#author("2019-10-16T18:11:46+09:00","default:user","user")
#author("2023-11-19T01:35:10+09:00","default:user","user")
*ボディアーマー / Body armor [#cfc16bb2]

 防弾ベスト(Bullet-pnoof vest)あるいは防弾チョッキとも呼ばれる、主に胴体を銃弾から防護することを目的とした鎧の一種。俗にいうボディアーマーという語は、本来は甲冑など古くからの鎧全般を差す。
 現代的な防弾性能に特化したものはバリスティックベスト(Ballistic vest)とも呼ばれる。
//(防弾ベスト)
//↑上のBulletproof vestと対応する英語が重複し分かりづらいため一旦この訳語はなしとしました。
 後述するような防弾用素材が開発されるまで長らく軽量素材でまともに銃弾を止めることは非常に困難であり、それまでは長距離飛行した砲弾・榴弾の破片や[[拳銃]]弾といった、比較的貫通力・エネルギー共に低い投射物による損傷を防ぐためのフラック(砲弾)ジャケットと呼ばれる製品が主流であった。

//((余談になるが、チョッキとは素肌の上に直接着ることを指す直着が語源である))
//↑一般的な単語についてこの項目で説明する理由が特にないためコメントアウト。
//その他に英語ではフラック・ジャケットと呼ばれることもある。
//↑フラックジャケットはその名の通り、砲弾の破片を防止する目的の古い製品であり、根本的に別物のためコメントアウト。

//近年の物は銃弾だけではなくナイフなどの刃物類を防ぐためにチタン合金板などの防刃対策も施されているのが一般的である。
//↑一般的には到底程遠いためコメントアウト。もし一般的であるとするなら具体的なメジャー製品名を3つ以上挙げてください。

 19世紀末に発明され、第一次世界大戦から軍に採用され始める。その後の第二次世界大戦中の1943年にナイロンと鋼板を使った現在の物が作られたが重量の関係から主に飛行機のパイロットが着用した。その後朝鮮戦争後に改良されアメリカを主とした各先進国のあいだで普及し始める。その材質も鋼板から、より軽量かつ高性能を求めてベトナム戦争後の1980年代に登場したケプラー繊維((アラミド繊維とも呼ばれる。元々は宇宙開発用に作られた。))や、アライド・シグナル社が開発したポリエチレン繊維のスペクトラ、最近ではザイロンといった繊維を束ねたもの(俗に云うソフトアーマー)やケブラーの二倍の強度を持つPBO繊維、ファイン・セラミックなどを用いた防弾板との組み合わせへと進化している。
 19世紀末に発明され、第一次世界大戦からドイツ軍やイギリス軍に採用され始める。その後の第二次世界大戦中の1943年にナイロンと鋼板を使った現在の物が作られたが重量の関係から主に飛行機のパイロットが着用した。その後朝鮮戦争後に改良されアメリカを主とした各先進国のあいだで普及し始める。その材質も鋼板から、より軽量かつ高性能を求めてベトナム戦争後の1980年代に登場したケプラー繊維((アラミド繊維とも呼ばれる。元々は宇宙開発用に作られた。))や、アライド・シグナル社が開発したポリエチレン繊維のスペクトラ、最近ではザイロンといった繊維を束ねたもの(俗に云うソフトアーマー)やケブラーの二倍の強度を持つPBO繊維、中に挿入するファイン・セラミックなどを用いた防弾板(Body armor panel)との組み合わせへと進化している。


 国際規格(NIJ規格0101.03)で決まっているボディアーマーの防弾性能は下表参照。

|防御クラス|ストップ可能な銃弾レベル|h
|~I|[[.22LR>口径]]|
|~II-A|[[9mm、.40S&W、.45ACP>口径#PistolAmmo]]|
|~II|[[9mm、.357Magnum>口径#PistolAmmo]]|
|~III-A|[[.357SIG、.44Magnum>口径#PistolAmmo]]|
|~III|[[7.62mmx51>口径#RifleAmmo]]|
|~IV|[[.30-06>口径]][[徹甲弾>アーマーピアシング弾]]|

20世紀後半に実用的なボディアーマーが開発されて以降、盾(ボディアーマー)と矛(銃弾)のいたちごっこが繰り広げている。
1980年代には主要国軍ではボディアーマーが普及したことで、後方部隊が持つ護身用火器([[拳銃]]、[[短機関銃]])の威力不足が懸念され[[PDW]]が開発される要因となった。21世紀に入るとライフル弾も阻止するレベルIIIやIVのアーマーの普及が進んだことで、アメリカ軍ではレベルIVアーマーを貫通する[[弾薬]]とそれを発射できる新型小銃であるXM7が採用された。
 
 繊維素材を用いたソフトアーマーは多くはベスト状に形成されており、比較的軽装で上衣の下に重ね着可能な単体のものと、防弾板や各種ポーチ類を組み合わせられるプレートポケット等を備えた、衣服の上に着るものの2種類がある。フィクションでは、上衣なしでシャツの下に着込んでいても外見から全く分からないものも登場するが、実際にはソフトアーマーだけでも相応の厚みと重量があり、はっきりとした着膨れが見て取れる。
 繊維素材を用いたソフトアーマーは多くはベスト状に形成されており、比較的軽装で上衣の下に重ね着可能な単体のものと、1998年にアメリカ軍で採用されたOTV((Outer tactical vest))のような防弾板を挿入するプレートポケットを備えた、衣服の上に着るものの2種類がある。フィクションでは、上衣なしでシャツの下に着込んでいても外見から全く分からないものも登場するが、実際にはソフトアーマーだけでも相応の厚みと重量があり、はっきりとした着膨れが見て取れる。
 ソフトアーマー単体であれば比較的軽量で身動きを取りやすいが、それだけでは弾が貫通しないだけで、着弾による強力な衝撃があれば重篤な打撲や骨折に繋がる可能性が高い。そのため、必要であればソフトアーマー単体では防ぎ切れない着弾の衝撃を緩和吸収するとともに、強力な弾丸の貫通を防ぐ防弾板が併用される。これはトラウマ(外傷)プレートやトラウマパッドと呼ばれ、セラミックや金属、あるいは耐衝撃に特化した[[プラスチック>ポリマーフレーム]]などの高分子材料で形成される。アメリカ軍で使用されているSAPI(Small Arms Protective Insert)プレート等がセラミック製プレートとして代表的である。
//ブラントトラウマと呼ばれる着弾による強力な衝撃があれば
//↑すいません、更新いただいてすぐのとこなんですが2点ありまして、まずこの文だと「着弾の衝撃」のほうが「ブラントトラウマ」に見えるのと、もう一つ、ブラントトラウマって単に「打撲傷」相当の英語のカタカナ表記ではないです?一般的にも医学的にも使われるのを見たことがないですし、文章に既に打撲については含まれてますので、あえてこのように表記するほうがそういう専門語という誤解を与えると思いましたので、コメントアウトしました。

//トラウマが「心的外傷」とされていたのを修正。元から「外傷」となっていた筈ですが何故誤った内容に変更されたのでしょうか?英語では単に傷を意味する言葉です。
 また、防弾板は表面に当たった弾が滑って腕などを傷付けたり、逆に裏面が砕けて内部を傷付けたりする可能性があるため、ケプラーなどの防弾繊維で軽く覆って、滑りや破片を防ぐようにしたものが現代では一般的である。
 
 最新の防弾板を用いたボディアーマーは、ライフル弾のゼロ距離射撃の貫通を防ぐほどの性能に達しているが、その分重く重量は最大で十数kgにも達するため、重くかさばる点は依然として変わらない。
 防弾性能と機動力のどちらを重視したボディアーマーを用いるかは組織の方針や部隊・作戦の特性によって異なる。このためソフトアーマーと、防弾板を仕込んだプレートキャリアをそれぞれ用意し、状況に応じて重ね着するかいずれかを単体で着用するかを使い分けているケースも多く見られる。
 またボディアーマーはその性格上、通気性は皆無に等しく、長時間の着用は訓練された者でも大きな負担となる。このため、イラク戦争のころからボディアーマー下の着用を前提としたコンバットシャツと呼ばれる衣服が登場している。これはBDUのボディアーマー下部位のみを薄手のTシャツのような生地に置き換えたもので、通気性をある程度向上させ負担を軽減することから、アメリカ軍をはじめ各国の軍で導入が行われている。
 防弾性能と機動力のどちらを重視したボディアーマーを用いるかは組織の方針や部隊・作戦の特性によって異なる。このためソフトアーマーと、防弾板を仕込んだプレートキャリア(後述)をそれぞれ用意し、状況に応じて重ね着するかいずれかを単体で着用するかを使い分けているケースも多く見られる。近年の軍用ボディアーマーは基本のベスト型アーマーに加えて肩パッドやグローインアーマー(股間部の防御板)などのオプションを追加可能とし、重量と防御範囲を調整できるようになっている。
 またボディアーマーはその性格上、通気性は皆無に等しく、長時間の着用は訓練された者でも大きな負担となる。このため、イラク戦争のころからボディアーマー下の着用を前提としたコンバットシャツと呼ばれる衣服が登場している。これはBDUのボディアーマー下部位のみを薄手のTシャツのような生地に置き換えたもので、通気性をある程度向上させ負担を軽減することから、アメリカ軍のACS(Army Combat Shirt)をはじめ各国の軍で導入が行われている。
 さらに着用時に水に沈んだり、ケガを負った着用者から一刻も早くアーマーを外したい時など緊急時に引っ張るだけでアーマーをバラバラに分解して外すクイックリリース機能も導入されている。

 かつて日本を含め犯罪組織でよく使用された[[トカレフ>USSR トカレフ]]等に使われる7.62mmトカレフ弾(特にロシア製)には、鉛でなく安価な軟鉄を弾頭にした貫通力の高いものが多く、各国警察機関でソフトアーマーを無効化する弾丸として恐れられた。
 アメリカでは拳銃弾の新製品が「コップ・キラー(警官殺し)」と呼ばれる、ボディアーマーを無効化する弾薬だとする都市伝説が頻繁に発生しており、中にはメディアによるバッシングや銃規制運動などの社会現象にまで発展した事例もある。
 例えば「銃身の磨耗を減らす」目的で施された弾頭のテフロン樹脂コーティングが高い貫通力を持つとされたKTW社の拳銃弾は、後の検証で実際は貫通力はむしろ低下すると示されたにもかかわらず、メディアバッシング時に適用された法令により現在でも幾つかの州で規制対象となっている。

 現在主流のボディアーマーは、上述したベストと防弾板によるシンプルなものであるが、柔軟性や軽量性と高い防弾性能を両立させる為の研究も進められている。
 例えば「ドラゴンスキン」と呼ばれる物は、ベスト全体に無数の円形の小型鱗状プレートを配置した中世のスケイル・メイルのような構造をしており、着弾したプレートの下にあるプレートに衝撃を次々伝播させる事で、薄く軽量な金属板に衝撃緩和能力を持たせている。また、衝撃によって硬化するダイラタンシー流体などを用いた液状防弾素材のボディアーマーも登場している。
 いずれも従来のプレートタイプと異なり防弾部が柔軟なので身動きが取りやすいだけでなく、プレートの隙間や関節部などの今まで守るのが困難だった位置もカバー可能という点で優れている。
 その他に、アメリカ軍で導入されているインターセプター・ボディアーマーは胴体だけではなく首や股間の部分も保護するように設計されている。  

 服の上に身に着けるタイプのボディーアーマーでも、かつては[[マガジン]]や[[手榴弾]]など戦闘装備を収めるポーチを備えるタクティカルベストやサスペンダー等戦闘装具をアーマーの上から別途着用していた。しかし現代ではアーマー外皮部分にポーチ類を備えてボディーアーマー自体にタクティカルベスト機能を持たせたものが増え、歩兵用としては一般的である。そのポーチもポーチ版[[ピカティニーレール]]とも呼べるPALSウェビングによって自由に配置できるようになっている。米軍のTAP(Tactical Assault Panel)のようにボディーアーマーと連結できるチェストリグ((エプロンのような前掛け型の戦闘装具))もあり、任務に応じた装備の変更をポーチの付け替えより手軽に行えることから別体の戦闘装具も完全には廃れていない。プレートキャリアは、SAPI等の防弾プレートを前後に挿入して最低限の防御力を持つタクティカルベストという趣のもので、胴回り全体を守る一般的なボディーアーマーより防御範囲が狭い分軽量。機動力を求める部隊、特に特殊部隊などで使用される。
 
 余談になるが、戦国時代の武将の鎧は南蛮胴と呼ばれる西洋のプレートアーマーを参考に[[火縄銃]]の弾を受けても貫通しないように鉄板を使って作られたものも多く、またヨーロッパの胸甲騎兵の鎧も銃弾を防ぐためのテストが行われており、これらも一種の防弾ベストともいえよう。
 因みにソフトアーマーに用いられる繊維は、着用者の発汗などで多量に水分を吸収してしまうと防弾性能が低下する。
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