第2次世界大戦中、イギリスで開発された特殊作戦用の消音拳銃。9mmパラベラム弾を使用するモデル(Mk.I)と.32ACP弾を用いるモデル(Mk.II)が存在し、約2800挺ほどが製造された。
設計を行ったISRB(Inter-Services Research Bureau,イギリス統合調査局)*1は、SOE(Special Operations Executive,イギリス特殊作戦執行部)のための特殊作戦用装備を開発・製造する部門である。ウェルロッドは当然このSOEで使用されたが、SASやアメリカのOSS(Office of Strategic Services,戦略諜報局)が使用することもあった。
銃の本体は直径1.25インチ、長さ12インチの円筒形。作動方式はボルトアクションで、ボディ後端にボルト操作用の握りを備えている。単純ゆえに頑丈かつ静かであり、理論上は撃針が雷管を打つ音と発砲音しか発されない。
銃身はサイレンサーに内蔵された一体型で、いくつかの穴が空けられており、発砲音を抑制すると共に発射ガスを銃身から逃がすことによって腔圧を落とし、弾丸の飛翔速度を音速以下に抑えて衝撃波を生じさせない仕組みだった。初速が音速を超える9mmパラベラム弾では、この機構は極めて重要だったようだ。実際の減音性能は、発砲音を73dB程度にまで(Mk.IIでは最高状態で35dBまで)軽減することが出来たようで、特製弾薬を使用する64式微声手鎗などと比べても遜色のない性能といえるだろう。
この他、ウェルロッドはいかにも「隠密用」といった工夫がいくつもうかがえる。凹型の銃口クラウンは、標的に押し当てて撃つ場合にぴったりと密着するので、銃声の漏れを最小限に抑えることができ、グリップはそのまま弾倉となっており、取り外すことによって容易に隠し持つことが出来た。また、アイアンサイトには夜光塗料が塗布されていた。
特殊作戦用の銃という特質上、ウェルロッドには製造元の工場や国を示すマークは一切記されておらず、シリアルナンバーだけがいくつかの不可解な記号で記されていた。しかし、これらの記号は製造時には記されておらず、供給先の英軍側でつけられたものだという。
登場作品 | ジャンル | 使用者 | 備考 |
メダル オブ オナー ライジングサン | − | − | 項目参照 |
最新の10件を表示しています。 コメントページを参照