*10mmオート弾 / 10mm AUTO
#author("2019-02-07T00:40:00+09:00","default:user","user")
*10mmオート弾 / 10mm AUTO [#r588bedb]
 1983年((供給は1984年から))に、スウェーデンのFFV ノーマ(ノルマ)社で開発された[[自動拳銃]]用実包。[[9mmパラベラム弾]]と[[.45ACP弾]]の中間、約1センチ((正確には10.16mm、0.4インチ))の直径を持ち、「9mmパラベラム弾よりも威力があり、.45ACP弾よりも初速が高く当てやすい、理想の自動拳銃用カートリッジ」との売り込みでデビューした。

 10mmオート弾は、もともとトーマスF.ドーナウスとマイケルW.ディクソンが設立したドーナウス&ディクソン(D&D)社の要請で、新型[[自動拳銃]]・[[ブレンテン>DD ブレンテン]]のために開発されたカートリッジである。開発に当たってD&Dは、コンバットシューティングの提唱者であるジェフ・クーパーに助言を仰ぎ、奇しくも同様の構想を温めていたクーパーのアイデアも取り込む形で完成した。
 こうして完成した10mmオート弾薬は9mmパラベラム弾よりも弾頭重量・初速の双方において大きく上回る仕様となったため、その威力は当初想定したものを大幅に上回り、.45ACP以上、[[.357マグナム>口径]]に匹敵するものとなった。これらの弾薬は弾頭重量や初速においてほとんど同等であり、現在でも10mmオートはしばしば自動拳銃版.357マグナムという風にも呼ばれる。
 鳴り物入りでデビューした10mmオートだったが、肝心のブレンテンがマガジンの生産トラブルなどで販売が伸びず、道連れになる格好で10mmオート弾も出鼻をくじかれた。その後、[[S&W>スミス アンド ウェッソン]]の[[M610>SW M610]]や[[オートマチック>自動拳銃]]の[[M1076>SW M39]]。[[デルタエリート>コルト デルタエリート]]や[[オメガ>コルト ガバメント バリエーション]]など、[[1911>コルト ガバメント]]をベースとした10mm口径の銃もちらほらと登場し始めるが、デルタエリートやオメガは品質面に問題があり、[[作動不良>ジャム]]を起こすことも多かった。

 10mmオート弾自体も、実際に使用してみると威力過大で、自動拳銃での実戦に用いるにはやや扱いづらいカートリッジとなってしまった。発射の度に銃に高い負荷をかけてしまうため、他の口径からのコンバート(改設計)も難しかった。
 ジェフ・クーパーの肝煎りとあって一部に熱心な支持者も得たものの、長い間ノーマ社以外から実包が供給されなかったこともあり、民間市場になかなか浸透しないまま、10mmオートは暫く「ニッチ(すき間)・カートリッジ」としてくすぶり続けることになる。

 公的機関では、1988年、FBIが「FBIロード」と呼ばれる10mmオートの減装弾を採用する。これは1986年の[[マイアミ銃撃事件]]をきっかけに、FBIが9mmパラベラム弾の威力に不信感を抱いたためだ。
 しかし「炸薬を減らすのであれば、薬莢も小さくした方が、弾薬も銃のサイズもよりコンパクトにまとめられる」として、S&W社が新たに薬莢を短縮した[[.40S&W(10mmショート)弾>.40SW弾]]を提案する。9mmパラベラム弾にサイズも近く威力もそこそこあり、9mm仕様の銃からより簡単にコンバートできるとあって、.40S&Wは、本来10mmオートが目指したニーズに見事マッチしてしまい、より広く支持を集めるようになった。
 その後、テロリストなどの武装犯がボディアーマーを着用するケースが増えたことで、[[H&K MP5>短機関銃/HK MP5]]などの[[短機関銃]]に、一時期10mmオート仕様がラインナップされたが、これも9mmパラベラムの強装弾や、ライフル弾を使用する[[カービン>騎兵銃]]に取って代わられ、公的機関からも10mmオートは次第に姿を消していった。

 こうして対人用としては不成功に終わった10mmオートだったが、捨てる神あれば拾う神あり。今度は対野生動物(ハンティング)用として支持を集め始める。人間相手では過大、あるいは中途半端だった威力が、中・大型の野生動物相手となると、.45ACP弾より強力で頼もしく、リボルバー用の[[.357マグナム弾>口径]]や[[.44マグナム弾>口径]]よりも携帯性や装弾数で遙かに有利と、むしろメリットの方が大きくなった。
 このため、ハンターのバックアップ用として需要が伸び始めたほか、一時は駆逐された法執行機関でも、アラスカ州警察やノルウェーの国境警備隊が野生動物(特にヘラジカやホッキョクグマ)対策の一環として採用を決定し、復活の兆しを見せている。.40S&Wがブームになった事で充実したサプレッサーなどのオプションパーツが同じ10mm口径であるため転用可能となっており、銃自体も.40S&Wから10mmへのコンバージョンが比較的容易なため広がりを見せている。
 とはいえ、拳銃用実包としては未だに「ニッチ・カートリッジ」の域を出ず、一発当たりの単価がまだまだ高いのが難点とされる。
 使用が広がっているものの拳銃用実包としては未だに「ニッチ・カートリッジ」の域を出ず、一発当たりの単価がまだまだ高いのが難点とされる。しかし、近年では.45ACPの単価に迫るまで安くなっている。

|弾丸直径|弾薬全長&br;/薬莢全長|リム形状|弾頭重量|銃口初速|初活力|有効射程|代表的な銃|h
|10.16mm(0.400in)|32.00mm (1.260in)&br;/25.20mm(0.992in)|[[リムレス>リム]]|135gr(8.7g)|1600ft/s|767ft-lbs|−|[[S&W モデル610>SW M610]]&br;[[AMT ジャベリナ>AMT ハードボーラー]]&br;[[D&Dブレンテン>DD ブレンテン]]&br;[[STI エッジ>自動拳銃/STI 2011]]&br;[[グロック 20>グロック 17]]&br;[[コルト デルタエリート]]&br;[[スプリングフィールド オメガ>コルト ガバメント バリエーション]]&br;[[H&K MP5/10>短機関銃/HK MP5]]|

#hr
CENTER:※データは[[DOUBLE TAP AMMUNITION>http://www.doubletapammo.com/php/catalog/product_info.php?products_id=45]]からの抜粋で、[[Nosler JHP>ホローポイント弾]]を4.6インチ銃身から発射した場合の一例です。&br;弾薬の種類や製造元、発射する銃によって数値は異なります。
#hr
----
#pcomment

トップ   編集 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS