#author("2024-03-01T02:28:53+09:00","default:user","user")
*ブルパップ / Bull-pup [#c9926891]
 機関部を[[銃床>ストック]]のスペースに収めることで後方に下げ、銃身長を切り詰めることなく全体をコンパクトにした構造。従来と違い、グリップより後方に弾倉が配される独特のレイアウトが特徴である。その特異な外観は魅力的なもので、フィクションのなかで登場する未来銃の多くが、ブルパップスタイルでデザインされている。
 機関部を[[銃床]]のスペースに収めることで後方に下げ、銃身長を切り詰めることなく全体をコンパクトにした構造。
 従来と違い、グリップより後方に[[マガジン]]が配される独特のレイアウトが特徴である。
 その特異な外観は魅力的なもので、フィクションのなかで登場する未来銃の多くが、ブルパップスタイルでデザインされている。

 軽便さの向上のため小銃を小型化しようとする場合、[[カービン>騎兵銃]]のように銃身を切り詰めるのが一般的である。だが銃身を縮めた場合、大幅なパワーロスや、騒音、発砲炎の増大、集弾性や命中精度の低下など、さまざまなデメリットを覚悟しなければならない。
 そこで銃身長を維持したまま銃本体をコンパクトにすることが出来るブルパップ構造が古くから研究されてきた。銃身を切らずに、ストック長ぶんをまるまる全長からオミット出来るため、従来の小銃と同等の性能のままで、大幅な小型化が望めるという理屈だ。
 軽便さの向上のため小銃を小型化しようとする場合、[[カービン>騎兵銃]]のように銃身を切り詰めるのが一般的である。だが銃身長を縮めた場合、大幅なパワーロスや、騒音、発砲炎の増大、集弾性や命中精度の低下など、さまざまなデメリットを覚悟しなければならない。
 そこで銃身長を維持したまま銃本体をコンパクトにすることが出来るブルパップ構造が古くから研究されてきた。機関部を銃床のスペースに収めれば、ストック長ぶんをまるまる全長からオミット出来るため、銃身長を縮めずに従来の小銃と同等の性能のままで、大幅な小型化が望めるという理屈だ。
 その歴史は20世紀初頭の[[ボルトアクション]]ライフルにまで遡り、一例として旧[[ソ連>USSR]]では新しい[[7.62mm×39弾>7.62mm x39弾]]用の歩兵銃を開発するに当たって[[AK47>USSR AK47]]以前にブルパップ式のものを既に試作していた。

 しかし機関部が後方にあるブルパップ構造特有の問題もある。特に左利きの射手の場合、空薬莢が顔面に飛んでくるか、排莢口を頬で塞いでしまうため、排莢方向をスイッチできる機構を組み込むか、右利きに矯正する必要がある。近年は、ベルギー製の[[P90>短機関銃/FN P90]]のように弾倉を銃の上に装着して真下に排莢するものや、[[F2000>FN F2000]]のように空薬莢をチューブで前方に送ってから排莢するなど、工夫の施されたブルパップ銃も登場しているが、従来の銃ならば不要な仕掛けを施さなければならないということでもある。
 また、全長が短いゆえに照門と照星の間隔が短く、[[アイアンサイト>オープンサイト]]での照準に不安がある。このため、ブルパップ銃の多くが低倍率望遠の[[光学照準器>スコープ]]を、標準で装備している。
 他にも、弾倉が胴体に近い部位に配置されるため、射撃姿勢のままの弾倉交換が難しく、[[軽機関銃]]や[[システム・ウェポン]]などの[[ドラムマガジン]]やベルトリンク弾薬を収めるような大型の弾倉を使用する銃種では保持が困難となる((実際現存が確認されるブルパップ型軽機関銃は[[QBB-95>PRC QBZ-95]]、及びロシアの銃器メーカで試作的に発表された[[PKP>USSR PK]]のブルパップ仕様、[[G11>HK G11]]の大容量バリエーションLMG11などごく少数である。))、銃床内部が機関部である構造上、体格や装備に合わせてパッド部を調整する機構を組み込み難いうえ、機関部が顔の横に来るので難聴気味になることがある、各操作のレバーをすばやく操作しやすいようグリップハンド近くに配置するのが難しいなど、様々な難点がある。
 さらに、ブルパップ式ライフルはその形状やコンパクトさが災いして、[[銃剣]]の装着や銃剣戦闘に向いていないという評価もあるが、これは最初からそうした運用を想定していないと考えるべきであろう。
 しかし、機関部が後方にあるブルパップ構造特有の問題もある。
 特に左利きの射手の場合、空薬莢が顔面に飛んでくるか、排莢口を頬で塞いでしまうため、排莢方向をスイッチできる機構を組み込むか、右利きに矯正する必要がある。ベルギー製の[[P90>短機関銃/FN P90]]のように弾倉を銃の上に装着して真下に排莢するものや、[[F2000>FN F2000]]のように空薬莢をチューブで前方に送ってから排莢するなど、工夫の施されたブルパップ銃も登場しているが、裏を返せば従来の銃ならば不要な仕掛けを施さなければならないということでもある。
 また、トリガーから機関部までが遠く長大なリンク機構を介する必要があるため構造が複雑となり、良好なトリガーフィールを設定することが難しい。弾倉の位置も問題で、射手の脇の下近くに配置されるため、再装填が従来型のライフルに比べて難しく、[[軽機関銃]]や[[システム・ウェポン]]などの[[ドラムマガジン]]やベルトリンク弾薬を収めるような大型の弾倉を使用する銃種では保持が困難となる((実際現存が確認されるブルパップ型軽機関銃は[[QBB-95及び改修型のQJB-95-1>PRC QBZ-95]]、及びロシアの銃器メーカーで発表された[[PKP>USSR PK]]のブルパップ仕様、[[G11>HK G11]]の大容量バリエーションLMG11などごく少数である。))。
 他にも銃床内部が機関部である構造上、体格や装備に合わせてパッド部を調整する機構を組み込み難い、各操作のレバーをすばやく操作しやすいようグリップハンド近くに配置するのが難しいなど、様々な難点がある。
 また、全長が短いゆえに照門と照星の間隔が短く、[[アイアンサイト>照準器]]での照準に不安がある。光学照準器の使用が一般化した21世紀現在ではあまり問題ではないが、冷戦時代に実用化された[[AUG>ステアー AUG]]や[[SA80>エンフィールド L85]]は低倍率望遠の[[スコープ]]を標準装備とした。当時、光学照準器を主力歩兵銃の標準装備とするのはある意味先進的であった。
 その形状による銃の短さが災いして[[銃剣]]戦闘に向いていないという評価もある。しかしその要因とされる銃剣のリーチは銃の全長ではなく、[[ハンドガード]]を握るフォアハンドから銃剣の先端までの距離で決まるため、ブルパップである事が銃剣戦闘での不利には直結しない。また逆に従来式では携行性を向上させる為に銃身を短縮させたモデルでは構造上の問題から着剣能力を失っている場合が多くあるが、ブルパップ式では従来式の銃身短縮モデルと同程度の全長ながら着剣能力を維持している銃が多いため、むしろコンパクトな銃を携行している状態での近接戦闘を考慮する際には、着剣しての銃剣戦闘という手札を増やせるという点でブルパップ式が有利とも言える。
 なお、ブルパップ式小銃で銃剣戦闘を行った実例としては、2004年のイラクで発生した「ダニーボーイの戦い」などイギリス軍はSA80を用いて数々の銃剣戦闘を行っている。

 80年代には、フランスの[[FAMAS>GIAT ファマス]]、オーストリアの[[AUG>ステアー AUG]]、イギリスの[[SA80>エンフィールド L85]]などヨーロッパで多くのブルパップ[[突撃銃]]が開発されたが、上記のような使い勝手の悪さから大きな普及には至っていない。ドイツの[[G36>HK G36]]のように、後発でありながらあえてブルパップ式を避けた銃((G36も、開発ごく初期の段階では、ブルパップ式も検討されていた。))や、中国のように一旦はブルパップ式([[95式自動歩槍>PRC QBZ-95]])を採用しながら、扱いにくさから従来式(03式)に立ち返った例もある。
 80年代には、フランスの[[FAMAS>GIAT ファマス]]、オーストリアのAUG、イギリスのSA80などヨーロッパで多くのブルパップ[[突撃銃]]が開発されたが、黎明期故に設計が洗練されていなかったこともあり、上記のような使い勝手の悪さから大きな普及には至っていない。
 ドイツの[[G36>HK G36]]のように、後発でありながらあえてブルパップ式を避けた銃((G36も、開発ごく初期の段階では、ブルパップ式も検討されていた。))や、中国のようにブルパップ式の[[95式自動歩槍>PRC QBZ-95]]と従来式の[[03式自動歩槍>突撃銃/PRC QBZ-03]]を平行配備した上で新型の[[191型自動歩槍>PRC QBZ191]]では従来式を採用した国、ポーランドの[[MSBS Grot>突撃銃/FBラドム MSBS]]のようにブルパップ式と従来式の両方をバリエーションとして含んでいる例もある。

 一方、[[狙撃銃]]のような、大型の光学機器に加えて平均的な突撃銃の倍近い重量をもつライフルでは、多少の扱いにくさよりも軽量小型化、あるいは同重量とサイズでより長い銃身長を取れるメリットが注目され、ブルパップ式とされている新型ライフルが少なくない。重量級の大口径ライフルはとくにその恩恵が大きいため、バレットXM500や[[KSVK>ZID KSVK]]など多くの最新[[対物ライフル>対物火器]]がブルパップ式を選択している。
 一方、[[狙撃銃]]や[[対物火器]]のような、大型の光学機器に加えて平均的な突撃銃の倍近い重量をもつ火器では、多少の扱いにくさよりも軽量小型化、あるいは同重量とサイズでより長い銃身長を取れるメリットが注目され、ブルパップ式とされているものが少なくない。ライフルではバレットXM500や[[KSVK>ZID KSVK]]、[[擲弾発射器]]では[[XM25>US XM25]]などがブルパップ式レイアウトを選択している。
 また、アメリカにおいては現行法では「短銃身」のライフルの所持には認可が必要となるため、全長が短いにも関わらず銃身が長いブルパップ式ライフルは、認可なしに合法に所持可能な小型ライフルとして購入できる利点があり、一部では人気がある。こうした利点から既存のライフルをブルパップ化するコンバージョンキット商品も市販例が見られるが、多くの場合そうした「後付け」のパーツはトリガーの引きの悪さの問題が解決されておらず、あまり一般的ではない。

 ブルパップ(Bull pup)の語源について定かではないが、パワフルかつコンパクトという意味で、「ブルドックの子犬」ではないかという説が有力である。((同様の理由で元々競技用にストックやグリップを追加したカスタムハンドガンがブルパップと呼ばれていたとの報告もある))
 
 
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