暗視鏡 / Night vision

 肉眼で見通せない暗所を、光像を増幅して視覚化する光学装置。
 第1、第2、第3世代に分類され、第1世代が最も古い形式の暗視装置ではあるものの、第2世代のものと並び、今も民生用として現役である。市販されているとはいっても、いずれも軍事目的で効果を発揮するため、輸出入や販売には様々な制限が存在し、もっとも新しい第3世代には特に強い規制が敷かれている。 

第1世代

 アクティブ(能動)式赤外線暗視装置と呼ばれるたぐいのもので、赤外線投光機と、目に見えない赤外線を可視光線に偏光するフィルターを装着した光学機器がセットのもの。第二次大戦末期にドイツ軍が実用化したのもこのタイプである。当時は電源含めて10kgを超える大仰な装置だったが、現在は小型化が進み、もっとも安価なナイトビジョンとして市販されている。
 相手がパッシブ(受動)な赤外線光学機器を持っていた場合、赤外線投光機がハッキリと視認されて秘匿性どころか優位性も失われてしまうことから、軍事用としては早期に廃れた。

第2世代

 光増幅タイプのパッシブ式暗視鏡で、星明りのような小さな光源を増幅して可視化するところから、スターライトスコープとも呼ばれる。主な欠点は光源のいっさい無い全くの暗闇では使用できないことと、強すぎる光源があると内部の増幅管がオーバーロードしてしまうことなど。フィクションでは、目潰しをくらって一網打尽にされたりするためのガジェットとしてもお馴染みである。

第3世代

 赤外線を増幅・可視化するという意味では第1世代と同様の、パッシブ式暗視装置である。第1世代との違いは、遠赤外線を利用している点。物体は多かれ少なかれ遠赤外線(つまりは熱)を放射しているため、その熱分布を視覚化することで光像を得ることができる。サーマルスコープ(熱暗視鏡)とも呼ばれるゆえんである。
 この原理ゆえ、赤外線投光機などの光源が不要なうえ、自然光源の無い全くの暗闇でも使用可能。また、照明弾や投光機などの強い光源が視界にあっても光像が損なわれない強みをもつ。現在、軍用ナイトビジョンとして現役なのはこのタイプである。
 プレデターの生来的視覚としてもお馴染みだが、赤外線カメラの映像としてもよく紹介されるあの温度の低い部分が青、高い部分が赤となるイメージは、判りやすく熱分布ごとにあとから色づけされたもの。旧世代のそれと同様、第3世代ナイトビジョンは(緑や白黒などの)モノトーンの濃淡で光像を投影する。


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