シュミット・ルビン M1889 / Schmidt–Rubin M1889 †![]()
シュミット・ルビン M1889(以降はM1889と呼称する)は、1889年にスイス連邦が制式採用したボルトアクション小銃である。本銃は世界的に見ても早期に実用化された直動式小銃の代表例である。名称は機構設計者のルドルフ・シュミット少佐と、本銃の弾薬、GP90の設計者であるエドゥアルト・ルビン博士に由来する。 M1889の最大の特徴は、ボルトハンドルの回転を伴わず、単純な前後運動のみで薬室の閉鎖・開放を行う直動式ボルト機構である。従来の回転式に比べて操作動作が短く、熟練射手であれば射撃速度を著しく向上させることのできる革新的な構造であったが一方で、この機構は精密なカム構造と極めて厳密な加工精度を必要とし、製造コストや整備性の面では不利を抱えていた。 使用弾薬はルビン博士が開発した7.5×53.5mm GP90弾であり、無煙火薬を採用したことで当時としては極めて高い弾道性能を示した。黒色火薬を用いる旧式弾薬に比べ、初速・有効射程ともに優れ、スイス軍の火力を大きく向上させた。後にGP90/03、GP11へと改良が進み、弾道特性と貫通力がさらに向上している。 M1889はスイスの精密工作技術を背景に開発された銃であり、冷涼で乾燥した同国の環境下ではきわめて安定した作動を示した。その後、1905年型・1911年型・K31などの後継モデルへと発展し、直動式機構はスイス軍小銃の伝統的設計思想として受け継がれていく。 ここからは余談になる。 一般的な回転ボルト式は開閉の最終3〜5mmをボルトハンドルの回転で処理することで梃子の原理を働かせ、固着した薬莢を強力に引き剥がすことができる。これに対し直動式で同等の閉鎖力を得ようとすれば、複雑なカムやリンク機構を導入せざるを得ず、結果として部品点数の増加・構造の複雑化・整備性の低下・製造コスト上昇を招く。さらに、閉鎖力を増すために回転と前後動の交換比率を変えると前後動のストロークが長くなり、直動式の本来の利点である短ストロークによる速射性が薄れてしまうというトレードオフが生じる。 スイスのM1889では当初のストローク不足が不評だったため、後期型で機関部を延長し弾倉位置を前進させるなどの改良を行い、直動式の中では比較的安定した作動を実現した。だがその改良は結果的に機関部を長くし、速射性の一部を犠牲にした面もある。カナダのロス・ライフル、マンリヒャー系、変形的に直動要素を取り入れたM1895など他国の採用例もあるが、いずれも過酷な実践環境では信頼性に課題を抱え、回転ボルト式に取って代わられる理由を示している。 各種バリエーション †
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