ロストワックス製法 / Lost Wax

 別名『インベスティメント キャスト(精密鋳造)』とも呼ばれる、平たく言えば精度の高い『鋳物(いもの)』。
 機械加工では難しい複雑な形状の成型や、複数部品の一体成形も可能。また製法の発達により、材質もアルミ合金やステンレス、耐熱鋼を始め、機械加工の難しいクロムやチタンなども扱えるようになっている。

 基本的な手順は、まず金型を使ってワックスの原型を作り、砂やセラミックパウダーなどの断熱材で包む。
 これを加熱すると中のワックスが溶け出して(脱蝋)、型が中空となる。ここでワックスが失われるので、一般に『ロストワックス』と呼ばれている。
 後は、残った型を900度から1,200度の高温で焼き上げ、中に金属を流し込む(鋳込み)。収縮によるゆがみなどを補正すれば、部品の完成である。

 銃器製造の世界でも、コストダウンと省力化を目的にそれまでの削り出し加工に代わって広く導入されるようになった。しかし、単に削り出し向けに設計された部品をそのまま置き換えるだけでは、さほどコストを削減することはできず、場合によってはかえって時間と金がかかる場合もある。
 その点、うまく活用しているのがスタームルガー社で、同社は最初からロストワックス製法を前提に各部品を設計し、大幅なコストダウンと高品質の両立に成功している。
 アメリカ本国でもしばしば誤解されがちではあるが、ロストワックス製法は「そこそこの品質のものをそこそこ安く作れる」手法では決してない点は留意しておくべきと言える。


最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • おっとすまん↑2と↑3な -- 2016-01-28 (木) 13:36:56
  • もし今後新拳銃を国内で生産するならこの方法で生産すればいいのにね。市街地や閉所での戦闘が今後増えると思うから、そこそこの質で比較的安く済む拳銃の導入が必要になってくるんじゃない? -- 2016-01-29 (金) 06:53:50
  • だからそういう「そこそこの品質のものをそこそこ安く作れる」手法ではないという話を上でしてるのに・・・ルガーはうまい事安くつくように工夫してるだけで、本来切削とかプレスより滑らかな仕上げをするための手法だから使えば安くなるってもんではないんだよ。 -- 2016-01-29 (金) 08:35:53
  • この製法をうまく使える設計をしていることがすごいってことですね -- 2016-01-29 (金) 14:27:20
  • 精度の高い鋳物って言っちゃうから鋳物のイメージに引っ張られるのかもな -- 2016-01-29 (金) 16:49:15
  • まぁ当のアメリカでさえルガーが使ってるから安物、弱いんじゃない、って言われるからなぁ。実際はパラオードナンスとかロックアイランドとかの1911でも使われてる、れっきとした高品質仕上げの為の手法なんだけどね。 -- 2016-01-29 (金) 17:25:49
  • 鋳造は重量比の強度で劣るのは確か…直方体の圧延ブロックから削り出すのに比べればの話だけど そんな削り出し工法やったら確実に価格はゼロが1個は増える 精度面だと鋳造の方が基本的に質が高いよ -- 2016-01-30 (土) 08:51:59
  • 日本国内じゃコンピュータ数値制御(CNC)とマシニング・センタが蔓延しつくしてるから、新たにロストワックス製法の設備を取り入れる度胸があるかどうか…日本で銃器を大量生産なんて望み薄なんだし -- 2016-01-30 (土) 12:55:12
  • それは日本に限った話じゃないと思うがね。現に銃器の世界でもメジャーには使われてないんだから。日本でアップルのような会社が生まれないのは何故かとか言ってるようなもんだろ、実際の所海外にもそんなに無いんだから・・・ -- 2016-01-30 (土) 13:31:32
  • 89式のフロントサイトはこの製法だね -- 2016-07-15 (金) 12:24:03
お名前:

トップ   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS