*68式自動歩銃 / 68식 자동보총 【突撃銃】
#ref(nkrt68.gif,center,nolink,68式自動歩銃)
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|モデル|全長(伸縮時)|重量|連射速度|口径|装弾数|発射形式|製造国|h
|~68式自動歩銃|880mm|3.6kg|640発/分|[[7.62mm×39>口径]]|10/20/30+1|S/F|北朝鮮|
|~68-1式自動歩銃|不明|不明|~|~|~|~|~|

 朝鮮戦争休戦後の1950年代後半、北朝鮮は朝鮮人民軍の旧式化した[[モシンナガン>小銃/ロシア帝国 モシンナガンM1891]]や[[49式機関短銃>短機関銃/USSR PPSh41]]などの第2次世界大戦以前の銃を更新するため、慈江道前川郡に65号工場を建設してソ連の[[AK47 III型>USSR AK47]]のノックダウン生産を開始、1960年代には完全な国産化を実現する。中国の命名方式を模倣して58式自動歩銃と名付けられたその小銃は、東南アジアや中東、中南米へ輸出もされ、ベトナム戦争においてはベトナム人民軍や南ベトナム解放民族戦線によって使用された((ホーチミン市にある統一会堂にも展示されている))。

 それから10年後に、58式自動歩銃の後継として北朝鮮がソ連の[[AKM>USSR AKM]]をコピーした小銃が68式自動歩銃である。58式自動歩銃とAK47には刻印以外の差異が特に見られなかったのに対して、68式自動歩銃とAKMには細部に様々な相違点がある。
 レシーバーはAKMと同じように[[プレス加工]]に改められ、軽量化と生産効率の向上がなされているが、発射速度を安定させるための[[レートリデューサー]]は装備されなかった。そのためロシア製AKMの連射速度が600発/分なのに対して、68式自動歩銃は640発/分となっている((出典:米国防総省海兵隊情報部1997年5月発行『NORTH KOREA COUNTRY HAND BOOK』))。セレクターの形状((上の画像ではAKMと同じ形状))、木製のグリップ、スリングスイベルの位置、膨らみの無いハンドガード、リアサイトの距離表示が800mまでしかないなどの点も58式自動歩銃から変わっておらず、他国製のAKMと比べるとAK47の要素を色濃く残しているといえる。他にもAKMの特徴である、銃口の跳ね上がりを抑える[[コンペンセイター]]の役割を果たす竹槍型のマズルや、レシーバーカバーの補強リブが68式自動歩銃には無いなどといわれることがあるが、実際にはそれらの点はある物と無い物がどちらも確認できる。またスリングスイベルの位置も他国製AKMと同じ位置に存在する物が一定数見られるので、ある程度の個体差があるようだ。
 マガジンも58式自動歩銃と変わらない金属製の物を使用するが、一般的な30連マガジン以外にハンガリーの[[AMD65>RH AKM63]]や[[中国北方工業公司(ノリンコ)>中国北方工業公司]]の[[56-C式自動歩槍>USSR AK バリエーション]]用のような20連ショートマガジンもよく見ることができる。
 どのような仕組みで発射するのかは不明ながら[[ライフルグレネード]]も使用できるようで、そのための空包用と思われる10連ショートマガジンも用意されている模様。
 ちなみに北朝鮮製の[[7.62mm×39>7.62mm x39弾]]口径30連マガジンは、AK47 III型用と同じ形状で背面リブに星マークが付いている物が主に確認されている。上の画像ではAK47 II型、あるいは[[56式自動歩槍>突撃銃/PRC 56式自動歩槍]]用の、背面にリブが無く側面下部のリブの数が2本しかないマガジンが装着されているが、過去に韓国で発生した朝鮮人民軍特殊部隊浸透事件において同型のマガジンも実際に回収されており、北朝鮮では複数のタイプのマガジンが製造されていた(いる?)可能性もある。
 AKMSに相当する、折り畳み式[[ストック]]を備えた68-1式自動歩銃も存在する。ストックの形状はこれもAKMSというよりAKS47の物に似ており、直銃床ではなく曲銃床となっている。そして特徴的なのは、軽量化と材料削減のためと思われる大小10個もの穴が開いていることである。

 68/68-1式自動歩銃も58式自動歩銃と同じように、中東のイラン、イラクや中南米のキューバ、ニカラグア、エルサルバドル、ペルー、その他アフリカの諸国へ輸出されている((さすがに輸出用の68-1式自動歩銃のストックには、耐久性を優先したのか穴は開いていない模様))。それまで重い[[削り出し>削り出し加工]]レシーバーで曲銃床のAK47や56式自動歩槍しかなかったような場所では歓迎され、評判も上々だったとか。イラン・イスラム共和国軍などの正規軍に限らず、エルサルバドルではファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)というゲリラ組織((現在は合法政党))や、ペルーでは国家警察が使用している((余談だが、ペルーでは海兵隊が韓国の[[K2>大宇 K2]]を採用しているため、一国で南北朝鮮の小銃を採用していることになる))。どのような経緯によるものか不明ながら、マルタ軍が使用していることも確認されている。
 本国の朝鮮人民軍では、1980年代後半に北朝鮮版[[AK74>USSR AK74]]である[[88式自動歩銃>突撃銃/DPRK 88式自動歩銃]]が開発されると前線部隊から徐々に置き換えられ、現在でも使用しているのは教導師団などの後方部隊のみの模様。正規軍以外では人民保安部(警察)、民兵組織である労農赤衛隊や赤い青年近衛隊にて58式自動歩銃と共に使用されている。

 セレクターの連射/単射の表記は、本国の朝鮮人民軍その他に配備されている物に関してはチョソングル(ハングル)となっている。58式自動歩銃においては「련(連/リョン)((ある書籍では「렌(レン)」となっているが、これは間違いである))」/「단(単/タン)」と「려ㄴ」/「다ㄴ」の2種類の表記が存在したが((詳しくは『[[USSR AK バリエーション]]』の当該項目を参照))、68式自動歩銃では朝鮮語の表記法的に正しい「련」/「단」に統一されたものと思われる。
 ある画像にて、ペルー国家警察が使用している68-1式自動歩銃のセレクターの連射の位置に「∞(無限大マーク)」が書かれていることが確認できる。その画像では折り畳まれたストックによって単射の表記がどのようになっているかは把握できないが、ハンガリー製AKシリーズと同じ表記であるとするならば、中南米向け輸出用68式自動歩銃のセレクター表記は「∞/1」と推測できる。
 リアサイトの戦闘距離表記(ロシア製AKだと「П」と書かれている部分)は、本国に配備されている物はチョソングルの「고」となっており、朝鮮語の「고사(高射/コサ)」の頭文字と予想される。
 輸出用68式自動歩銃のリアサイトの戦闘距離表記には、まずアラビア文字の「ت(ター)」に似たようなものがある。これはエジプト製AKのリアサイトの戦闘距離表記と同じ文字であり、アラビア語のどのような言葉から来ているのかは不明だが、中東の輸出相手国に合わせたのだろう。中東以外の地域への輸出用には数字の「3」という表記が使われているようだが、こちらも由来は分かっていない。

|登場作品|ジャンル|使用者|備考|h
|TRIDENTS トライデンツ|漫画|画報会組員|−|
|[[コンビニDMZ]]|−|−|項目参照|
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