ドイツのDWM社が開発した拳銃用実包。大本はボーチャードピストル用に設計された7.65mm×25ボーチャード弾であり、オーストリアの銃器技師ゲオルグ・ルガーによってパラベラムピストル用に、7.65mm×21パラベラム弾として再設計された。これをもとに、改良型のパラベラムピストルM1902用に1902年に開発されたのが、9mm×19パラベラム弾である。
高い初速ながら弾頭が重く弾道が安定しており、発砲時の反動も比較的弱く、多弾装化が容易、大量生産に向いているなどの利点があり、現在では自動拳銃や短機関銃の使用弾としてもっとも普及した弾薬である。
なおパラベラムとはDWM社のモットーでもあるラテン語の諺「Si Vis Pacem, Para Bellum(汝平和を欲さば、戦への備えをせよ)」から名付けられたもの。
自動拳銃ならベレッタ M92、短機関銃ならH&K MP5などといった著名な銃の弾薬であることから各種メディアで言及される事も多いが、大抵の場合いわゆる大口径主義の引き合いに出される程度のもので、「威力の小さい、非力な弾」といった扱いをされる事が多い。こうした扱いは特に古いゲームなどでは顕著で、「序盤に出てくる素手よりはマシな銃」といった扱いが多かった。
実際には9mm×19パラベラム弾は拳銃弾の歴史から言えばどちらかと言えば大口径弾に相当するもので、初速やエネルギーもかなり高いものである。しばしば.45ACP弾と比較される事も多いが、事実として両者は弾頭重量や初速にそれぞれ一長一短があり、威力自体は大きく差のあるものではない。そもそも.45ACP弾は1875年設計の.38ロングコルト弾の威力不信から開発されたものであり、.45ACPと同時期に開発された9mm×19弾はより洗練された.38口径弾と考えるべきであろう。
NATOで規定される9mmx19NATO弾は、SAAMIの定める通常の圧力(35000psi)より強い圧力(36500psi)が設定されており、強装弾(+P弾)に相当する。
弾丸直径 | 弾丸全長 /薬莢全長 | リム形状 | 重量 | 銃口初速 | 初活力 | 有効射程 | 代表的な銃 |
9.02mm(0.355in) | 29.69mm(1.169 in) /19.15mm(0.754in) | リムレス | 8.04g | 1150ft/s(351m/s) | 364ft-lbs(494J) | 50m*1 | ルガー P08 ベレッタ M92 グロック 17 H&K MP5 IMI ウージー エルマベルケ MP40 |
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