マグプル マサダ / Magpul Masada 【突撃銃】

アジャスタブル・カービンストック、オリジナルマガジン、14.5インチバレル、スコープ、フォアグリップ(SureFire製M910)、サプレッサー、バイポッド装備
モデル全長重量口径装弾数発射形式製造国
ACR654mm(828mm)3.175kg(14.5インチ銃身,弾倉ナシ)5.56mm×4520/30S (ブッシュマスター)
S/F (レミントン)
アメリカ
6.8mm SPC

 “Magpul(マグプル)”は、弾倉につけるゴム製ストラップで、その名の通りポーチから弾倉を素早く引き抜くための優れたアクセサリーとして知られていた。これを開発したその名も「マグプル」社は、その後も外観と機能性とに優れた(主にポリマー素材の)小火器用アクセサリーを次々と発売し、いずれも好評を博していた。
 そんなマグプル社が2007年、とうとう銃火器そのもの――それもSCARXM8に並ぶ次世代ライフル――を開発してしまった。それが「Masada(マサダ)」である。名称はイスラエルにある、かつて古代ローマ時代に難攻不落の要塞があった山の名前からとられたという。
 マグプル社社長いわく「軍に頼まれたわけでもなく、ただ理想のライフルを造ろうと思い造っただけ」だとか。そのプロトタイプは、開発開始から完成までわずか4ヶ月しかかからなかったらしい。

 基本的な設計は、既存のライフルのいいとこどりとなっている。機関部はAR18ガスオペレーションメカニズムを採用し、ボルト部はAR15/M16のそれそのものである。セレクター操作はドイツのG3系を踏襲したものだが、トリガーユニットはこれまたAR15/M16そのままであり、ボルトと並んでサードパーティーのAR15系パーツが組み込み可能である。金属製アッパーレシーバーと軽量なポリマー製ロワーレシーバーの組み合わせはベルギーのSCARに倣ったものといわれている。各種レバー類はアンビデクストラスで、構えを左右スイッチしても不都合なく操作可能となっている。プロトタイプではコッキングハンドルが機関部に配されていたが、製品版ではフォアエンド上部に移設された。このコッキングハンドルも巧みに設計されており、射撃時に動かない非連動式ハンドルだが、連動しないのは完全に前進している時のみであり、ハンドルが操作されているときは自動で直結状態になり、ボルトを手で押し込んでやることが可能。AR15のようなフォワードアシストノブやAUGのようなボルトとハンドルの連結操作なしでボルトの強制閉鎖が出来る。

 コンセプトは「Adaptive combat weapon system」。つまり変貌できる戦闘銃であり、古くはストーナーが挑戦し、近年ではSCARやXM8などが実現した最新の歩兵銃トレンドである。
 マサダではストックハンドガードはもちろん、バレルまでも工具なしで、素早い交換が可能となっており、AK用の7.62mm x39弾*1や6.8mmSPCに対応するマルチキャリバー性を持たせ、使用状況に応じたオプションが選択できるという。
 オプションはマグプル社らしい、様々なものがデザインされている。バレルは、CQBモデルの10.5インチから、スナイパー向けの20インチまで用意され、ハンドガードは、長さやレールの有無などが異なるポリマー製とアルミ製のものが各種。ストックも固定タイプ、スナイパー向けのアジャスタブルタイプ、カービン向けの伸縮折畳みが可能なものの3種が用意されている。また、各所にピカティニーレールが装着可能で、各種拡張デバイスにも対応できる。
 マガジンは各口径の既存のマガジンも使えるほか、マグプル独自のマガジンもマサダと同時開発されている。このマガジンは"P-MAG"の名称でAR15/M16用のアクセサリーとして販売され、現在は官民で広く使用されるベストセラーとなっている。

 マサダは発表からまもなく、AR15系クローンで有名なブッシュマスター社によって製造・販売権を買い取られた。その後はブッシュマスターと同資本下にあるレミントン社も供給元として名乗りを挙げたことから、前者は「ブッシュマスターACR(Adaptive Combat Rifle)」の名で民間市場にセミオートオンリーの製品を、後者は「レミントンACR」として、軍・法執行機関向けにフルオート射撃が可能なセレクティブファイアの製品を供給することとなった。市場価格はオプションにもよるが、いずれも2010年4月の販売開始当時で2000〜3000ドル台と非常に高価で、AR15系ライフル/カービンの2〜3倍であった。
 しかし、発売された同年10月に、ブッシュマスターから「構造上の欠陥から暴発の恐れあり」として購入済みの顧客への使用停止の呼びかけとリコールが行われ*2、ACRは長らく生産中止となっていた。
 それから後の2018年のSHOTショーにて、ブッシュマスターACRの販売再開がアナウンスされた。しかし2020年、親会社レミントンは破産宣告後、事業再編でブッシュマスター他の系列会社製品の販売・生産を終了する旨を発表。以降、ACRは生産されていない。

 なお、2009年には、マサダの7.62mm×51弾モデル「Massoud(マスード)*3」がSHOTショーで発表され、実射可能なプロトが公開されていたが、以降の開発については明らかとなっていない。

登場作品ジャンル使用者備考
HOME FRONT項目参照
MAG項目参照
OPERATION7項目参照
Seven Years Of War項目参照
アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝項目参照
ウォッチドッグス項目参照
エクスペンダブルズ2項目参照
オブリビオン映画ジャック・ハーパーレーザー銃という設定
近未来風に改造したプロップガン
ハンドガード先端にタクティカルライト装着
レシーバー上部に光学サイト装着
学園キノ項目参照
キングスマン項目参照
クロスファイア項目参照
荒野行動 -Knives Out-項目参照
ゴーストリコン フューチャーソルジャー項目参照
コール オブ デューティ: モダン・ウォーフェア2項目参照
コール オブ デューティ: モダン・ウォーフェア3項目参照
サドンアタック項目参照
猿の惑星:新世紀(ライジング) 項目参照
ターミネーター4項目参照
トランスフォーマー:リベンジ項目参照
バイオハザードシリーズ項目参照
バトルフィールド 3項目参照
バトルフィールド 4項目参照
バトルフィールド ハードライン項目参照
緋弾のアリア項目参照
ビデオゲーム・ハイスクール項目参照
ペーパーマン項目参照
まじん☆プラナ漫画プラナTANカラー
EOTech製ホロサイト装着
コミックス第4巻・天王寺キツネによる帯イラストで所持
メガロポリス・ノックダウン項目参照
メタルマックス3 夢見るカルメン項目参照
ヨルムンガンド項目参照

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最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 銃そのものは不遇でもマガジンがベストセラー、FNCに似た匂いを感じる -- 2016-12-30 (金) 13:47:08
  • マスードはあれからどうなったんだろう?もう発表から8年はたっているのに・・・。 -- 2017-09-23 (土) 21:24:38
  • 他の銃火器同様マグプルでの開発は終了していて、KRG(Kinetic Research Group)という別のメーカで同じデザイナーによって製品の開発が継続されています。
    半DI式ショートストロークピストンといったユニークな機構を備えているとか。 -- 2017-09-23 (土) 22:03:38
  • 命中精度や信頼性ってXM8やSCARに比べるとどうなんだろう? -- 2018-02-19 (月) 13:40:40
  • こうした製造数的にマイナーな銃は十分なデータがありませんから、何とも言えないかと。まぁ設計の特別な工夫や明確な欠点がなく、いずれもフリーフロート銃身である以上、特別大きな差はないのではないかと。 -- 2018-02-19 (月) 19:01:51
  • ⬆確かに、ついでに某武器商人漫画の主人公が
    それぞれ前半と後半に使っていた銃というのも何か奇遇だな -- 2018-02-20 (火) 22:36:39
  • マスードの個別記事が無いのでこちらに ゴーストリコンブレークポイントのシルバーステークというユニーク武器の元ネタがマスードらしいです(英Wikiのコメントより -- 2020-11-12 (木) 11:12:45
  • レミントン破産したから廃盤になってるのかな? -- 2022-03-08 (火) 06:01:41
  • ミッションインポッシブル3で使われたG36に続いてオブリビオンでトム・クルーズに使われたACRも………………あのハリウッド・スターは抱いた女と使った兵器を廃れさせる何かを持ってるWWWWW -- 2023-02-15 (水) 15:11:16
  • ゲーム版怪盗ロワイヤルで武器アイテムで登場、ゲーム内名称はデザートスネーク、TANカラーでフォアグリップとサプレッサー装着。 -- 2024-04-07 (日) 09:38:20
お名前:

*1 マサダの生産モデル「ACR」は7.62mm×39には未対応。
*2 "Bushmaster ACR Recall and Product Safety Notice ( URGENT to All ACR Owners )"
*3 アフガニスタンの政治家・活動家で、北部同盟の指導者であった故アフマド・シャー・マスードにあやかったものらしい。

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