*フランジブル弾 [#cda8e822]
 人体以外の硬い構造物に当たると、弾頭が砕けるように設計された弾丸。
 これは一旦粉末状にした銅や錫、亜鉛などの金属を押し固めたもので、狙いがそれて周辺のアスファルトやコンクリートの壁、または航空機の機内壁面に当たっても、跳弾や貫通することなく弾頭はそのまま細かく砕け散ってしまうため、無関係の第三者を傷つけることを最小限に抑えられる。また、標的(人体)に命中した場合に発生する貫通弾による二次被害も同様である。
 なお、鉛を弾芯とする弾と比べ、フランジブル弾は金属粉の塊であるため、ライフリングへの食い込みが少ないという特徴があり、遠距離での命中精度に問題があるという声もある。
 代表的なものとしては、『グレイザー セフティ スラッグ』(略称『GSS』)がある。直訳すると『安全弾薬』、もしくは『安全弾頭』だが、非殺傷性弾薬ではなく、『流れ弾で他に被害を出さないので安全』という意味である。
 GSSは弾頭内部に多数の散弾を内蔵しており、人体に命中すると弾頭先端の白銅製の被甲(カバー)が外れ、体内に多数の散弾をばらまく。弾頭が貫通しないので、エネルギーが最大限体内に打ち込まれ内臓が破壊されるため、(『安全弾薬』という名前とは裏腹に)非常に殺傷力が高い。
 類似する物として、人体に命中した時点で弾頭が分解する『スパルタン弾』などもあるが、あまりの残虐性ゆえか、はたまた高コストであるためか、公的機関で広く採用された例はないようだ。

 近年、アメリカのキルゴール(キルゴア;Kilgore)社から、ウルトラフラグ・エンバイロセーフ・アモ(Ultra-Frag Enviro-Safe Ammo)という新型のフランジブル弾が発表されている。これは対テロ作戦など狭い屋内での制圧戦の際、流れ弾の被害を抑えるのが主目的で、[[拳銃]]弾中心だったGSSとは異なり、[[ライフル>小銃]]や[[ショットガン>散弾銃]]用の弾薬も供給されている。室内戦闘でも強力な弾薬が使用されるようになった昨今、新たな側面からフランジブル弾に光が当たりつつあるようだ。
 なお、ウルトラフラグ・エンバイロセーフ・アモは、鉛毒の被害を防ぐため、弾頭に鉛を使用していないのも特徴である。
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