騎兵銃(カービン) / Carbine

 カービンとは、騎兵が馬上で扱う事を考慮して、銃身長を切りつめ取り回しを良くした小銃を意味する言葉である。元来はフランス語であるが、世界各地で広く使われたため現在では「ライフル」(ドイツ語)同様その他の言語でも定着している。騎兵銃または騎銃という呼び名は、その用途に由来した訳語である。既に騎兵は絶えて久しいが、その名残から銃身長を切りつめた銃の事を未だにこのように呼ぶ。
 単発銃の時代、騎兵は通常、発砲後、馬上で銃をフックで吊り下げ、サイドアームのサーベル等で白兵戦に持ち込んでいた(走っている馬に跨ってのリロードは、至難の業だった為)。この用途で開発されたのがドイツ製のKarabinerhaken(カービン使用者用フック)、即ち日本語で言うところの「カラビナ」である。イタリア国家憲兵隊『カラビニエリ』の名の由来も同様で、創設当初、隊員の装備がカービンであることが多かったことからそう呼ばれるようになった。
 小型で持ち運びやすく取り回しも良いが、銃身長が短くなったせいで反動・マズルブラスト・発射音が激しくなったり、命中精度が落ちたりという欠点も持ち合わせている。

 現在では特に、密林、市街地戦闘での取り回しのよさから、カービンは軍・警察特殊部隊等では頻繁に用いられている*1。例として、M4AKS74Uなどが挙げられる。
  また、拳銃ストック?や長銃身を備えたものや、セミオート化して銃身を延長した短機関銃を「カービン」と称して販売する形式も古くからある。

 なお、日本のメディア上ではしばしばアサルトライフルの小型のものを「アサルトカービン」や「マシンカービン」といった名称で呼ぶことがあるが、いずれも誤りである。前者は一部のビデオゲームなどで使われている造語で、後者はイギリスの軍関係において短機関銃を指す言葉として用いられていたものである。


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  • 『カービン』の名前の由来を追記。 -- KH? 2009-05-01 (金) 15:36:08
  • 日本以外の法執行機関ではピストルカービンは普及しているのでしょうか? 中国は自国メーカーが作っているらしいので採用しているみたいですが東南アジアや中央アジアあたりはどうなんでしょう? -- 2020-11-26 (木) 18:14:31
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*1 空挺部隊、戦車兵(狭い車内でも収納し易い為)等も同様。

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