#author("2023-07-08T23:41:48+09:00","default:user","user")
*回転式(輪胴式)拳銃 / Revolver [#wdf444b4]
 円柱状の弾倉内に弾を装填し、弾倉が回転して[[ハンマー]]が雷管を叩く位置に移動し、弾を連続発射する機構の[[拳銃]]。
 回転式拳銃の原型は、ペッパーボックスピストルと呼ばれる多銃身拳銃である。一つの撃発装置で、薬室とセットの銃身の束を回転させることで連続射撃を行う仕組みだったが、これをさらに銃身を一つにし、薬室の束だけを回転すればよいという発想の元に、回転式拳銃は生まれた。
 [[弾薬]]を装填する複数の薬室を円柱状に束ねた回転式シリンダー(回転式弾倉)によって、弾を連続発射する機構をもつ[[拳銃]]。
 回転式拳銃の原型は、アメリカ人のイーサン・アレンが考案したペッパーボックス(Pepper boxes)ピストルと呼ばれる多銃身拳銃である。一つの撃発装置で、薬室とセットの銃身の束を回転させることで連続射撃を行う仕組みだったが、これをさらに銃身を一つにし、薬室の束だけを回転すればよいという発想の元に、回転式拳銃は生まれた。
 連発可能とはいえ、大きく重かったペッパーボックス式に比べ断然効率が良く、実用的な製品としては最初のリボルバーである[[コルト]]の[[パターソン>回転式拳銃/コルト パターソン]]の登場を皮切りに、19世紀から20世紀初頭に駆けて主流になった。
 パターソンを始めとして初期のリボルバーは、「[[パーカッション]]式」の撃発方式だったが、さらに時代が経つと、金属式の薬莢に火薬と雷管をセットし、先端に弾頭を付けた[[S&W>スミス アンド ウェッソン]]社製の[[モデル1>回転式拳銃/SW M1]]が登場する。これが近代的な拳銃の元祖となる((ちなみに、幕末の志士・坂本竜馬が使ったのも、この「S&W M1」だったと伝えられる。))。
 パターソンを始めとして初期のリボルバーは「[[パーカッション]]式」の撃発方式だったが、さらに時代が経つと、金属式薬莢の弾薬を使用する[[S&W>スミス アンド ウェッソン]]社製の[[モデル1>回転式拳銃/SW M1]]が登場し、これが近代的な拳銃の元祖となる((坂本竜馬が使ったのもS&W M1だったと考えられている。))。
 パーカッション式の時代はシリンダーを外して装填を行っていたが、金属薬莢の登場で中折れ式(ブレイクオープン)([[S&W モデル3>SW M3]]など)やソリッドフレーム([[コルト SAA]]など)に移行した。前者は装填しやすいが構造的に弱く、後者は構造的に強いものの、装填しにくいと特性が一長一短であったが、19世紀末にはシリンダーを側面にふり出す[[スイングアウト]]式が登場した。装填のしやすさと強度の両方を兼ね備えたスイングアウト式の登場によって中折れ式リボルバーは淘汰されていった。一方、ソリッドフレーム式リボルバーは強度を生かし、マグナム弾などの強力な弾薬を使用するフレームとして[[スタームルガー ブラックホーク]]など一部現在でも生き残っている。

 現在では装弾数の少なさから[[自動拳銃]]にお株を奪われたが、構造的にシンプルかつ強固なため、マグナム弾を始めとする強装弾向けの銃として今なお使用されている(実戦では扱いづらくとも、ハンティング用としては人気が高い)。また、自動拳銃に比べ作動の信頼性が高く、低価格な物が多いため、市民の護身用や普段あまり銃を撃たない地域の警官、予備武装などとして使用されている。
 かつては軍・法執行機関の定番[[サイドアーム]]であったが、現代では[[自動拳銃]]が大きく普及しており、そのシェアは減少している。しかし構造・動作共にシンプルなため信頼性が高く、特殊部隊や[[SWAT]]などの隊員が個人的に導入しているケースもあり、変わったところでは、フランスの[[GIGN]]のようにマグナム弾仕様のリボルバーが制式化されている例もある。
 自動拳銃と比べ、比較的安価で操作方法も覚えやすいことから、民間も含め護身用・入門用としては現在でも大きなシェアがある。連発機構を弾薬の発射エネルギーに頼らないため作動が安定しており、構造的にも強固なため、マグナム弾などの強力な弾丸の使用に適しており、プリンキングなど趣味のシューティングや[[ハンティング>猟銃]]においても人気がある。

 見た目はどれも同じようなリボルバーだが、[[スイングアウト]]の方向が異なる銃や中折れ式(ブレイクオープン)の銃、フルート(シリンダーに彫られている溝)の有無、シリンダーの形状((一部の製品ではリボルバー特有のシリンダーの分厚さを解消するためなのか円筒ではなく六角筒のシリンダーを採用している。))など数多くの種類がある。また、射撃時の弾倉の回転方向も右回りと左回りがある((有名な所で、銃を後ろから見て右回りが[[コルト]]と[[スタームルガー]]、左回りが[[S&W>スミス アンド ウェッソン]]と[[タウルス]]と[[レミントン]]。コルトが右回りなのは、創始者のコルト氏が左利きだったので、左手で装填するとき弾倉を右手で回しやすいようにしたからだとか。))。
 一部製品にはオートマチック機構を持つものも存在している。
 リボルバーの弾倉は5〜6発入りというのが普通だが、近年は銃に使われる金属等の材質が向上したため、7〜8発入りの製品も一部で登場し始めている。
 シリンダーの回転方向には右回りと左回りがある((有名な所で、銃を後ろから見て右回りが[[コルト]]と[[スタームルガー]]、左回りが[[S&W>スミス アンド ウェッソン]]と[[タウルス]]と[[レミントン]]。コルトが右回りなのは、創始者のコルト氏が左利きだったので、左手で装填するとき弾倉を右手で回しやすいようにしたからだとか。))。また稀ながら、[[フォスベリー>回転式拳銃/ウェブリー・フォスベリー オートマチックリボルバー]]や[[マテバ 6ウニカ>マテバ 6 Unica]]のような自動[[コッキング]]機能を有するものもある。
 シリンダーは5〜6発入りというのが普通だが、中には[[ナガン M1895>ロシア帝国 ナガンM1895]]の様に7発入りの物もあり、近年は7〜8発入りの製品([[S&W M686 Plus>SW M686]]や[[S&W M&P R8>SW M27]]など)も一部で登場し始めている。

 リボルバーの特徴として、薬室のサイズさえ適合すれば、標準より短い(低威力)の弾薬を装填し発射することが可能な点がある。例えば.357マグナム弾を使用するリボルバーでも全長が短く威力の低い.38スペシャルを使用可能である。同口径の自動拳銃弾を使用することも可能だが、抜け落ちる、不発になる、排莢が困難など、不都合が多い。このためリボルバーで自動拳銃弾を使用する際は、[[ムーンクリップ>スピードローダー]]が使用される。
 また通常、射手が意図して操作する[[安全装置]]を持たない。現代ではハンマーブロックやトランスファーバーなど、トリガーやハンマーの操作に連動して働く安全装置を備えているのが一般的となっているが、これら装置の登場以前は、装填状態で持ち歩く場合、ハンマー位置の弾を一発抜いておくという対策が取られていた。
 
 メディア上ではしばしば回転式拳銃に[[減音器]]を装着する例があるが、実際には銃身基部と薬室の間にあるシリンダーギャップからのガス漏れも大きな音源となるため、自動拳銃よりも減音効果は大きく劣る。しかし、ベトナム戦争でアメリカ軍が運用したトンネルラット((ベトコンのトンネル陣地に潜り込んでの捜索、破壊活動など任務とする兵士。ほとんどの兵士は[[コルト ガバメント]]を携行したが、中には回転式拳銃を携行した兵士もいた。))へは、トンネル内という閉所での発砲が聴力へ著しい障害を与えるために、[[S&W M10>SW M10]]などの回転式拳銃に減音器を備えたものが配備されていた。
 さらに[[一部の銃>消音効果のある回転式拳銃]]ではシリンダーギャップをガスシール機構などで閉塞する事で減音器の効果を高めているものも存在する。

 3インチ以下の銃身長に切り詰められたリボルバーには「''スナブノーズ''」という愛称がある。

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