*SAT(Special Assault Team):日本警察特殊急襲部隊 [#y02709c2]
*SAT(Special Assault Team):特殊急襲部隊 [#y02709c2]

 1970年代に起きた日本赤軍によるダッカ事件。テロ対策に関して、当時の日本政府は全くの無知であり、政府が決定した超法規的措置で容疑者の要求を丸呑みにしたことが原因で、日本は、欧米諸国から『テロリスト輸出国家』と名指しで批難されるという屈辱を味わった。
 この汚名返上を図るため、異例中の異例とも言える速さで設置が決定された対テロ専門の特殊部隊がこのSAT(日本警察特殊急襲部隊)である。
 完全新設の部隊ではなく、元は機動隊の内部にあったSAPという特殊作戦チームから派生した部隊であり、現在の隊員の総数は確認できているだけでも約350名。
 現在は全国12都道府県の警察本部に配備され、ハイジャック事件やSIT、銃器対策部隊では対処の難しい事案に対処することになっているが、2005年の8月下旬には新たに沖縄県警にもSATが20人体制で設置されたことは記憶に新しく、また札幌で行われた大規模な対テロ訓練においては、[[自衛隊]]員に混じって、表向きは機動隊の銃器対策部隊としてSATが訓練に参加していることが確認されている。
 SAT(サット)は、ハイジャック事件や刑事部の特殊犯捜査係(SIT、MAATなどと呼ばれる。捜査第一課に所属)だけでは対処が困難な事件に対応する、日本警察の特殊部隊である。
 なお、「特殊急襲部隊」という呼称は、英語の部隊名「Special Assault Team」を日本語に直訳したもので、[[警察庁]]が発表している正式な部隊名は「特殊部隊」である。

 隊員は若手の、それも優秀な警察官から選抜され、つい最近までは、その存在事体が警察内部でも極秘扱いとされてきた(事実に所属隊員は警察の名簿から存在を抹消されていたらしい)。その装備体系や訓練方式は無駄が多いとも言える警官の訓練とは別次元の存在であり、かつては類似した事件で日本とは真逆の対応を取り、その勇名を馳せたGSG9を参考しているが、訓練そのものはアメリカの[[SWAT]]やHRT(アメリカ連邦捜査局・人質奪還部隊)との共同訓練を通じての実力養成を図ることを第一義としていたらしい。
 ところが、それが結果的に上手く行かなかったようで、現在は設立時に参考にした[[GSG9]]や[[GIGN]]といった、ヨーロッパの名だたる名門対テロ部隊との共同訓練や人員交換をすることの方が多いようだ(装備からしてもかなりヨーロッパ的である)。
 部隊創設のきっかけは、1977年に発生した日本赤軍によるダッカ事件にまで遡る。政府が決定した超法規的措置により、犯人グループの要求を受け入れたことが原因で、日本は、欧米諸国から『テロリスト輸出国家』と名指しで批難された。
 このダッカ事件を教訓として、警察庁は同年の11月1日、警視庁と大阪府警察の機動隊に、ハイジャック対策を主要任務とする特殊部隊を設置した((なお、SITなどの特殊犯捜査係は1964年に設置された。))。発足のため元警察庁長官の後藤田正晴、あさま山荘事件で指揮を執った佐々淳行が尽力を尽くした。
 警視庁では通称「特科中隊」、大阪府警では「零(ゼロ)中隊」と呼ばれ、1980年代初頭から警視庁部隊はSAP(Special Armed Policeの略称)と呼ばれるようになる。他の道府県でも同様の特殊部隊に近い武装班が設置されたがこれらの部隊の存在は、警察内部でも極秘扱いとされていた。

 警察庁が公開した訓練の映像が民放各社を通じて、全国放送されたことで話題となった部隊だが、今もなお、その全容は謎に包まれており、とにかく秘密の多い部隊ではある。 
 ただ、内部の情報がそれなりに開示されており、以前では知りえることが不可能に近かった隊員個人の装備や訓練の内容が明らかになることも多くなり、それと同時に一般レベルにおける部隊の存在そのものも確実に認知され、浸透しているようだ。
 創設後、いくつかの事件(1979年の[[三菱銀行強盗殺人事件]]、1992年の町田民家立て籠もり事件、1995年の山梨県上九一色村のオウム真理教本部強制捜査など)に出動したのち、1995年の[[函館空港ハイジャック事件]]に警視庁部隊(SAP)が出動したことで、存在が明らかとなった。
 1996年4月1日、警察庁は今後も増大するであろうテロ事件に対応する目的で、既存の特殊部隊を強化し、さらに主要5県警にも部隊の増設が決定され、正規の部隊としてSATが発足し、同年にその存在が公表された。
 2002年には、警察庁が警視庁所属のSATの訓練映像を公開し、民放各社を通じて全国放送されたことで話題となった。
 2005年8月には新たに沖縄県警にもSATが20人体制で設置された。現在は8都道府県(北海道、東京、千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡、沖縄)の警察本部に配備され、隊員の総数は約300名である。また、2005年に札幌で行われた大規模なテロ対策訓練では、陸上[[自衛隊]]員と共に、北海道警察のSATと見られる部隊が訓練に参加している。
 
 SATの装備体系や訓練方式は、ドイツの特殊部隊[[GSG9]]を参考としている。GSG9は、1977年の[[ルフトハンザ機ハイジャック事件]]で犯人制圧と人質救出に成功した部隊である。
 また、SATは過去にアメリカの[[SWAT]]や、連邦捜査局(FBI)の特殊部隊HRT(Hostage Rescue Teamの略称)と合同訓練を実施したと言われているが、そのノウハウの導入は結果的に上手くいかなかったようで、現在は、設立時に参考にしたGSG9や[[GIGN]]といったヨーロッパの特殊部隊と共同訓練や人員交換をすることの方が多いようだ(装備からしてもかなりヨーロッパ的である)。また、オーストラリアのパースに所在する大規模な市街戦・屋内戦用の訓練施設(通称キリングヴィレッジ)で訓練を行ったと言われている。

 アメリカのSWATやドイツのGSG-9、SEK、イギリスの[[SAS]]などと比べれば、その出動回数は非常に少なく、出動してもオブザーバー的立場であることが多いので、部隊の実力は如何ばかりかと疑問に思える。しかし、実際の戦力は高次元であり、実戦経験を積めばかなり強力な特殊部隊に変容する可能性を秘めていると言えるだろう。実際に、部隊の練度を調べたある国の対テロ部隊広報担当者曰く、「士気も高く、装備も隊員の素質も充分である」とのこと。
 SATは、テロ対策を主要任務とする特殊部隊であるため、部隊の詳細は公表されていない。また、SATに入隊すると隊員は、「部隊で見たり聞いたりしたことを他人に話せば、時には法で罰せられる。家族に対しても同様である。」という訓示を受け、保秘を徹底させられると言われている((愛知立てこもり事件においてSAT隊員が殉職した際、隊員の両親は「死亡するまで、息子がSAT隊員であることを知らなかった」と報道されている。))
 ただし、近年は内部の情報がそれなりに開示されており、以前では知り得ることが不可能に近かった隊員個人の装備や訓練の内容がある程度、明らかになり、国民に部隊の存在そのものも確実に認知され、浸透しているようだ。

|拳銃|狙撃銃|短機関銃|突撃銃|h
|[[シグザウアー P226]]&br;[[H&K USP>HK USP]]|[[PSG1>HK PSG1]]&br;[[レミントン M700]]|[[H&K MP5>HK MP5]]|[[豊和工業 64式小銃]]&br;[[豊和工業 89式小銃]]|
 アメリカのSWATやドイツのGSG9、SEK、イギリスの[[SAS]]などと比べれば、その出動回数は非常に少なく、出動してもオブザーバー的立場であることが多いので、部隊の実力は如何ばかりかと疑問に思える。しかし、実際に部隊の練度を調べたある国の対テロ部隊広報担当者曰く、「士気も高く、装備も隊員の素質も充分である」とのこと。
 一方、メディア作品での扱いは正式発足当初は「敵にあっさり殲滅される」という役回りが多かった。これは、ハリウッドのアクション映画において、[[SWAT]]が簡単に殲滅されてしまうパターンと同様であり「主役を目立たせる」、「敵の強大さをアピールする」という演出上の存在として扱われることも多い。ただ、日本の場合は「危機管理能力の甘さ」や「平和ボケ」などを強調させる狙いもあったようである。現在ではメディアにおいても「練度の高い部隊」という認識も増えつつある。

 なお、2007年5月に発生した愛知県立て篭もり事件で、出動したSAT隊員が犯人に撃たれ死亡する事態が起きた。SATが編成されて以来、現場で隊員に犠牲者が出たのは、この事件が初めてである。この事件を受け、警察庁は同年6月、SAT支援チーム「SSS」(SAT・サポート・スタッフの略称、スリーエスと呼称)を発足させた。

 また、埼玉県警察警備部機動隊第3中隊には「RATS」という銃器対策部隊が存在している。銃器対策部隊であるが対テロ作戦を遂行する部隊として編成されている。

|突撃銃|拳銃|狙撃銃|短機関銃|h
|[[豊和工業 89式小銃]]&br;[[豊和工業 64式小銃]]([[スコープ]]を取り付た狙撃用。SAPが使用)|[[H&K USP>HK USP]]&br;[[シグザウエル P226]]&br;[[グロック 19]]&br;[[H&K P9S>HK P9S]](SAPが使用)|[[豊和工業 M1500>小銃/豊和工業 M1500]]&br;[[豊和工業 ゴールデンベア>豊和工業/豊和ゴールデンベア]](SAPが使用)&br;[[レミントン M700>小銃/レミントン M700]]&br;[[PSG1>HK PSG1]]|[[H&K MP5A5>短機関銃/HK MP5]]&br;[[H&K MP5K>短機関銃/HK MP5K]](SAPが使用)&br;[[H&K MP5SD6>短機関銃/HK MP5SD]](SAPが使用)|

+■SAT出身の人物(実在)
++(資料なし)
++林 一歩(巡査部長、殉職により警部に特進)
++伊藤 鋼一(元SAP隊員)

+■SAT出身の人物(架空)
++香川 達也(七曲署捜査一係'99)
++草壁(踊る大捜査線)
++高見(ホーク B計画)
++坂東(エルフェンリート)
++盾 雁人(闇のイージス)
|登場作品|人物名|備考|h
|[[エルフェンリート]]|坂東|−|
|[[踊る大捜査線]]|草壁|−|
|[[七曲署捜査一係'99>太陽にほえろ!]]|香川 達也|−|
|ハルノクニ|蜂谷キリコ|−|
|ホーク B計画|高見|−|
|[[闇のイージス]]|盾 雁人|−|
|[[レインボーシックス シージ>レインボーシックス#siege]]|火花(今川 由美子)|愛知県警所属|
|~|エコー(江夏 優)|~|
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