#author("2021-02-27T18:20:47+09:00","default:user","user")
*M-LOK [#l08e6c0f]
#author("2024-02-22T18:51:43+09:00","default:user","user")
*M-LOK(エムロック) [#l08e6c0f]
***概要 [#tf1bb89b]
[[マグプル>マグプル・インダストリーズ]]社が開発した新世代の[[アクセサリーレイル>マウントレール]]規格。大きさと間隔が規格化された丸角の長方形型スロット穴を介してアタッチメントや従来の[[ピカティニーレイル>ピカティニーレール]]を取り付ける仕組みとなっている。主に[[ハンドガード]]での使用を想定している。[[レイルハンドガード>レイル インターフェイス システム]]と異なり、開口部多くなる分軽量かつ放熱性が高いという特長を持っている。またレイルマウントと比べ凹凸が少ないため保持性も高い。
M-LOKをはじめとするモジュラーレイルシステム全般の弱点として、直接ハンドガードに成型されたピカティニーレイルと比べ耐久性、耐熱性、取り付け精度が劣ってしまう。このため、モジュラーレイルシステムのハンドガードでも照準器のために高い精度が求められる上面は直接成型のピカティニーレイルであることが多い。
 アメリカの[[マグプル>マグプル・インダストリーズ]]社が2014年に開発した[[マウントレール]]規格。
 レール単体を着脱するためのモジュラーレール規格で、専用のナットをレール側に締めこみ、丸角の長方形スロットに接続する。同規格のアクセサリーならばレールを介さず直接マウントすることも可能で、これまで各社が検討してきた、必要な分のレールをハンドガードに脱着可能な「モジュラーレールシステム」の一つである。「Tスロットナット」の採用で表側からボルトを締めこむだけでアクセサリーの固定が可能で、M-LOKレールを銃本体から外すことなくアクセサリーを付け外しできる。またアメリカ産まれながら[[ヤード・ポンド法>ヤード・ポンド法の単位]]ではなく、メートル法で設計されているのも特徴。

 M-LOKのスロットは開口部が広く、軽め穴と放熱孔を兼ねる。また従来の[[レイルドハンドガード>レイル インターフェイス システム]]と比べ、レールを装着しないことで、直接保持がしやすくなる。
 一方、モジュラーレールシステム全般に共通する弱点ではあるが、直接ハンドガードに成型されたレールと比べると耐久性、耐熱性、取り付け精度はどうしても劣ってしまう(このため、照準器のために高精度が求められる上面は通常、直接レールが成型される)。また、マウントレールと違い、アタッチメントの取り付け位置を細かく調整することは出来ない。

 M-LOKシステムはフリーライセンスであり、マグプル社の許可を得ることで無料で使用・販売することが出来る(オープンソースではないため無許可の使用はできない)。あえて許可制とすることで、システムを採用した製品間の互換性を保証するという考えがあるようだ。
 2012年に登場したKEYMOD(後述)とは規格争いが続いていたが、2017年に米軍SOCOM傘下のNSWCクレーンから「M-LOKはKEYMODより耐久性に勝る」という試験結果が発表されてからは、軍民問わず新型レイル規格として大きく広がりを見せている。米軍でも更新が行われた[[SOPMODキット>コルト M4]]のハンドガードにはM-LOK規格が採用されている。

***歴史 [#j44ab963]
レイルハンドガードは先進の銃器には当たり前の装備となったが、全面がレイル化されたレイルハンドガードはいくつか問題を抱えていた。まず大抵が金属製のため重くなりやすい。また、ギザギザのレールは別途カバーを付けないと手で保持しづらく、レールの加工精度によっては素手で触ると切り傷ができてしまう。そのためハンドガードを製造する各社は必要な分だけレイルをハンドガードに取り付けるモジュラーレイルシステムを模索し始めた。レイルハンドガードの先駆者である[[KAC>ナイツ・アーマメント・カンパニー]]社もURX3で独自規格のモジュラーレイルシステムを導入している。
※[[マウントレール]]並びに[[ピカティニーレール]]の項も参照されたし

そんな中、2007年マグプルは自社開発の[[MASADA>マグプル MASADA]]にMOE(Magpul Original Epuipment)という独自のモジュラーレイルシステムを導入した。後の2009年には[[AR15>コルト AR15]]向けのハンドガードに搭載され販売されることとなる。同時にMOEのスロットに対応したアタッチメント類も併売された。MOEは形状こそ現在のM-LOKに似ているが、MOEは従来のボルト+ナットの組み合わせで取り付けるもので、ハンドガードを銃から取り外した状態でなければ脱着が行えず、またスロット配置も十分なものでなく、アタッチメント配置の自由度が低かった。
 [[KAC>ナイツ・アーマメント・カンパニー]]社が開発してから、様々な銃で標準装備されることになったレイルドハンドガードではあるが、材質・形状故に重量化しがちで素手での保持性も悪いという問題があった。そのためハンドガードを製造する各社は、ハンドガード全面をレール化するのではなく、必要な分だけのレールを脱着できるようにしたり、あるいはアタッチメントを直接装着可能にしたりするモジュラーシステムを模索し始めた。KAC社自身もURX3で独自規格のモジュラーシステムを導入している。

そして2014年に登場したM-LOKはMOEの欠点を克服した。まず脱着については「Tスロットナット」を採用することで表側から、つまりハンドガードを銃に取り付けた状態でアタッチメントの脱着が可能になり、自由度の低かったスロット配置も改善された。また、アメリカ産まれながらメートル法に則って設計されているのも特徴である。
また、M-LOKはフリーライセンスでマグプルの許可を得ることでサードパーティーが無料でM-LOKシステムを利用することが出来る(オープンソースではないため無許可の使用はできない)。許可制とすることで、M-LOKシステムを採用した製品間の互換性を保証するという考えがあるようだ。
 そんな中、マグプル社は2007年に自社開発した[[MASADA>マグプル MASADA]][[突撃銃]]に「MOE(Magpul Original Equipment)」という独自のモジュラーシステムを導入。2009年には[[AR15>コルト AR15]]向けのハンドガードパーツにも導入した他、MOEのスロットに対応したアタッチメント類も発売した。
 このMOEは形状こそ現在のM-LOKに似ているが、アタッチメントの取り付け方はハンドガードの裏側にナットを入れ、表側からボルトを締めるというもので、ハンドガードをいちいち銃から取り外す必要があった。またスロット配置も十分なものでなく、アタッチメント配置の自由度は低かった。
 これらの問題はM-LOKで改善され、固定方法については前述のTスロットナットの採用で解決し、スロット配置に関しても併せて改善されている。

既に登場していたオープンソースのKEYMOD(後述)と規格争いをすることとなったが、2017年のSOCOM傘下のNSWCクレーンで行われた試験で「M-LOKの方がKEYMODより耐久性が高い」という結果が示された。その後更新が行われた[[SOPMODキット>コルト M4]]のハンドガードにはM-LOK規格が採用されている。

***補足 KEYMODについて [#p36f8f9f]
M-LOK登場の少し前の2012年にVLTOR Weapon Systemsによって開発されたマウントレール規格。M-LOKと同じスロット穴式であり、用途も同じである。特徴的なのがスロット穴で''鍵穴''のような形状をしており、名前の由来にもなっている。M-LOK同様ハンドガードを銃から取り外すことなくアタッチメントの脱着が可能な設計となっている。M-LOKと異なりこちらはオープンソースで自由な使用が許可されている。
ドイツの[[H&K>ヘックラー ウント コッホ]]社はKEYMODを独自に改良し、HKeyという名前で自社製品に採用している。KEYMODではヤード・ポンド法で設計されているのに対し、HKeyはメートル法のため、二者間での互換性はない。
 M-LOK登場の少し前の2012年に「VLTOR Weapon Systems」によって開発されたマウントレール規格。こちらはオープンソースで自由な使用が許可されている。
 M-LOKと同じスロット穴式であり、ハンドガードを銃から取り外すことなくアタッチメントの脱着が可能な設計となっている。スロット穴は''鍵穴''のような形状をしており、これが名前の由来にもなっている。

 ドイツの[[H&K>ヘックラー ウント コッホ]]社はKEYMODを独自に改良し、「HKey」という名前で自社製品に採用している。KEYMODではヤード・ポンド法で設計されているのに対し、HKeyはメートル法のため、二者間での互換性はない。

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