5.56mm NATO弾/5.56×45

 現NATO制式ライフル弾薬である5.56mm×45弾は、さらに小口径化された22口径で、1957年に開発された.223Remigtonという民間用弾薬をベースにして作られた。0.223インチをメートル法に換算すると、5.66mmとなって計算が合わないが、実測ではたしかに5.56mmで.223という数字は以前に開発された.222(5.56mm)Remigtonの改良版であることを消費者に伝えるためと商標登録関連の混乱を防ぐためのものである。
 このNATO制式ライフル弾と同口径で、ライフルにも拳銃にも使用される弾薬に.22LRという弾薬があるが、こちらはストレート形状の薬莢の長さが15mmしかなく、発射薬の質も量も違うため、飛距離も貫通力もストッピング・パワーも低く、比較の対象にするならない。

 5.56mmのNATO制式ライフル弾は、M16A1が米軍制式銃だったころはM193という名称を与えられていた。弾薬質量は3.56グラムで、弾丸が銃口を出たときの初速は約975m/sだった。
 しかし、ケブラー材を使った軽く硬質なボディ・アーマーや頑丈なヘルメットが開発され、兵士もそれを着用するようになると、今度はそれを貫くことができる弾薬が開発されて、こちらがNATO制式ライフル弾となった。
 これは、ベルギーのFN社が開発したSS109、米軍ではM855と呼ばれているもので、鉛の弾芯を少し重くしてスチールチップを組み込み、人体への破壊力を増強させたものである。人体へ侵入すると回転するため血管や神経を切り刻み、多大なダメージを与える。
 この弾薬はM193とは逆に貫通抵抗が増すため、盲管銃創(貫通しないで体内で弾丸が残る)となって、前線での傷の手当てを困難にさせる。
 この弾薬を撃てるようにしたのが、1989年にM16A2で、銃腔には弾丸が7インチ進むと一回転するきつい施条が切られている。軍用ライフルの弾薬は、同じ口径ならいずれも外見がそっくりなので、訓練用の弱装弾などと区別しやすいように、弾薬の先端に見やすい色をつけてある場合もある。例えば、M855の先端はグリーンに塗られていて、別名グリーンチップ弾とも呼ばれている。


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