ブルッガー&トーメ VP9 / Brügger & Thomet VP9 【消音拳銃】 †
VP9(Veterinary Pistol。“獣医用拳銃”の意)は、スイスのブルッガー&トーメ社が製造している消音拳銃である。その名のとおり、獣医師が救命の絶望的な患畜を、あるいはハンターや警官が手負いとなった危険な野生動物を、静かにかつ速やかに安楽死させねばならない状況に対応するため、こうした需要に応えるべく2014年に開発された。 作動方式はボルトアクションで、本体後部のボルト操作用ノブを引いて一発ずつ装填・排莢を行うなど、基本的な構造は第2次世界大戦中にイギリスが開発した消音拳銃「ウェルロッド」に酷似している。使用弾薬もウェルロッド Mk.I同様の9mmパラベラム弾で、バッフル式のサプレッサーを被せたわずか5cm長の内蔵銃身に複数の穴を設け、燃焼ガスを逃がすことで腔圧を下げ、弾体を亜音速で発射し、衝撃波を抑制する点も全く同じである。 弾倉はシグザウエル P225のシングルカラムマガジンを使用。これにはグリップを兼ねるポリマー製のシュラウドがはめ込まれており、銃本体から弾倉を抜くことでさらに小型化できるという設計になっている。また、弾倉兼グリップを外した状態でも発砲は可能(ただし、中指でトリガーを引くスタイルになる)。簡易式のアイアンサイトを備えている他、専用のマウントベースをサプレッサーにはめ込めば、タクティカルライトやレーザーサイトも装着可能になる。後期モデルでは、初期モデルには無かったトリガーガードとグリップセイフティ機能が追加されている。 サプレッサーは、アルミ製バッフルを組み込んだ練習用と、シリコン製バッフルを組み込んだ実務用の2種類。減音効果は、練習用は140db程だが、実務用はシリコン樹脂で銃身内を密閉しているため129dbまで下がる。ただし、発砲の度に弾丸がシリコン樹脂を貫くので、発射数が10発を超えると減音効果が低下し、20発程でバッフルの寿命に達するとされている(ただし、バッフルの交換自体は道具無しで簡単にできる)。
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