#author("2021-04-25T22:29:59+09:00","default:user","user")
*アーマーピアシング弾 / Armor Piercing Bullet [#m5811464]

 対象物への貫通力を高めた弾のこと。日本語では『徹甲弾』。
 元々は戦車砲弾のための技術で、大別して大口径ライフルや戦車砲等で使われる運動エネルギー(弾丸自身の貫通力)を活かす徹甲弾と、ロケット砲や[[無反動砲]]などで多用される炸薬の配置や性質を活かした化学エネルギーの徹甲弾(HEAT弾やHESH弾)の2種類がある。
 小口径である[[拳銃]]弾、[[小銃]]弾は弾頭に炸薬を装填するスペースがないため、ほとんどが運動エネルギー利用の古典的徹甲弾である。その中でも、弾丸の硬度と質量によって貫通力を高めるタイプと、高い初速による運動エネルギーで貫通力を高めるタイプがある。
 対象物への貫通力を高めた[[弾薬]]のこと。日本語では『徹甲弾』。Armor Piercingの頭を取ってAP弾とも略される。

 元々は戦車砲弾のための技術で、大別して大口径ライフルや戦車砲等で使われる硬度と運動エネルギー(弾丸自身の貫通力)を活かす徹甲弾と、ロケット砲や[[無反動砲]]などで多用される炸薬の配置や性質を活かした化学エネルギーの徹甲弾(HEAT弾やHESH弾)の2種類がある。

 小口径である[[拳銃]]弾、[[小銃]]弾は弾頭に炸薬を装填するスペースがないため、ほとんどが運動エネルギー利用の古典的徹甲弾である。その中でも、弾丸に用いられる材料の硬度によって貫通力を高めるタイプと、高初速や大質量によって運動エネルギーを増大させて貫通力を高めるタイプ、あるいはその両方を用いたものある。
 拳銃弾の場合はさすがに装甲車まで撃ち抜くことはできないが、物によっては中程度の[[ボディアーマー]]を貫通することができる。
 代表的な物は以下の通り。
 小口径用のものは弾芯(コア:弾丸の中心部にある芯材)に鉄やタングステンなど硬度の高い物質を用いたものが主流である。通常弾に比べて基本的に高価であるほか、単に材質を変更したものは[[フラグメンテーション]]の原理の関係で[[ストッピングパワー]]が劣る場合もあり、弾種としては存在するが軍では実際にはあまり使用されていない。

・''AP(Armor Piercing:アーマーピアシング)弾''
 狭義のアーマーピアシング弾。尖った先端で貫通力を高めており、被甲(ジャケット:弾芯を被う金属)に硬いタングステンなどを用いた物もある。
 また、過去には以下のような特殊な弾頭を用いて貫通力を増加させている弾薬も存在する。 

・''KTW弾''
 アメリカ KTW社開発の拳銃弾。全真鍮製、もしくは弾芯にタングステンを用いている。銃身内での滑りをよくするため弾頭にテフロンコーティングを施されており、このため、弾頭が薄い緑色をしているのが特徴。テフロンコーティングはボディアーマー着弾時にはぎ取られるが、弾頭そのものはエネルギーを損なうことなくアーマーを突き破り、体内に突入する。

・''THV(Tres Haute Vitesse)弾''
 フランス SFM社開発の軽量高速弾。フラットノーズ(平ら)の先端に、突起がついているのが特徴。発射速度は800m/sにも達すると言われ、クラスIIまでのボディアーマーを完全に無力化する。その上、人体に入ったあと先端の突起が『ブレーキ』になってエネルギーを体内に打ち込むため、殺傷力も高い。

・''フレシェット弾''
 [[散弾銃]]用のアーマーピアシング弾。丸い散弾の代わりに、ダーツ状の硬い金属の『矢』を多数ばらまく。
 矢の形状をしたアーマーピアシング弾。先端面積に対して弾体が非常に長いため、空気抵抗が小さく初速が低く、また高い貫通力を持つ。構造上[[フラグメンテーション]]が起きづらいため殺傷力が低い事が判明しているが、それを逆手にとって[[散弾銃]]や[[ランチャー>対物火器]]、砲などで使用する、複数の矢を装填した面制圧タイプの牽制用実包も存在する。

 銃本体に手を加えなくても威力を大きく上げられるのがメリットだが、その分、悪用されると大変な脅威となる。例えばKTW弾は元々警察向けとして開発された弾だったが、TV局に『コップキラー(警官殺し)』として報道されたことから社会問題になり、民間市場における徹甲弾規制の先導となった(実際に警官殺しの事実はなく、当時アメリカの治安が悪化の一途を辿っていたという社会的背景もある)。
 その他のアーマーピアシング弾も、多くは軍・治安機関向けなどに限定して生産・販売されている。
 銃本体に手を加えなくても貫通力を上げられるのがメリットだが、警察や市民団体は悪用を懸念するところも多く、常に規制論に晒されている。例えば徹鋼弾として販売されたKTW弾は、法執行機関向けに開発された弾種だったが、TV局に『コップキラー(警官殺し)』になり得る弾として報道されたことからアメリカ全土の社会問題となり、法的な規制を受けることとなった。当時の検証によって実際には徹鋼弾と呼ぶには貫通力が低いと判明したにもかかわらず、規制は一部の州では現在も有効である。


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