ブラックホーク・ダウン / Black Hawk Down

2001年,アメリカ映画
監督 リドリー・スコット

 アフリカ大陸東岸に位置する国『ソマリア』。
 際立った産出資源が無く、貧しく、殆どの外国人にとって馴染み薄い国。そこで事件は起こった。

 長らく続いた内乱も統一ソマリ会議(USC)が首都を占領し、ようやくの平和が訪れると思われたソマリアだったが、ここでUSC内部で再び抗争が激化。二派に分裂し再びソマリアは泥沼の内戦へと陥った。これに対し、冷戦終結後の新しい国際秩序を目指す国際連合は、内戦に苦しむソマリア国民を救うべく国連安保決議により国連平和維持活動(PKO)を開始。1993年5月にはアメリカ軍中心の平和執行部隊が派遣され、派閥抗争を和解させ連立政権の樹立を試みようとした。
 しかし国内最大部族であるアイディード派はこれを拒否。単独部族統一を目指し他部族への攻撃を緩めず、アメリカ軍がアイディード派の穏健派幹部を殺害した事から、遂には国連部隊に対する攻撃を開始し、PKO参加兵士に多数の死傷者が出るに至った。これに対抗してアメリカ政府は「能動的」治安維持活動として陸軍特殊作戦部隊の投入を決定する。

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 ソマリアに到着した陸軍第1特殊作戦部隊分遣隊――通称、デルタフォース――を中心とした統合特殊作戦コマンドは、アイディード派幹部の拘束作戦を開始。次々と拘束されるアイディード派要人によりアイディード派は弱体化し、平和維持活動は順調に終わりを迎えると思われた。だが運命の1993年10月3日、いつもの様にアイディード派要人捕縛のため首都モガディシュ市街地にデルタフォースレンジャーによる混合部隊が強襲作戦を開始。MH-60Lブラックホーク、MH-6リトルバードなど計16機のヘリを投入する大作戦は難なく要人の確保に成功し、いつもと同じ様に作戦成功する筈だった。1発のRPGにより、ブラックホークが撃墜されるまでは――

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 墜落するブラックホーク。混迷を極める救出作戦。
 アメリカ兵士は与えられた命令と自分達が生き延びるため、ソマリア民兵は自派閥の利益と殺された肉親・友人のため銃を構える。銃口の先には“敵”兵士。そこには正義や理念など存在しない。そして兵士は引き金を引く。

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D・ボーイズ(アメリカ陸軍第1特殊作戦部隊分遣隊:デルタフォース)

配置登場人物武器名備考
ビル強襲部隊ジェフ・サンダーソンコルト M727*1ダットサイト*2タクティカルライト*3装着
M1911A1
レミントン M870*4フォールディングストック?モデルだがストックレス
ノーム・'フート'・フーテンコルト M727タクティカルライト装着
迷彩塗装
コルト M4カービン強襲作戦前日のシーンで所持
アクセサリー・塗装箇所はM727と同じ
ブローニング M2ハンヴィーに搭載
USSR SPG-9ソマリア民兵のテクニカルに搭載
US M67破片手榴弾信管部にテープを巻く
クリス・'ウェックス'・ウェクスラーコルト M727ダットサイトタクティカルライト装着
M1911A1
狙撃要員
(スーパー61)
ダニエル・ブッシュコルト M727ダットサイトタクティカルライト装着
迷彩塗装
狙撃要員
(スーパー62)
ゲイリー・ゴートンコルト M733ダットサイトタクティカルライト*5サプレッサー装着
迷彩塗装
M1911A1
ランディ・シュガートスプリングフィールド M14ダットサイト装着
迷彩塗装
コルト M16A2
H&K MP5A3初期型
M1911A1
ビル強襲部隊デルタ隊員コルト M727
コルト M733
コルト CAR-15XM177E1風のハイダーを装着
ダットサイト装着
迷彩塗装

レンジャー(アメリカ陸軍第75レンジャー連隊)

所属登場人物武器名備考
指揮チームマイク・スティールコルト M733
ベレッタ M92FS
チョーク4マット・エヴァーズマンコルト M16A2
エド・ユーレクコルト M16A2
スコット・ギャレンタインコルト M16A2
マイク・クースコルト M16A2
ジョン・グライムズコルト M16A2M203装着
ショーン・ネルソンサコー M60
ランス・トゥオンブリーFN M249200発マガジン
ジョン・ウォデルFN M249同上
ジェイミー・スミスコルト M16A2M203装着
トッド・ブラックバーンコルト M16A2
マイク・グッデイルコルト M16A2
カート・シュミッドコルト M733
ベレッタ M9発砲なし
デイル・サイズモアFN M249200発マガジン
チョーク?ロレンソ・ルイスコルト M16A2コブレイ CM203装着*6
TDS M72携行しているのみ
チョーク2トム・ディトマソTDS M72
コルト M16A2
車輛部隊ダニー・マクナイトベレッタ M9
ドミニク・ピラブローニング M2ハンヴィーに搭載
ジョン・マドックスベレッタ M9
クレイ・オシックコルト M16A2
ケイシー・ジョイスコルト M16A2
ケニー・トーマスコルト M16A2
リチャード・コワルスキーコルト M16A2
チョーク
車輛部隊
レンジャー隊員コルト M16A2
コルト M733通信兵が所持
FN M249200発マガジン
サコー M60ハンヴィーに搭載
ブローニング M2

第160特殊作戦航空連隊

登場人物武器名備考
マイク・デュラントH&K MP5A3初期型
コルト M733ゴードンのもの
ブラックホークの機付長GE M134ブラックホークに搭載
スター41副操縦士H&K MP5リトルバードの機内から応戦
バーバー52機長他GE M134リトルバードの武装
ティム・ウィルキンソン*7コルト M733発砲なし

ソマリア人

登場人物武器名備考
モアリムUSSR AKS74U
ブローニング M2テクニカルに搭載
アブディPRC 56-1式自動歩槍発砲なし
武器屋PRC 56-1式自動歩槍実演射撃
H&K G3A3商品
木製ストック?ハンドガード
USSR PK商品
USSR RPG7
民兵PRC 56-1式自動歩槍
H&K G3A3木製ストック?ハンドガード
USSR RPK
サコー M60ネルソンが撃つ時とは発砲音が異なる
USSR RPG7光学照準器付きもあり
USSR トカレフ
コルト M16A1発砲なし
USSR ドラグノフ
ブローニング M2テクニカルに搭載
USSR SPG-9
USSR DShKMテクニカルに搭載
発砲なし

 映画として盛り上がりには欠けるとの批判も有るが、約2時間ひたすら戦闘により状況が進んでゆく半ドキュメンタリ−映画。
 同日同場所で実際に起こったアメリカ軍統合特殊作戦コマンドによる誘拐作戦と、ブラックホーク撃墜による市街戦と救出作戦――後に『ブラック・シーの戦い』と呼ばれる――を描いた映画。アメリカ側の視点による攻撃側が防御側にまわる様、孤立する部隊、次々と死んでゆく戦友達、そして脱出までを描いている。

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この度の戦に臨む胆力をもたぬ者は去ぬるがよい
 
そのような男とともに死ぬのはまっぴら故、早速に去ぬらしむべく旅費をあたえよ
 
今日を生き延びて無事に帰郷する者は、年が巡りこの日の来る度に、自らを誇りに思い
 
近隣の者に古き傷痕を示し、戦いにおける大手柄を尾鰭を付けて語るであろう
 
この物語は父から息子へと語り継がれ、今日よりこの世の果つる日まで我々は記憶に留むるであろう
 
我ら少数は、我ら幸せなる少数は、兄弟の群れである
 
なぜなら、私と共に血を流す者は、私の兄弟となるからである
 
また、行くことを恐れた者達は、我々がいかに戦って共に死んだかを聞くとき
 
我が身の卑しさを思い知るであろう
 
 
ガリソン将軍による戦死者追悼式での演説文(《シェイクスピア》ヘンリー5世の台詞からの引用)

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このページの画像はDVD版「ブラックホーク・ダウン」の物です。
著作権等、一切の権利はポニーキャニオンが有しています。


最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 原作だとデルタや衛生兵がCAR15を使っているという記載がありましたが、M727をM16系カービンということでまとめてCAR15と呼んでいたんでしょうか?それとも本物のCAR15だったんでしょうか? -- 2014-07-24 (木) 00:14:05
  • 原作では「M16系カービンの通称」として使われてた筈です。というか「本物のCAR−15」というのは本来、「コルト製のM16/AR15すべてのこと」ですから。レンジャーがA2なのに、デルタ全員がベトナム以来の最初期の"CAR15 GX5857"だったというのはムリがあるかも -- 2014-07-24 (木) 02:15:31
  • 返答ありがとうございます。 -- 2014-07-28 (月) 19:06:45
  • 返答ありがとうございます。原作でグリッツがベトナム時代からいるとかいう話があったので、ちょっと気になって。 -- 2014-07-28 (月) 19:09:17
  • これって舞台が1993年?ドットサイトがAimpoint社のCOMP Mっていうけど映画ブラックホークダウンで使用されてるドットサイトのモデル(CompM2 M68/CCO)見ると1993年にあったのか?
    Aimpoint公式サイト見ると1993年にこの形状のドットサイトはないと思うが…。ハリウッドのミス?
    ttp://www.imfdb.org/wiki/Black_Hawk_Down#Colt_Model_727 -- 2017-07-15 (土) 12:32:40
  • 普通に時代錯誤についてはそこに書いてあるだろ?読んどらんのか?理由の方は不明だが単に稼働する現物が既に入手不可能だったというのが妥当だろう。 -- 2017-07-15 (土) 12:42:56
  • ↑なるほど。ありがとう -- 2017-07-15 (土) 12:46:17
  • M4カービンですが項目に作品名がありませんでした。 -- 2024-02-16 (金) 18:54:55
  • リンクを貼っておきました。 -- 2024-02-16 (金) 20:19:55
  • ↑ありがとうございます。 -- 2024-02-16 (金) 21:03:44
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*1 カットされたシーンで、使用弾のグリーンチップが、ボディアーマーを付けない民兵に対してストッピングパワーに欠けることを、フートがサンダーソンに指摘する。原作でもサンダーソンのモデルであるポール・ハウ一等軍曹がこの件について嘆いている。
*2 劇中登場するドットサイトは、全てエイムポイント社製コンプMである。
*3 銃身下部に装着し、リモートスイッチをハンドガードにテープで固定。これはM727を使用する他のデルタ隊員も同様。
*4 背にスリングで担いで携行。カットされたシーンにおいて、ドアエントリーに使用。原作によるとポール・ハウ一等軍曹はマスターキーを装着したCAR-15を使用していたので、その設定を引き継いでいると思われる。
*5 ハンドガードにテープで固定。
*6 ただし基地での出撃準備のシーンでは装備していない。
*7 原作ではアメリカ空軍のパラジャンパー(PJ)。作中ではデルタ・フォースの装備をしている。

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