#author("2020-02-28T21:49:55+09:00","default:user","user")
#author("2022-05-06T18:59:02+09:00","default:user","user")
*ノースハリウッド銀行強盗事件 / North Hollywood shootout[#ba1798b4]

 1997年、アメリカ・ロサンゼルス、ノースハリウッドにて発生した銀行強盗事件。
 犯人のラリー・ユージーン・フィリップス Jr.とエミール・デクバル・マタサレヌは1990年頭から幾度も銃器を用いての銀行強盗、現金輸送車の襲撃を行っており、最終的に強奪した現金の総額は約1600万ドルにも及んでいた。
 1997年2月28日朝、開店直後のバンク・オブ・アメリカ、ノースハリウッド支店に入り口から押し入った二人は、天井などに銃を乱射したのち、行員に銃を突きつけ現金を要求した。
 彼らが所持していた銃は、両方とも違法にフルオート改造が施された中国製[[56-S式自動歩槍>突撃銃/PRC 56式自動歩槍]]で、ルーマニア製[[AIMS>USSR AK バリエーション]]のボタン式ワイヤー[[ストック>銃床]]を換装し、これも中国製の75発入り[[ドラムマガジン]]が装着されていた。そのうち1丁は、ロアハンドガードが初期型AIMSの物に似た後方に伸びる形のフォアグリップ(米国では通称「リバースドン」と呼ばれる)が付いた物に交換されており、操作性の向上が図られていた。このハンドガードはルーマニア製AIMSの物とよくいわれるが、フォアグリップにAIMSには見ることのできないフィンガーグルーブが確認できるのと、木目調からして、米国のフェデラル・ファイアーアームズ社製のカスタムパーツと思われる。もう1丁の56-S式自動歩槍も、ロシアや東欧製[[AKM>USSR AKM]]の物のように、合板で膨らみのあるロアハンドガードが換装されていた。
 彼らが所持していた銃は、両方とも違法にフルオート改造が施された中国製[[56-S式自動歩槍>突撃銃/PRC 56式自動歩槍]]で、ルーマニア製[[AIMS>USSR AK バリエーション]]のボタン式ワイヤー[[ストック>銃床]]を換装し、これも中国製の装弾数75発及び100発の[[ドラムマガジン]]が装着されていた。そのうち1丁は、ロアハンドガードが初期型AIMSの物に似た後方に伸びる形のフォアグリップ(米国では通称「リバースドン」と呼ばれる)が付いた物に交換されており、操作性の向上が図られていた。このハンドガードはルーマニア製AIMSの物とよくいわれるが、フォアグリップにAIMSには見ることのできないフィンガーグルーブが確認できるのと、木目調からして、米国のフェデラル・ファイアーアームズ社製のカスタムパーツと思われる。もう1丁の56-S式自動歩槍も、ロシアや東欧製[[AKM>USSR AKM]]の物のように、合板で膨らみのあるロアハンドガードが換装されていた。

 二人はバッグに金庫の紙幣をあるだけ詰めさせるが、この間に付近を通行していた住民が強盗に気づき通報。50名以上の警官が現場に到着し銀行を包囲する。
 しかし、犯人の二人は現金の詰まったバッグを持って堂々と入り口から現れ、包囲する警官隊に向けて銃撃を開始。銀行の駐車場にて警官隊との激しい銃撃戦が展開された。
 フィリップスはクラス3Aのケブラー製[[防弾着>ボディアーマー]]を胴体だけでなく腕や脚に着用。マタサレヌも胴体を防弾着で覆っており、警官隊の持つ[[ベレッタ92F/92FS自動拳銃>ベレッタ M92]]や[[.38口径リボルバー>SW M15]]、[[イサカ>イサカ M37]]や[[レミントン>レミントン M870]]の[[散弾銃]]での銃撃を受けても銃撃を続けた。反対に犯人の二人の銃器に装てんされた弾丸はすべて被覆鋼弾であり、パトカーのボディを易々と貫通した。この犯人の銃撃で警官隊や野次馬の一般人が一方的に次々と負傷した。
#ref(x12no.JPG,center,nolink,銀行前での犯人)
 この銃撃戦の途中、奪った札束の中に強盗対策の染料発射機が仕込まれていたために二人はそれを放棄。フィリップスは、自分たちの乗ってきた車に積んでいた[[HK91自動小銃>HK G3]]に持ち替え、TV局のヘリにも銃撃を加えた。
 マタサレヌは自分たちの乗ってきた自動車に乗り込むと車内から発砲しながら駐車場からゆっくりと移動を開始。フィリップスは銃を再び56-S式自動歩槍に持ち替え、マタサレヌが運転する自動車を楯についてくる警官隊に向け発砲しながら徒歩で住宅街へ逃走を図った。
 警官隊は負傷者を増やしながらも包囲しながら追跡を続けたが、フィリップスが自動車から離れ、ライフルに故障が発生して孤立したのを機に二人を分断した。
 孤立したフィリップスは予備として持っていたベレッタ 92FSに持ち替えて警官への発砲を続けたが、警官側の銃撃が防弾着のない手や脚の隙間に命中し負傷。直後にフィリップスはベレッタを自分の顎に押し当てて発砲、自殺した。
#ref(x11no.JPG,center,nolink,住宅街での犯人)
 一方のマタサレヌは自前の自動車を放棄し、他の自動車を強奪しようとしたが、奪ったトラックのキルスイッチ((エンジンや電力系統を手動で緊急遮断する装置。事故時に用いるものだがこのように防犯用途でも用いられる。))を逃げた運転手が咄嗟に起動させていたために立ち往生。
 その隙に[[MP5短機関銃>短機関銃/HK MP5]]と[[AR15自動小銃>コルト AR15A2]]で武装して駆けつけた[[SWAT]]隊員三人がパトカーで急襲。マタサレヌは[[Cマグ>ドラムマガジン]]装着の[[ブッシュマスターXM15・ディシペイターカービン>コルト M4]]((カービン長のバレルにフルレングスのハンドガードとアイアンサイトを備えるモデル。アイアンサイト間の距離が長くなることでカービンサイズながら精度の高い照準が可能。))で応戦し、自動車越しに激しい銃撃戦を繰り広げた。
 SWAT隊員は自動車の下の隙間から狙撃を敢行、結果マタサレヌは脚部を撃ち抜かれ、さらに弾切れとなったために降伏。救急車の到着前に脚部からの出血多量で死亡した。

 約45分に渡って繰り広げられた銃撃戦で犯人側は1000発以上も発砲し、12人の警察官と8人の民間人が負傷するも、奇跡的に犯人以外の死者はなかった(銀行内の人質は金庫に入れられたが、犯人の隙を見て扉を閉め、難を逃れた)。
 この事件で警察にも貫通力の高い火器が必要だと痛感したロサンゼルス警察は、火力の強化としてAR15クラスのライフル/カービンの装備をおし進めることとなった。ちなみに事件の最中、現場指揮官は部下に付近のガンショップから[[自動小銃]]を調達するように命令していた(運搬中に犯人が制圧され、結局間に合わなかった)。
 
 この事件はTV局の空撮によって、犯人が駐車場に現れてから死亡するまでが全米で放映された。
 度々日本の民放の特番にてこの映像が決定的瞬間、衝撃映像として取り上げられることもある。

 後に、空撮報道を元にしたTV映画が『44MINUTES:THE NORTH HOLLYWOOD SHOOT-OUT(邦題:44ミニッツ)』としてアメリカで放映された。
 2003年に公開されたアクション映画『[[S.W.A.T.>特別狙撃隊 S.W.A.T.]]』冒頭の銀行強盗事件は、この事件に基づいて作られたシーンである。

#hr
CENTER:このページの画像は[[YouTube>http://www.youtube.com/]]から転載しています。
CENTER:転載に関しては、転載元の転載規約に従って行ってください。
#hr


----
#pcomment

トップ   編集 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS