二連式散弾銃は、銃の連発化の為に考え出された中で、最も歴史の古い設計の散弾銃である。
水平二連式(Side by side)とよりモダンな上下二連式(Over & under)のふたつがあり、文字通り左右か上下に銃身が2本並んでいるのが特徴。現在作られるニ連式散弾銃のほとんどは、上下二連式である。弾薬の装填と排莢は、中折れ式(Break action)としたものが一般的で、狩猟用やスポーツ射撃用として、現在もポピュラーな銃器である。
二つの銃身は同じところを狙うのではなく、たとえば右の銃身は近い目標を、左の銃身は遠い目標をという具合に照準をずらしてある。現在の二連式散弾銃は引き金が右(上下二連式の場合は下)の弾を発射し、2回目の引きで残りの側を発射する*1。
発砲順を逆にできるセレクターが付いたモデルもあり、好みや状況に応じて使い分けることができる。こうしたモデルには空ケースを自動選択する「セレクティブ・エジェクター」が付いているものが多く、銃身を折ったとき未発射の弾はそのままに「空になったケース」のみを吐き出してくれる。
セミオートやポンプアクション式の散弾銃に比べ構造的にシンプルで、機械的なトラブルのリスクが少ないことから、散弾銃を用いる射撃競技*2では普通、この(上下)二連式が用いられる。また、薬莢を遠くに飛ばしたりすることもなく、弾を抜いて、折った状態で持ち運べば、見た目にも安全とわかりやすいことから、スポーツ射撃の初心者向けとしても好まれる銃種である。ただし、銃床に用いられる高価な木材や精緻な彫刻、熟練工による加工などにより、どちらかといえば高価な部類に属する銃器となっている。
上下二連式が構造的に頑丈で重いうえ、弾薬を装填する際に水平式よりも深く銃を折り込まなければならないため、狩猟には不向きな一方、水平二連式は、スポーツ用としてはほとんど見られなくなってしまったが、軽くて持ちやすいために現在も狩猟に用いられる。
西部開拓時代やアメリカ独立戦争の際に自前の猟銃を持ち出していたこともあり、この頃を題材としたフィクションにおいて、しばしば登場する。自前の銃の持込が許可されている軍では、使い慣れた銃でなおかつ信頼性が高い武器として持ち込む兵士も多い。また、映画『マッドマックス』シリーズをはじめ、ソードオフされた水平二連式散弾銃もフィクションの中でよく見られる*3。
これらの二連式の銃は、散弾銃以外にもライフルやごく初期の拳銃などにも存在する。
以下著名なものを記載する。
モデル | 形状 | ゲージ | 全長 | 銃身長 | 重量 | 製造国 |
レミントン スパルタン | 水平二連式 | 12ゲージ | 44.5〜39インチ | 19.5〜24インチ | 6.5ポンド | ロシア*4 |
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イサカ オートバーグラー | 水平二連式 | 20ゲージ | 16インチ | 12.5〜10.1インチ | 4.5ポンド | アメリカ |
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