システム・ウェポン / System weapon

 システム・ウェポン(System weapon)とは、共通のコンポーネントを流用し、異なるカテゴリーに変更することを前提とした設計の武器のことである。
 銃器の分野では、ドイツのH&Kの開発したG3を始め、同じくH&KのG36XM8。オーストリアのAUGなど、第二次大戦後作られた多くの歩兵用ライフルが、このシステム・ウェポンとして設計された。

 これは、機関部など複雑な部品は設計を流用し、銃身やストック、給弾機構などの最低限の設計変更で、突撃銃カービン軽機関銃などのバリエーション展開を行うというものだ。操作や構造のほとんどが共通しているため、新たな銃器をカテゴリーごとに一から開発するよりも時間がかからず、兵士の教育時間も短くて済み、製造ラインも共通のものを使用できるため低コストと利点が多い。

 また、ユージン・ストーナーが開発したM63では、より進んだシステム・ウェポンとして、単一の銃器を部品交換だけで各種銃器に変更する、という概念が提示された。しかし、M63は、突撃銃などの歩兵用ライフルとして使用した場合は銃そのものが重くなり、機関銃として使用した場合には強度が不足するといった「帯に短し、たすきに長し」の銃となってしまった。

 とはいえ、ストーナータイプのいわゆる"変身銃"はその後、変更可能な火器のカテゴリーが絞られ、AUGやG36などの、モジュール構造のライフルで限定的に実現され、XM8MASADAといった、より洗練された最新ライフルにも継承されている。
 
 なお、モジュール構造のシステム・ウェポンは、部品交換で各種小火器に変更可能といっても、一兵士が臨機応変にその場で組替えて、即戦闘可能。といったものでは全くない。部品交換のたび、作動のチェックはもちろん、ゼロインなどの各調整作業が必須となるためだ。


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