ナイツ・アーマメント・カンパニー / Knight's Armament Company (KAC)

 アメリカ・フロリダ州タイタスビル(Titusville)に社を持つ、銃器及び銃器関連パーツ製造メーカー。
 RIS/RASを開発したことが特に有名である。

 KACは1982年にM16の父、ユージン・ストーナーの「ファン」であるリード・ナイトJr*1によって設立された。

 設立者リード・ナイト氏は、父親にB-25パイロットを持つ軍人の家系に生まれた。元々生まれ付きの機械好きで、軍に6年勤めた後は機械関係の会社を経営、銃や車を買って楽しむ典型的な戦後のアメリカ人であった。そんな彼の運命を変えたのは、軍・法執行機関向けコンベンションで展示されていたストーナー63との出会いである。彼はその時までストーナー氏の存在を知らなかったが、この画期的な銃を知ると彼はストーナー氏に大きな興味を抱いた。彼について調べて行くと、国民的ライフルであり、彼もその一つを所有するAR15の開発者であると分かり、彼はストーナー氏の「ファン」となった。これ以後、彼は全財産をかけて彼の痕跡を追い続けることとなる。
 一方、当のストーナー氏はAR15のパテント代によって莫大な資産を手に入れると、自らの追い求める理想の銃器の開発環境を追求して各地を転々としており、その行方は杳として知れなかった。
 そんな中、1974年、ナイト氏の知人で、シークレットサービスからSEALsへと転属した人物から連絡が入る。当時SEALsに採用されていた多くのM63が修理が必要な状態にあったが、ストーナー氏がキャデラック・ゲージ社を離れたことで生産ラインの建造計画が凍結され、修理できる者が居ない状態だったのである。そこで白羽の矢が立てられたのが、ストーナー氏の「マニア」として知人に知られていたリード・ナイト氏である。彼はSEALsからM63を受け取ると、彼が収集したM63のパーツを参考に見事修理を行う。この一件が縁となり、彼はMk.22 ハッシュパピーの改良など、多くのSEALsの装備を改修。1982年、リード・ナイト氏は米軍特殊部隊用の装備を研究・開発・検証する「ナイツ・アーマメント・カンパニー」を設立するに至った。
 そしてその8年後。自らが共同設立したアレス社にも満足せず退社したストーナー氏は、かつてコルト社に製造件が売却され、開発に携わるのを諦めていたAR15の最新の研究を、軍と共同で行っているという会社の存在を聞き付ける。1990年、こうしてリード・ナイト氏とユージン・ストーナー氏は出会った。政府という資金潤沢な顧客、リード・ナイト氏という最大の理解者を得て、ストーナー氏はようやく最高の開発環境を手に入れたのである。*2

 1993年に米軍に採用されたSR-25は海軍特殊部隊SEALから高い評価を受け、イラク戦争を通じて様々な改良を経て、遂に海兵隊を始めとする各種米軍特殊作戦群の制式マークスマンライフルとなっている。

 その後、前述のRISを生み出しKACの名を世界中に知らしめた。RISはさらに改良/強化され「RAS」にアップグレード、M4/M16用以外にMP5用も製造するなどその規模を拡大していき、近年ではアメリカ特殊作戦司令本部(U.S.SOCOM)の要請で開発されたSOPMOD-1(=Special Operations Peculiar Modification-1,特殊作戦用装備-1)M4用キットに組み込まれて軍に納入されるなど、アメリカ銃器産業界の中でも重要な会社の1つに成長した。

 現在ではレール装着用の各種アクセサリーのほか、小火器用サプレッサーや、UNS(Universal Night Sight)ナイトビジョンスコープなども製造している。
 SOPMOD-1の後継で開発中のSOPMOD-2用レイルシステムの入札にも参加している模様。

 また、民間市場向け商品はKACの一部門であるナイツ・マニュファクチャリング・カンパニー(KMC)が担当している。
 
 M16の生みの親たるストーナー氏の技術を継ぐメーカーとあって先進的で実用性重視のイメージがあるが、実際には拳銃弾を使用するリボルバー式ライフルなど数多くのイロモノ銃を作成している。

PDW

名称備考
PDW2006年に発表、専用の6mmx35弾を使用するPDW

突撃銃

名称備考
SR-15セミオートオンリー、民間・法執行機関向け
SR-16セレクティブファイア、軍用向け
SR-477.62mm x39弾仕様に改修したモデル
AK47シリーズのマガジンをそのまま使用可能な特製レシーバーを有する
量産はされず、わずかに7挺が製造されたのみ

小銃

名称備考
リボルバーライフル

自動小銃

名称備考
SR-25
US M110 SASSSASS=Semi-Automatic Sniper rifle System
SR-25の発展型で、レバー類がアンビ化されたアメリカ陸軍制式採用モデル
Mk.11 Mod 0SR-25のアメリカ海軍/アメリカ海兵隊納入モデル

軽機関銃

名称備考
LMG

散弾銃

名称備考
マスターキーレミントン M870を使用したアンダーバレル・ショットガン・モジュール

擲弾発射器

名称備考
M203

対物火器

名称備考
SR-50試作モデルが製造されたのみで開発中止

公式サイト

Knight's Armament Company


最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • リード・ナイト氏の経歴、英語記事でも少なかったので謎でしたが、詳細なインタビューがあったためとりあえず取り急ぎ掲載。銃火器マニアがSEALsの知人から修理を依頼されて才能を発揮、憧れの人物と共に働く事になるとかどんなラノベか・・・・・・ -- 2016-08-28 (日) 19:04:46
  • M870マスターキーについて知りたいです。日本語のサイトだとトイガンばかりが出てきて実銃に関する情報が見当たりません。どなたか情報の追記をお願い致します。 -- 2016-09-02 (金) 04:26:52
  • 創始者のフルネーム、チャールズ・リード・ナイト・ジュニアだったのね -- 2017-07-03 (月) 11:28:38
  • イギリス陸軍・海兵隊に配備されている制式小銃L85の後継機種として、当社のKS-1が採用されたようです。 制式名称はL403A1となります。 -- 2023-09-10 (日) 19:46:57
  • ナイト御大はLAMGの動画に映っている白髪の恰幅のいいかたでしょうか? -- 2024-02-23 (金) 12:37:27
お名前:

*1 日本語圏ではかなりの頻度で間違われているが、ナイツ氏ではなくナイト(Knight)氏である。会社の方はその所有物なのでナイツ(Knight's)になる。
*2 以上、SmallArmsReview誌によるリード・ナイトJr氏のインタビューに依る。 ttp://www.smallarmsreview.com/display.article.cfm?idarticles=1222

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