先端に穴(凹み)があいた弾丸。人体や動物などのソフトターゲットに命中すると、弾頭がキノコの傘のように開き(マッシュルーミング)、目標を打撃する。元々は大型動物の狩猟用に開発されたが、後に対人用にも使用されるようになった。
現在では基本的なジャケッテッド ホローポイントの他、各社から様々な種類の弾薬が提供されている。
・オールレッド ホローポイント(HP)
ホローポイント弾の基本形。文字通りの『All Lead(全鉛製)』で、弾頭が軟らかいため目標命中時に大きく変形する。一方、軟らかく溶けやすいため自動拳銃での使用には適しておらず、現在ではあまり用いられなくなっている。
・セミジャケッテッド ホローポイント(SJHP)
弾頭の先端部以外を銅や真鍮などで被甲(カバー)したホローポイント弾。銃身内部などと接触する部分が硬いメタルで包まれているため、自動拳銃でも使用可能。
・ジャケッテッド ホローポイント(JHP)
先端部分まで被甲されたホローポイント弾。貫通力がやや高い一方、弾頭が変形しにくいが、自動拳銃でも無理なく使用可能。SJHPと並んで、現在のホローポイント弾の主流である。
・シルバーチップ
ウィンチェスター社製。命中時により大きく変形するよう真鍮の代わりに、アルミ、もしくはニッケル・亜鉛合金で被甲されている。弾頭が銀色をしているため、『シルバーチップ』の名がある。
・ゴールデンセイバー
レミントン社製。真鍮で被甲されており、弾頭が金色をしている。基本的にはJHPだが、先端に螺旋状の切れ込みが入れられており、命中すると花びら状に弾頭が広がる。
・ヒドラショック(ハイドラショック)
フェデラル社製。弾頭のくぼみの中に鉛のポスト(出っ張り)が立っているのが特徴。命中すると、くぼみに入り込んだ流体(肉)がポストを中心に広がって、弾頭を押し広げる。また、ポスト部分が変形しないため、ある程度の貫通力もある。
・ナイクラッド
人体内に入った後、有毒の鉛が溶け出さないように、黒色のナイロンでコーティングされたもの。
また、ホローポイントと同様の効果を持つ物に、ソフトポイント弾(soft point)がある。これは先端で鉛がむき出しになっている弾丸で、やはり命中時に軟らかい鉛部分が変形して、体内を打撃する。こちらは先端が平面の物や、一般のライフル弾のように尖っている物がある。
ホローポイント弾は貫通力に劣るほか、弾頭の形状から飛翔速度や射程が低下する弱点があり、遠距離や障害物越しの射撃が多い一般の軍用にはあまり向いていない。一方で殺傷力(ただし、FMJ弾頭によるものと大差のない銃創)やストッピングパワーには秀でており、第三者への流れ弾を防ぐためにも、ローエンフォーサー(治安機関)や対テロ部隊などでは広く用いられている。
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