選抜射手とは、歩兵分隊・小隊といった規模の部隊と共に行動し、主として800m以内の目標に対してより素早く正確な射撃を行うために訓練を受けた歩兵のことを指す。
主に突撃銃を使用する歩兵と、狙撃銃を使用する狙撃手の中間の存在とされている。
単にマークスマンと呼ばれることも多い。
選抜射手が装備することの多い「マークスマン・ライフル」についても本項に記述する。
いわゆる「狙撃手」との違いは、軍において選抜射手は歩兵と共に分隊や小隊規模で運用されるのに対し、狙撃手は観測手や通信手などを含めた少人数で行動する。その任務も全く異なり、戦術・サバイバル・射撃といった技能により専門的なものを必要とする。装備面でも「ギリースーツ」と呼ばれる特殊な偽装服を着用するほか、高倍率のスコープを装着した狙撃銃を用いるなど通常の歩兵運用とは別物である。
選抜射手の射程は部隊火力射程と同様の800m前後であるが、一方の狙撃手は1.5km以上の長距離狙撃を行う場合もある。かつ高い精度も要求されるため、使用する弾薬は自ら火薬を調合したり、弾頭の材質を変更したもの、または製造側で生産ラインから厳選されたものなど、特殊な弾薬を使用することが多い。銃本体も、構造が簡単で信頼性が高く精密射撃向きであるとされるボルトアクション式の小銃を使用する場合が多い。
対して選抜射手は、弾薬の交換性という観点から使用する弾薬には制約が生じる。また、部隊として行動するため、目標が多数でも対応可能なよう自動小銃であることが望ましい。この条件を満たして開発されている自動小銃は特に「マークスマン・ライフル」と呼ばれる。
マークスマン・ライフル(Designated Marksman Rifle：DMR)の特徴としては主に次のようなものがある。
マークスマン・ライフルは既存のバトルライフルや突撃銃をベースとして開発されることがほとんどである。なお、バトルライフルのような口径の大きなものが特に適しているとされる。
また、銃の設計時よりマークスマン・ライフルとして開発が行われたものとしてUSSR ドラグノフが有名である。
| ベース | 銃器名 | 備考 |
| バトルライフル | M21 | アメリカ海兵隊/陸軍で運用 |
| M14 DMR | アメリカ海兵隊がM14をベースに独自に改良したもの。 SR-25やMk.12 Mod0に交代するため退役。 | |
| ナイツ SR-25 | − | |
| H&K G3/SG1 | − | |
| 突撃銃 | US Mk.12 Mod0/1 | − |
| L86A2 LSW | 元々は分隊支援用だったが、英陸軍がFN ミニミを導入したためDMRとして使用。 | |
| IMI ガリルGalatz | − | |
| − | USSR ドラグノフ | 設計当初よりマークスマン・ライフルとして開発 |
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