アーマライト AR10 / Armalite AR10 【自動小銃】

AI社製 AR10
全長重量口径装弾数発射速度発射形式製造国
1050mm3.29-4.05kg7.62mm×5120700発/分S/Fアメリカ、オランダ

 アメリカの航空機メーカー「フェアチャイルド」の銃器製造部門「アーマライト」で開発された自動小銃ユージン・ストーナー開発の傑作「M16」の元祖で、1956年に発表された。M14とほぼ同時期に開発された、アメリカの第一世代突撃銃である。
 アーマライトが航空機メーカーの一部門ということもあって、AR10はアルミ合金をはじめとする航空機用の強固かつ軽量な素材がふんだんに取り入れられた。これら素材の採用で極めて軽量に仕上がった一方、射撃の反動はマイルドでフルオートマチック射撃の制御がごく容易だった。同口径のFALのように、制御が困難であるからと後になってフルオートが取り払われるということもなかった。これは当初、より強力な.30-06弾の使用を前提として設計されていたことも大きかったらしい。また、セミオートマチックでの射撃も高精度で良好と、扱いやすく高性能な、非常に優秀なライフルだったようだ。

 AR10は、当時行われていたアメリカ軍のM1ガーランドの後継銃トライアルに提出され、T44E4/T44E5(のちのM14)やFALとその座を競っている。AR10は(当時としては)その先進的過ぎる外観から敬遠された、とも言われるが、実際にテストした陸軍スプリングフィールド国営造兵廠のスタッフらの反応は上々で、評価も他の候補銃より高いものだった。
 しかし、耐久テストで、アルミとスチールで作られた複合素材バレルが酷使に耐え切れず破断してしまい、採用を逃すこととなった。ストーナー自身は強く反対していたものの、当時のアーマライト社長ジョージ・サリバンの指示によって当のバレルを有したモデルが提出された結果だった。以降の製造モデルでは通常のスチール製バレルとなっている。
 
 実はAR10は、大きく二種に分けられる。M16の原型となったAR10と、逆にM16をもとに大口径化したAR10である。外観・構造上の最も大きな差異はチャージングハンドルで、元祖AR10はレシーバー上部のキャリングハンドル内に覆われる形でハンドルが配置されていた。機構こそ同様のリュングマン方式?ではあるが、言ってみれば、元祖AR10と後者は別物である。
 さらに後者は、AR15が完成した直後に作られたAR15ベースの「AR10a」と、フェアチャイルドアーマライトが買収された後に「アーマライトInc」となってから作られたM16A2(AR15A2)ベースの「AR10B」の二種が存在する。
 AR10aはさっぱり受けなかったものの、1995年に開発されたAR10Bはさまざまなバリエーションが展開され、一定のシェアを築いている*1
 AR10Bは、先行する*2SR-25を元に開発され、プロトタイプ自体がSR-25のアッパーアセンブリに合わせてパーツを形成する形で設計された。この現行AR10は、近年のバトルライフルの需要に伴い、各社から登場したDPMS LR-308、ラルーOBRLMT MWSなどのさまざまなカスタマイズモデルやクローンのベースとなっている。
 2012年には、サードパーティ製マガジンを使用可能とした「AR10A」が登場している。これは要するに、ベストセラーの社外製マガジンであるマグプル製の「P-MAG 20LR」に合わせた製品である。このマグプルの.308口径用P-MAGは、もともとナイツのSR-25/M110に合わせて設計された製品であり、アーマライトのAR10には未対応であった。近年登場した後発の他社製モデルは、当然のようにP-MAGに対応した設計であったため、取り残される形となっていたアーマライトもようやくこれに沿うこととなった。

 元祖AR10は1957年に、オランダのAI(Artillerie Inrichtingen/アーティラリエ・インリッチンゲン)社に製造権が売却されている。1960年までにAI社によって10000挺ほどが製造され、グアテマラ、ビルマ、イタリア、キューバ、スーダン、およびポルトガルに販売された。
 わずかに民間向けにセミオートオンリーとされたものもあるが、そのほとんどが軍用のフルオート射撃可能なモデルだった。これらは購入した各国の軍隊で限定的に配備され、その多くがアフリカの紛争地帯で活躍した。スーダン特殊部隊やポルトガル空挺部隊などの精鋭部隊で苛酷な戦闘を経験し高く評価されたほか、鹵獲されてそのまま隣国の準制式ライフルとなったり、ゲリラの手に渡って革命に使われるなど様々な運命を辿っている。 

登場作品ジャンル使用者備考
うぽって!!項目参照
学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD項目参照
ガン・ブラッド・デイズ項目参照
偽典・女神転生項目参照
ジオブリーダーズ項目参照
砂ぼうず項目参照
ボボボーボ・ボーボボ漫画コンバット・ブルース
迷い猫オーバーラン!アニメ梅ノ森家の私設武装集団
メタルスラッグ項目参照
傭兵たちの挽歌項目参照

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最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • ただ、64式を開発するにあたってAR-10を参考にした様ですのでいずれにしてもやはり目を付けずにはいられない高性能な小銃であることには変わりないと思います。 -- 2014-04-16 (水) 16:38:51
  • 前回↑でこのAR10は自衛隊に採用される可能性があったのかについて質問した者です。興味深い返答ありがとうございました。私は戦後自衛隊はなぜこんな部品数の多い小銃を改良せず使われ続けたのか、疑問に思い、改良しないなら他の銃を採用すれば良いと思ったからです。この64式を元に改良を施した小銃を是非見たかっです。 -- 名無しの二等兵? 2014-05-08 (木) 16:24:48
  • 小銃に限らず自衛隊の兵器が改良や近代化改修を施されないのは「改良が必要な粗悪な兵器に予算を付けた」と言う風評を恐れてのことだと言う、近代化すればまだまだ使える兵器類が用廃になり、使用実績のない兵器に多額の予算が割り当てられ、現場で不具合が出ても「改良」はされない、そんなことを繰り返してるのが現状 -- 2014-05-08 (木) 21:46:50
  • なるほど、「改良が必要な粗悪な兵器に予算を付けた」と言う風評を恐れてのことは確かにありえそうですね。 -- 名無しの二等兵? 2014-05-11 (日) 14:56:16
  • よその銃のページなのでここで長々と話題を発展させるのもアレですが、その辺の事情については62式言うこと聞かん銃のページもどうぞご残照ください -- 2014-05-11 (日) 17:11:22
  • そうですよね。 -- 名無しの二等兵? 2014-05-12 (月) 10:28:37
  • 他の64式か62式のページにでも質問してみたいと思います。 -- 名無しの二等兵? 2014-05-12 (月) 10:29:56
  • ボボボーボ・ボーボボはコンバット・ブルースが使用。 -- 2014-12-24 (水) 17:26:05
  • 台詞だけですが映画ファイトクラブで、主人公(小説では「僕」)が上司を諭すシーンがあり、誰かがアーマライトAR10ガスカービン半自動小銃を持ってオフィス来るかも、と言っています。 -- 2015-01-10 (土) 18:50:04
  • 映画「海底軍艦」序盤の警察署内のシーンで壁に貼られていたポスターにAR10の写真がありました。製作年当時、銃器雑誌編集者やガンマニア以外の映画製作者・関係者にもAR10は広く知られていたのでしょうか? -- 2019-01-12 (土) 00:34:20
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*1 一方で、小改造を施された元祖AR10スタイルのモデルも、コレクター向けに生産・販売されている
*2 1990年に登場。

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