CQC(Close Quarter Combat):近接戦闘

 軍隊や警察において、相手が目の前に居る距離での戦闘術の総称。打撃や投げ技はもちろん、刃物や至近距離での射撃なども考慮に入れており、屋内や市街地での戦闘において重要視されている。

 CQCの始祖はウィリアム・E・フェアバーン(William E. Fairbairn)という人物で、柔道や中国拳法をベースに対武器格闘術を考案し、それに銃火器や刃物などの技術を加えたものを軍隊用格闘術としてまとめあげた。これを第二次世界大戦中に連合側の各国兵士に訓練したものが、現代のCQCの源流であると言われている。

 しばしばCQBと混同されることもあるが、CQCが至近距離における個人の戦闘技術であるのに対し、CQBは複数の兵士で構成された部隊が連携しあうための戦術である、という解釈が一般的である。しかし、欧米の文献などでは違った解釈が多くあることも事実であり、CQBとCQCを全くの同義語として扱っていたり、CQCの中でも徒手格闘術の部分を別個に扱っていたりと、様々な解釈が混在しているので注意が必要である。

 一方、兵士を想定した格闘術が、武道の流派のように体系的にまとめられたものもある。代表的なものとしては、イスラエルのクラヴ・マガやロシアのシステマなどが挙げられる。こういった軍隊格闘術から危険な技などを取り除いたものが一般向けに公開されており、誰でも習得することができる。このような「民間向けCQC」は、拳銃や刃物を持った相手に対する護身術として、近年注目を浴びている。

  余談だが、最近のメディア作品でCQCを大きく取り上げた作品としてメタルギアソリッド3及びその続編がある。CQCという単語を広めた功労者である反面、作中では「CQCとは、ライフルを持った相手にかける投げ技のことである」とも取れる描写がなされており、「CQC=格闘術」という必ずしも正しいとは言えない解釈を流布しているともいえる。そのような解釈が制作サイドの本意でないことは外部文献で言及されているが、ゲーム的な演出のためにある程度リアリティを犠牲にしていることも認めている。

 ちなみに、FN SCARの"CQCモデル"など、銃名にCQCと付く場合は、近距離でも使用できるように銃身を短かくしたりフォアグリップなどを付けて取り回しを良くした物の事を指す。


最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 個人的に調べた文献で色々と面白いことが書いてあったので、大幅に加筆させていただきました。 -- 2008-09-10 (水) 05:30:37
  • 確定口調で書いておられますが「個人的に調べた文献で」とは?「CQC」は日英wikipediaもそうですが『MGS3以前』の存在が確認できない単語で、残念ながら物凄く怪しい項目になってます・・・ --  ? 2012-05-16 (水) 20:06:31
  • CQCという呼び名はゲーム メタルギアソリット でミリタリー監修に参加した毛利のアドバイスにしたがって作られた、創作だと思われますが -- 2012-11-06 (火) 19:59:51
  • 言葉の意味としてはCQCとCQBは単に距離・規模的な戦闘状況の違いを曖昧に示すものであり、特に大きな違いが有る訳ではありません。実際英語版Wikipediaでは単に同一のページのタイトルとして「CQC or CQB」という風に全く同列で扱われています。 -- 2012-11-06 (火) 21:35:27
  • 距離・規模的な戦闘状況の違い] -- 2012-11-09 (金) 03:14:57
  • 「距離・規模的な戦闘状況の違い」って「大きな違い」じゃないの? -- 2012-11-09 (金) 03:15:33
  • 「距離・規模的な戦闘状況の違い」を「曖昧に」示すものです。一般に英語では戦闘の規模を大きい方からWar>Battle>Combatのように示しますが、あくまでニュアンス上での違いであり特にCombatとBattleはCombatの方がより格闘に近いイメージがあるものの、紛争などをCombatと呼ぶ場合もあり明確な線引きは特にありません。両方の言葉がほとんど同じ状況で使われると言った方が正しいでしょうか。 -- 2012-11-09 (金) 03:48:17
  • 徒手格闘的な意味でCQCと使われるようになったのはMGS以降で、ゲーム以前には存在せず、ゲーム特典DVDに毛利氏の関連映像あり。 -- 2012-11-24 (土) 23:48:00
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