火薬などの力で擲弾(グレネード)を発射する火器の総称。一般的に手榴弾を素手で投擲する距離と、迫撃砲の最小射程距離のギャップを埋める火器として使用される。
火薬の発達と共に、殺傷力に長ける爆発物を敵陣に投げ込むため擲弾や手榴弾などが開発されていったが、第二次大戦前後になると従来の人力で榴弾を投げ込む方法から、銃と同じ様に火薬を使って発射される方式が主流になっていった。
第二次大戦では小銃で空砲の反動を使った小銃榴弾(ライフルグレネード)が主流だったが、日本軍は手榴弾や専用の弾薬を発射する「擲弾筒」を大量に投入。アメリカ軍も、砲兵の支援が得られない前線でも火力を増強できる有効な手段としてこれに注目した。
続く朝鮮戦争で共産側の人海戦術に手こずったアメリカは、擲弾筒に相当する兵器の開発に着手。さらにベトナム戦争で川岸から哨戒艇を攻撃してくる解放戦線に対抗するため、海軍が擲弾発射機に再注目し、開発を促進させる。ただし、薬莢を持たない日本式の擲弾筒やライフルグレネードは連射には不向きなので、発射時に砲身内の圧力が上がらず、軽量のランチャーからも発射できる「ハイ・ロー・プレッシャー薬莢」が採用された。
続いて陸軍もM79などのランチャーを開発。これにより歩兵の火力は増大し、さらにM203のような小銃の銃身下に装着する「アッド・オン」タイプが登場したことで、護衛の人員を要することなく擲弾発射器が使用可能となった。しかし「アッド・オン」タイプのものは、取り付けた小銃の照準特性が変化したり、発射器を搭載した小銃意外では擲弾を使用できないので、自衛隊やイタリア軍などを筆頭に、現在でも小銃榴弾にこだわっている組織もいる。
また、これら軍用の物とは別に、警察用(暴徒鎮圧用)の催涙ガス弾やゴム弾の発射機から発達したグループも存在する。
その他、車両搭載や据え置き型では、MK19のようなフルオートでグレネード弾を連射することが可能なものがあり、個人携行型でも、アーウェン37やアームスコー MGL?などのリボルビング・グレネードランチャーをはじめとする連発型が、警察用・軍用に開発されている。
弾薬の方でも、XM29に装備されている、FCS等のコンピュータ制御により敵兵の頭上で炸裂する『エア・バースト・グレネード』などが開発中である。しかし弾薬やデータ入力の統一規格が無い事や、戦場での耐久性や動力源の確保に関する疑問、批判など、その実用性を疑問視する声もある。
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