主に従来のものよりも小型の弾薬を用い、単射と連射が可能で取り回しのよい自動小銃の総称。
第一次大戦での戦訓から、それまでの小銃弾の長射程(最大射程1000m)を存分に使う機会が少なく、大抵の場合その半分以下の距離で交戦が行われる事が判明した。そこで弾を小型化させ射程を犠牲にする代わりに連射制御性と携行弾数を高めた物が突撃銃である。
突撃銃のコンセプトを実現した最初のライフルは、20世紀初頭(1900年頃)のイタリア製Cei-Rigottiライフルと言われている。
その後、ルイス機関銃の設計者アイザック・ルイス氏が、1920年近辺に氏が設計した自動小銃を「アサルトフェイズ・ライフル」と名付けた。その想定された運用方法は、従来の銃とは異なり「撃ちながら移動できる」ものであった。
また、第一次世界大戦(1914-1918)にアメリカからフランスに輸入され、用いられたウィンチェスターM1907自動小銃は、連射時の制御性を考慮した.351WSL*1という独自の「中間弾」と呼ばれる、一種のフルサイズ減装弾が用いられていた。この銃には更に公式に「アサルト・コンフィギュレーション」と呼ばれる短銃身タイプが存在し、これを実際に使用した兵士達から高い評価を得たことから、標準の5,10連マガジンを拡張した15,20連マガジンが急遽作られ、銃と共に多数投入された。
このM1907の成功を受け、第一次世界大戦が終了すると、M1907の使用国フランス、設計国のアメリカを主として、世界各国で減装弾を使用した連射の容易なライフルの設計が開始される。
フランスでは.351WSLをベースにした8mmx35R弾を使用するリベロリスM1918、アメリカでは同じく.351WSLをベースにした.345WMR*2を使用するウィンチェスター-バートン・マシンライフルが作られた。1920年代にはスイス、1930年代にはデンマークとドイツも研究を開始したが、これらのどの国でも軍への採用には至らなかった。
この間、第一次世界大戦後に唯一実戦で使用された減装弾ライフルは、帝政ロシア時代に開発され、ソビエト連邦軍に採用されたフェデロフM1916自動小銃である。この銃は独自開発弾を用いていた他国の試作銃と異なり、既存の小口径低反動弾である6.5mm×50SR弾*3を採用していた。
第二次世界大戦の開始される頃には、各国では軍の方針から結局、フルサイズ・通常装薬の弾薬を用いる銃が制式となっていったが、ロシアとドイツでは技術者達が設計と改良を重ねて行った。ロシアではその後、シモノフM1936などが開発されたがこれも信頼性などを理由に広く普及することは無かった。
一方ドイツでは1940年代、遂に性能の高い専用の短小ライフル弾を開発し、これを使用する銃は戦場の状況を一変させるというプロパガンダも兼ねて、アドルフ・ヒトラーの直接の命名で「SturmGewehr」(強襲ライフル)と名付けられ、戦場に投入された。この銃の威力・射程・軽便性を兼ね備えた運用は他国に大きな衝撃を与え、戦後世界各国はこれに類似した小火器の開発を急速に推進する事となった。
第二次世界大戦後に開発されたフルオート可能な自動小銃では、スイスのStgw.57(SIG510)とオーストリアのStgw.58(FN FAL)が最初に「Sturmgewehr」の名称を引き継いで採用された。ロシアのAK-47、チェコのVz.58などは従来の短機関銃同様に単に「Avtomat」(自動火器)と呼ばれたのみで、まだ「突撃銃(アサルトライフル)」という名称は世界的に普及していなかった。
「アサルトライフル」という名称は、ベトナム戦争(1955-1975)を通して大きく普及した。当時北ベトナム軍が用いたAK47は小型軽量かつ連射性に優れており、大型で重く、反動が強いアメリカ軍のM14に対して、弾幕と機動力で大きな被害を与えた。アメリカ軍はAK47を強襲に適した「アサルトライフル」と呼び、これに対抗する為の自国の「アサルトライフル」を必要とした。そして1960年代、M16が採用され、実戦に投入された。M16は当初、現場から多くの不評を招いたものの改修を重ねながら確かな戦果を挙げ、以後NATO各国もM16のような「アサルトライフル」の開発と採用に注力して行く。そして2000年代現在も、これらの流れを汲んだアサルトライフルや弾薬が戦場で主流である。日本語における「突撃銃」の呼称は、「アサルトライフル」に対して防衛省が用いた訳語に由来する。
突撃銃も現代では様々な発展形が登場しており、ブルパップ型(FAMAS等)や、薬莢の要らないケースレス弾(G11)、『矢』のような形のフレシェット弾(ACR)、兵士同士のデータ共有や、火器管制装置を組み込んだ次世代銃(F2000、XM29等。OICW)の研究開発も進められている。
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