*.380ACP弾 / 9mm Short / 9mm Kurz / 9mm×17

 1908年に[[コルト]]社が製造を開始し、コルトM1908(コルトM1903の派生型。外見はM1903と変わらない)に最初に使用された弾薬。ただし、他のACP弾とは異なり、コルトのオリジナルではなく、、[[ジョン・ブローニング>ジョン・モーゼス・ブローニング]]が[[9mmパラベラム弾]]の薬莢を2mm短縮し、扱いやすくアレンジしたものである。このため、「9mmショート」、あるいはドイツ式に「9mmクルツ」とも呼ばれる。

 [[威力>弾薬の威力]]は9mmパラベラムより落ちたが、その分、小型の拳銃でも[[ストレートブローバック>ブローバック]]機構で射撃可能となり、銃の構造を簡素化できる。
 9mmパラベラム弾の拳銃でも、[[H&K VP70>HK VP70]]や[[アストラ 600>アストラ M1921]]など、ストレートブローバック式の銃も存在するが、前者は発射ガスを逃がすことにより低反動化を行っているので、エネルギーも.380 ACP弾と同程度まで大幅に低下している。
 後者は強力な弾薬に対応するため、リコイルスプリングが非常に強く、その圧力は人力で操作する実際上の限界とも言われる。
 拳銃で無理なくストレートブローバックで発射できる弾薬は、[[9mmマカロフ弾>口径]]や[[9mmポリス(9mmスーパー)弾>口径]]など、『9mmx18』が限度とされる。

 .380ACPは威力も必要十分で扱いやすく、[[FN M1910]]や[[ワルサー PP]]などの中型自動拳銃において広く普及し、特にヨーロッパにおいては警察用の弾丸として一世を風靡した。
 後にヨーロッパの警察用拳銃は9mmパラベラム弾を使用する大型拳銃が取って代わったが、現在でも個人の護身用としては広く使われている。

 なお、.380ACPを使う拳銃のほとんどは、バリエーションとして[[.32ACP弾]]仕様が存在し、銃身とマガジン以外はほぼ共通の部品が使用可能である。
 .32ACP弾仕様は装弾数が.380ACP弾仕様より1発多いので、どちらを選ぶかは威力と弾数とを勘案することになる。

 ところで、.380ACPの前には、『[[.38ACP>口径]]』という弾薬も存在した。20世紀初頭に開発された弾薬で、こちらは正真正銘、コルトのオリジナルだが、サイズが9mmx23と全く異なり、.380ACPとは互換性がない。他のACP弾と異なり、.380ACPだけ数字が3桁になっているのは、この古い.38ACPとの混同を避けるためである。
 .38ACPの方は今ではすっかり廃れ、新規の銃も開発されていないが、発展型の『[[.38スーパー(.38ACP+)>口径]]』は、現在もメキシコやアメリカ南部、シューティング競技界で広く使われている。

|弾丸直径|弾薬全長&br;/薬莢全長|リム形状|弾頭重量|銃口初速|初活力|有効射程|代表的な銃|h
|9.0mm(0.355in)|25.0mm(0.984in)&br;/17.3mm(0.680in)|[[リムレス>リム]]|95gr(6.2g)|980ft/s(300m/s)|203ft-lbs|−|[[ワルサー PP]]&br;[[マウザー HSc]]&br;[[ベレッタ M84]]&br;[[シグザウエル P230>自動拳銃/P230]]&br;[[MAC M11>短機関銃/MAC M11]]|

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CENTER:※データは[[Federal Cartridge>http://www.federalpremium.com/]]からの抜粋で、[[フルメタルジャケット弾]]を3.75インチ銃身から発射した場合の一例です。&br;弾薬の種類や製造元、発射する銃によって数値は異なります。
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