくオーストリアの[[ステアー]]社製[[AUG>ステアー AUG]]が登場。こちらも成功を収め、[[ライフル>小銃]]や[[短機関銃]]でも、本体構造部にポリマー素材を用いたものが現れるようになった。

 素材加工や生産設備にある程度の技術力・工業力・資金力を要するものの、金属加工にくらべ大きなエネルギーを必要とせず、複雑な形状の部品を短時間にかつ大量に成型可能なので、生産性は非常に高い。また経年劣化にも強いため耐候性・整備性もよい((他の樹脂製品と同じく数十年経つと急激に劣化するという説もあるが、ポリマーフレーム自体の歴史がまだ浅いので、何とも言えないところだ。))。金属と異なり熱伝導性が低いため、射手に火傷や凍傷を負わせる恐れもない、とメリットは数多い。また変わったところでは、樹脂自体に着色して様々なカラーバリエーション(例えば砂漠迷彩のデザートイエローや訓練用の青色など)を作ることも可能である(塗装と違って使い込むうちに色がはげるといったこともない)。
 素材加工や生産設備にある程度の技術力・工業力・資金力を要するものの、金属加工にくらべ大きなエネルギーを必要とせず、複雑な形状の部品を短時間にかつ大量に成型可能なので、生産性は非常に高い。また経年劣化にも強いため耐候性・整備性もよい。金属と異なり熱伝導性が低いため、射手に火傷や凍傷を負わせる恐れもない、とメリットは数多い。また変わったところでは、樹脂自体に着色して様々なカラーバリエーション(例えば砂漠迷彩のデザートイエローや訓練用の青色など)を作ることも可能である(塗装と違って使い込むうちに色がはげるといったこともない)。一方で、長い年月が経つことで急激に劣化すると言われたり([[グロック17>グロック 17]]の旧世代型)、実戦を経験した兵士から熱や紫外線に弱い([[G36>HK G36]])と指摘されている。((ポリマーフレーム自体の歴史がまだ浅いので、何とも言えない部分もある。))
 受け入れられるまでは時間を要したが、これらのメリットが認知されるに従って、各国各社から次々とポリマーフレームの銃が開発・生産されるようになっている。最近では素材の向上に伴って、[[H&K G36>HK G36]]などのように、[[ハンマー]]や機関部など、従来は避けられていた部品にもポリマー素材が用いられるようになってきている。
 しかし、金属フレームに比べ脆弱なことは変わりなく、強度の確保のためにポリマーフレームは従来のそれと比べ肥大化しがちである。グリップパネルなどを一体成形することで強度はある程度補えるが、今度はパネルを分割することが出来なくなり、ユーザーの手のサイズに合わせた配慮が難しかった。
 この点は[[ワルサー P99]]が、グリップのバックストラップを手のサイズに合わせて交換するという解決策を打ち出した。さらに近年では、グリップパネルの分割・交換が可能な製品も現れ始めている。[[P250>自動拳銃/P250]]ではインナーシャーシを取り外し、ポリマーフレームを丸ごと交換することでグリップサイズを変更する方法を採用するなど、様々な改良が各社から提案され、ポリマーフレームは今も進化を続けている。
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