#author("2022-11-23T05:00:18+09:00","default:user","user")
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*ガスオペレーション / Gas-operation [#m49cda67]
 [[自動小銃]]などで採用されている自動装填機構のひとつ。
 発砲で生じる燃焼ガスの圧力を一部利用して、チャンバーの開放と薬莢の排出を行い、次弾を装填する方式。バレル内の穴などから発射ガスの一部を導き、バレルと平行に配されたバイパスやピストンを通じて、発砲のエネルギーの一部をボルトへと送り込んでこれを後退させるというもの。

 [[ブローバック]]方式のように発砲の反動を利用する場合、強力な弾丸であればあるほど、ボルト(或いはスライド)の後退スピードは増す。よってそれらが破損する危険も当然増すので、反動のショックやスピードを抑えるためにボルト/スライドを閉鎖するスプリングをより強いものとしたり、或いはボルトや火器本体をより重くより頑丈なものとしたりする必要がある。だが、あまり強いスプリングでは、初弾を送るさいにボルト/スライドを手動で引くことが困難となるうえボルトの前進スピードは増し、頑丈だが重すぎるボルトや火器は個人での携行が困難となる((エリコン20mm機関砲など、乗り物に固定される火器の場合はこうした制限を(あまり)受けないことから、小火器でいうところのストレートブローバックは大口径機関銃/砲にも用いられている。一般に「APIブローバック」と説明される機構がそれである。))。
 しかし、ガスオペレーションの手法なら、構造はブローバックよりやや複雑となるが、ボルト/スライドの開放に必要なエネルギーのみを取り出すことが出来るので、むやみにスプリングなどを強くする必要はなくなり、使用者が操作するさいの負担は軽くなる。ガスオペレーションが、[[デザートイーグル>IMI デザートイーグル]]のような大口径[[自動拳銃]]や自動小銃などの強力な弾丸を使用する銃に採用されている所以である。

 ガスオペレーションには、ショートストローク、ロングストローク、ガストラップといったピストンを介する方式と、[[ガス直噴方式]]の四つが存在する。なお、ピストンを介さない[[M16>コルト AR15]]などに採用されているガス直噴式のものは、(銃そのものの数はともかく)少数派である。
 ショートストローク-ガスピストン方式は、古くは[[SVT>自動小銃/USSR SVT]]や[[G43>ワルサー Gew43]]、[[M1カービン>ウィンチェスター M1]]。第二次大戦後には[[M14>スプリングフィールド M14]]や[[FAL>FN FAL]]、[[AR18>アーマライト AR18]] 。近年は[[G36>HK G36]]や[[SCAR>FN SCAR]]など、最新の[[アサルトライフル>突撃銃]]でも採用されている方式である。ピストンとボルトグループはそれぞれ独立しており、発射ガスで押し出されたピストンが、更にボルトグループを蹴り出すという仕組みだ((ビリヤードや衝突球の仕組みと一緒で、ピストンは衝突した時に運動エネルギーをボルトグループに受け渡して停止し、ボルトグループはその慣性によって後進する。結果としてピストン自体の移動距離はごく短いものとなる。))。機構は後述のロングストロークに比べ複雑だが、駆動に必要なエネルギーや反動が小さくて済むという利点がある。
 ロングストローク-ガスピストン方式は、[[AK47>USSR AK47]]や[[M1ガーランド>スプリングフィールド M1]]が採用している、ボルトキャリアに固定されたオペレーションロッド(もしくはピストン)をガスで駆動するシステムである。ロッドが重く慣性モーメントが大きいため反動が大きくなるものの、構造がシンプルで頑健な点で優れている。 
 またガストラップは、開発段階のM1ガーランドが採用していたものである。銃口付近にトラップを設け、マズルブラストを利用してガスピストンを動作させる仕組みだったが、ものにならず、結局ロングストローク-ガスピストン方式に落ち着いたという経緯がある。

 これらガス圧利用方式では、「ガス規制子」という絞りを掛ける機構を採用する例がある。銃の動作に必要なエネルギーの量は銃本体の作動機構内部の汚れや歪みで変化し、また[[弾薬]]の燃焼で発生するエネルギーも、装薬の量や燃焼速度、弾自体の製造品質によって変化する((この他にも[[減音器]]などのマズルデバイスの使用によって動作機構に伝わるエネルギーの量が変化する場合がある。))ことから、発射ガスの取り出し、もしくは余剰ガスの排出量を調節することで、作動に必要なガス圧に最適化する(([[FAL>FN FAL]]など一部の銃では絞りではなく、引き込んだ発射ガスから捨てる量を調整する事で、自動装填機構に伝達するエネルギーの量を加減するようになっている。))ための機構である。特に[[機関銃]]のようなフルオートマチック射撃が可能かつ、安定した持続射撃が求められる火器に設けられる。第二次世界大戦の頃からは[[自動小銃]]などにも設けられる事が多くなっている。
 これらガス圧利用方式では、「ガス規制子」という絞りを掛ける機構を採用する例がある。銃の動作に必要なエネルギーの量は銃本体の作動機構内部の汚れや歪みで変化し、また[[弾薬]]の燃焼で発生するエネルギーも、装薬の量や燃焼速度、弾自体の製造品質によって変化する((この他にも[[減音器]]などのマズルデバイスの使用によって動作機構に伝わるエネルギーの量が変化する場合がある。))ことから、発射ガスの取り出し、もしくは余剰ガスの排出量を調節することで、作動に必要なガス圧に最適化する(([[FAL>FN FAL]]など一部の銃では絞りではなく、引き込んだ発射ガスから捨てる量を調整する事で、自動装填機構に伝達するエネルギーの量を加減するようになっている。))ための機構である。特に[[機関銃]]のようなフルオートマチック射撃が可能かつ、安定した持続射撃が求められる火器に設けられる。
 ガス規制子を採用していないガスオペレーションの火器も多く存在する。[[AK>USSR AK47]]や[[M16>コルト AR15]]がその例で、多くの発射ガスを引き込み高めのガス圧を得ることで動作信頼性をあげる設計となっている。代償としてAKではボルトの後退速度が速くなり過ぎて機関部後端への衝突時の振動や負荷が大きく耐久性と連射時の射撃精度を損ねており、M16ではボルトキャリアにガスシリンダーを有する設計上、排莢孔から余剰ガスを排出するため、左利きの射手の場合は余剰ガスが射手の顔面近くに噴出してしまう他、[[減音器]]を使用した際にはチャージングハンドルの隙間から射手の顔面に向けて余剰ガスが噴出してしまう場合がある。

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