*ダブルアクション / Double action [#fb1dc190]
 [[ハンマー]]が起きてなくても、引き金を引く力でハンマーが連動して起きる([[コック>コッキング]]される)機構のこと。一回のトリガー動作でハンマーがコッキングと発火(ファイアリング)、二つのアクションを行うところからこう呼ばれる。

 薬室に弾が装填されていれば、ハンマーコックなどの余計な動作の必要なくサイトで狙ったまま連射できるため、[[リボルバー>回転式拳銃]]においては[[シングルアクション]]式の銃より使い勝手が良い。しかし、トリガーにハンマーを起こす力がかかる分、シングルアクションよりも引き金を引く距離(トリガーストローク)が長く、かつ[[トリガープル]]が重い。その分、不用意に引いて暴発させてしまうリスクは低くなるものの、[[ガク引き]]を起こしやすくなる。

 リボルバーでは、[[ライトニング>コルト M1877]]で[[コルト]]社がダブルアクション・リボルバーの先鞭をつけたが、その後は[[S&W>スミス アンド ウェッソン]]社が、スムースなトリガープルで評価高いダブルアクションを実現。コルト製リボルバー凋落の一因となった。
 [[自動拳銃]]でも[[ワルサー P38]]を皮切りにダブルアクションが普及していき、現在ではダブルアクションが自動拳銃の標準仕様となっている。ただしリボルバーの場合とは意味が少し違い、初弾ではダブルアクションだが、次弾からは自動的にハンマーがコックされてシングルアクションでの動作となる。

 このようなダブルアクションを備えた自動拳銃が広まっていった頃、ダブルアクション・リボルバーの重いトリガープルに慣れていた人々の間では暴発事故が少なからず発生した。この事態を重く見たアメリカでは、次弾以降シングルアクションとなる機構を敢えて廃したダブルアクションオンリー(DAO)の製品が登場し、初心者や公的機関の間で広まっている。
 更に近年では、スライド操作のさい[[ストライカー>ストライカー システム]]を70%ほどコッキングしておくことでトリガープルを軽くした変則DAOの[[グロック>グロック 17]]シリーズが台頭し、以降の自動拳銃の設計に大きな影響を与えた。[[SIG DAK>自動拳銃/P226]]、[[ワルサー P99QA>ワルサー P99]]など他社の自動拳銃に、同様のトリガーアクションを採り入れた派生型が登場する契機ともなった。
 プリコック式とも呼ばれるこの機構は、シングルアクション並みのトリガープルと、ハンマー操作が不要なシンプルな操作系が特徴である。また万一、落下による故障などで、最悪、ストライカーが弾の雷管を叩いてしまった場合でも、フルコックされていないストライカーでは打撃力不足となるため、暴発のリスクを抑えることができる。しかし、コックor[[デコック>デコッキング]]の線引きがないため、露出ハンマーのように銃の状態を見た目で判別することができず、また、射手の不用意なトリガー操作に対しては無防備に近いという問題もある。

 ちなみに、もともとダブルアクションといえば[[シングルアクション]]と併用可能なものが普通だったが、ハンマーがコック位置で停止しないDAOの機構が普及したため、区別する意味でそれまでのダブルアクションを「コンベンショナル・ダブルアクション(Conventional Double Action)」と呼ぶ場合もある((クラシックDAとかトラディショナルDAと呼ぶこともあるようだ。))(表記上は「DA/SA」などとされるのが普通のようだ)。

----
#pcomment

トップ   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS