小銃のうち、弾丸発射時のエネルギーを利用して次弾を自動装填する機構(セルフローディング or セミオートマチック)、または、それに加えて自動で撃発を行う機構(フルオートマチック)を有する銃の総称。M14、G3、FALなどが代表格である。突撃銃もこの分類に含まれる。
アイデアとしては1870年頃から各国で各種の自動機構が発明され特許となっていったが、当時の小銃弾薬は装薬に黒色火薬ないし褐色火薬を用いていたため、燃え滓が自動機構を汚染して動作を阻害してしまう問題があり、実用化には至らなかった。
その後、1890年頃になり各国の小銃弾薬が燃え滓の少ない無煙火薬を装薬に用い始めた事で、マドセン・ラスムッセン自動小銃やフライバーグ・エルマン自動小銃といった、自動機構がちゃんと動作する自動小銃が誕生していった。
自動小銃が初めて実戦投入された事例の一つとしては、メキシコで開発されてスイスのシグ社が製造したモンドラゴンM1908がメキシコ革命で投入されている。
その後に勃発した第一次世界大戦では、ドイツ軍がモンドラゴンM1908を、フランス軍がRSC Mle1917を投入したため、交戦した双方の陣営が制式小銃として自動小銃を投入した初の戦争となった*1。
旧来の手動連発式小銃に替わる歩兵銃として実戦投入され始めたのは第二次世界大戦からであったが、開戦当初においては最も自動小銃の配備に熱心だったソ連では小銃生産数のおよそ6割がSVTであったものの、工廠の疎開に伴って1941年11月以降は生産数の殆どがモシンナガンへと転換されてしまった。一方、工廠に戦火が及ぶリスクの乏しかったアメリカでは、開戦まで低調な生産ペースだったスプリングフィールド M1の増産が始まり、更には後方の兵員向けにウィンチェスター M1が開発され、旧来のM1917 エンフィールドやスプリングフィールド M1903を置き換えていった。
こうして紆余曲折ありつつも現代戦における歩兵の主力火器となった自動小銃だったが、しかし、従来の小銃弾の装薬量では一発ごとの反動が大きいため、フルオート射撃の反動制御が非常に困難だった。この問題を解決するため、ひと回り小さな弾薬を用いた突撃銃が1950〜60年代頃から主流となってゆく。
一方、たとえセミオートであっても、従来のボルトアクション小銃と比べて素早い連射が可能なことから、1970年代からは狙撃銃として改修、或いは新規に設計されたモデルが登場している。しかし、自動式狙撃銃は一般に、高精度かつ複雑な機構ゆえ非常に高コストであるために、ボルトアクションの狙撃銃とは、現在も需要を二分している。PSG1、WA2000などが知られている。
なお、英語圏での「セミオートマチックライフル(Semi-automatic rifle)」と「オートマチックライフル(Automatic rifle)」という語では、それぞれが差す銃器のカテゴリーが微妙に異なってくる。第二次世界大戦以前から普及したブローニング・オートマチックライフルを始め、フルオート機能をもつライフル銃を差す「オートマチックライフル」は、軽機関銃に準ずる「支援用自動火器」というニュアンスを含んでいるためだ。
アメリカ海兵隊が行った、新しい分隊支援火器プロジェクトが、「IAR(Infantry Automatic Rifle)プロジェクト」という、日本語に訳すと、むしろ全歩兵が装備する制式主力ライフルを連想させてしまう名称となっているのは、こうした背景のため。
またゲームなどのメディア作品において、自動小銃の威力がボルトアクションよりも小さく設定、描写される事が間々あるが、実際はそうではなく、同じ弾薬を同じ銃身長で撃ち出す限りは殆ど差が生じない。
これは、自動装填機構を動作させるのに必要とするエネルギー自体が、射撃によって生じるエネルギーの全体量に対して極めて僅かな量でしか無いためである。
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