リボルバーのシリンダーには、通常、外側に「フルート」と呼ばれる溝が彫りこんでいる。装弾数6発のリボルバーなら6本、5発のリボルバーなら5本の溝が刻まれていて、リボルバーの外見的特徴となっている。
薄い金属板を折り曲げたり樹脂で一体成型するオート・ピストルのマガジンと違い、レンコンのような形をしたリボルバーのシリンダーはそれだけでかなりの厚さと重さがある。そこでフルートを彫りこむことによってシリンダーの余分な肉をそぎ落とし、軽量化することができる。リボルバーに限らず拳銃の長所が携帯性である以上、実用的な問題がない限り重量は軽いほうがいい。
またシリンダーはリボルバーの構造上、1発ごとに回転して次弾を繰り出す仕組みになっている。ラチェット(シリンダーノッチ)などの防止装置が組み込まれているためほとんどそうした心配はないものの、シリンダーが重すぎると、”回転時の慣性でオーバーランしかねない”という可能性も、軽量化の理由の一つになっている。
ノンフルートシリンダーはハンティングや射撃愛好家向けの銃―特に44マグナムクラス以上のハイパワー弾薬を用いるモデルに採用されることが多い。
通常モデルはフルート付きのシリンダーを、パワーアップモデルは強度確保のためノンフルート・シリンダーを搭載するという図式が一般的だが、S&W社のS&W M500などは銃そのもののサイズがこれまでのリボルバーに比べ桁ハズレに大きいため、フルート付きのシリンダーでも十分な強度が確保できている。
なお、古い設計のリボルバーでもフルートなしのモデルがあるが、こちらは時代的にフルートを刻むのが一般的ではなかったことと、使用弾薬が小型だったためシリンダー径も小さく、軽量化の必要が薄かったためである。
最新の10件を表示しています。 コメントページを参照