*プロップガン / Prop Gun [#z52b3fd4]

 主に映画やドラマなどの撮影時に使用する模造・改造銃器のことを指す。「プロップ」とは映画などの小道具のことで、「ステージガン(Stage Gun)」とも呼ばれる。実銃ベースに限らず、SFガジェットのような形だけの模型であるものも含む。

 基本的に実銃を使用する発砲シーンの撮影では、銃口に増炎器をねじ込み、ガンパウダーの代わりにフラッシュパウダーを詰めた空包を使用する。そのため、プロップガンは空砲射撃が行ないやすいように機関部を改造している。具体的には以下のような改造法がある。

・[[ストレートブローバック>ブローバック]]の場合
 ガス圧をあげるため、銃身にチョーク(絞り込み)を加えたり、低いガス圧でも作動するようにスプリングを弱める。

・[[ディレードブローバック>ブローバック]]の場合
 ディレードの機構を殺して、ストレートブローバックにする。例えば、[[ショートリコイル]]([[ガバメント>コルト ガバメント]]など)の場合は銃身のロッキングラグを削り、ローラーロッキング([[H&K MP5>HK MP5]]など)ならローラーを取り外す。[[ガスオペレーション]]([[デザートイーグル>IMI デザートイーグル]]など)の場合はピストン機構を取り外し、ボルトのロッキングラグも削る。

 また、[[サイレンサー>減音器]]などは法的な問題をクリアするため、減音機能を除外している。

 その他、戦争映画などで発砲はしないが1カットで大量の銃が登場するシーンや、ホルスターなどにしまったままで格闘アクションを行なう場合には、暴発しないように機関部を溶接してしまったり、[[ハンマー]]など一部部品を削ぎ落とした無稼働銃やトイガン、ゴム製のダミーなどを用いることが多い。
 ダミー銃の中でも比較的アップに映るカットでは、精密で手に入りやすい日本製の[[エアソフトガン>遊戯銃]](東京マルイのものが大多数)が使用されるケースが多い。ただ、そのためにごく稀なケースとして製品に貼り付けられたままの警告文シールが大写しになることもある。
 なお撮影にあたっては、予備も含めて同じような銃を数丁ずつ用意し、射撃シーン用、ラフなアクション用、アップ用などといった具合に使い分ける。また法的に問題がなくとも、全て火薬使用の実射というわけでもなく、銃火がモロにかかる真正面での撃ち合いのシーンなどでは、俳優の安全を考えて、電球などでマズルフラッシュのみ再現することもあるらしい。

 銃規制が厳しく、実銃が使用できない(あるいは困難な)撮影地の場合は、発砲炎が大きく出るように改造したモデルガンを用意したり、無稼動実銃や電動で薬莢のみを飛ばす特殊なモデルガンを用いて撮影を行ない、発射炎をCGで再現することもある(CGエフェクト全般に言えることだが、不自然に見えることが多い)。
 このような撮影用のモデルガン(特に[[突撃銃]]など)は、実銃と見紛うばかりの精巧な物が多いが、発砲炎だけで排莢しない物も多い。
 また、反動が実銃と比べて少ない物や無いに等しい物も多く、日本の映画などでは華奢な女性がまともに構えずに平気で[[フルオート]]射撃を行なうという[[現実離れしたシーン>ホワイトアウト]]なども存在する。

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