#author("2024-02-15T11:36:18+09:00","default:user","user") #author("2024-03-02T12:39:01+09:00","default:user","user") *エンフィールド ステン / RSAF,Enfield STEN 【短機関銃】 [#gae191f8] #ref(sten_II.jpg,center,nolink,エンフィールド ステン Mk.II) |モデル|全長(伸長時)|重量|口径|装弾数|発射形式|製造国|h |~Mk.I|883mm|3.88kg|[[9mm×19>9mmパラベラム弾]]|32/50|S/F|イギリス| |~Mk.II|762mm|3.02kg|[[9mm×19>9mmパラベラム弾]]|32/50|S/F|イギリス&br;カナダ&br;ドイツ&br;ポーランド| |~Mk.III|762mm|3.24kg|[[9mm×19>9mmパラベラム弾]]|32/50|S/F|イギリス&br;カナダ| |~Mk.IV|442(687)mm|3.61kg|[[9mm×19>9mmパラベラム弾]]|32/50|S/F|イギリス| |~Mk.V|762mm|3.86kg|[[9mm×19>9mmパラベラム弾]]|32/50|S/F|イギリス| |~MP3008|794mm|2.95kg|[[9mm×19>9mmパラベラム弾]]|32|F|ドイツ| |~ザギM91|565(850)mm|3.41kg|[[9mm×19>9mmパラベラム弾]]|32|F|クロアチア| |~ブリスカヴィカ|556(730)mm|3.22kg|[[9mm×19>9mmパラベラム弾]]|32|F|ポーランド| イギリスは第一次大戦の最中より[[短機関銃]]に興味を示しており、戦間期には各国の短機関銃を取寄せて各種の試験や研究を行なっていた。しかし、この研究もまだ途上という時点で第二次大戦中が勃発。イギリスは急遽、アメリカから[[トンプソン短機関銃>短機関銃/オートオードナンス トンプソン]]などの輸入や、ドイツの[[MP28>短機関銃/ベルグマン MP18]]をデッドコピーしたランチェスター短機関銃の採用を決定する。 しかし、この時点で既にイギリス全軍の需要を満たすには不足が明らかであったのに、これに前後してイギリス陸軍が1940年のダンケルク撤退戦で相当数の兵器を放棄したことが追い討ちを掛けてしまった。イギリス陸軍のあらゆる兵器が不足する事態に陥り、各工廠の生産計画は逼迫し、生産に手間が掛かるランチェスター短機関銃をイギリス全軍の需要を満たせるほど生産する余裕が完全に消失してしまったのだ。 このような事態を解決すべく、[[エンフィールド造兵廠>RSAF]]主導のもとBSA(バーミンガム・スモール・アームズ)社のシェパード技師、ターピン技師両名の手によって開発、1941年に制式採用されたのが「9mm STEN Machine Carbine, Mark 1」ことステン短機関銃である。「STEN」とは両技師の頭文字[S・T]とエンフィールド造兵廠の略名[EN]を組み合わせたものである。 作動は[[オープンボルト]]からのシンプル[[ブローバック]]で、クロスボルト式のボタンで[[セミ>セミオート]]/[[フル>フルオート]]を切り替える。[[セイフティ>安全装置]]として、[[コッキング]]ノブをスロット脇の切り欠きに引っ掛けてホールドオープンさせておく仕組みとなっていた。[[マガジン]]を外してロックを解くとマガジンハウジングと一体のポートカバーを回して、排莢孔をふさぐこともできた。合わせて、コッキングノブのセイフティ操作をしておけばコッキングスロットをボルトがふさぐので、携行・運搬のさいに異物の侵入を防ぐごとができた。 ステンは生産性が徹底的に重視され、パイプ鋼材そのままのレシーバーや簡素なトリガーメカニズムを採用したことから、金属加工品の製造できるどんな工場でも生産可能で、ラインズ・ブラザーズという玩具メーカー((後述のステンMk.IIIを設計し、最も多く製造したメーカーである。))の工場でも製造される程であった。Mk.Iでは木製先台や折り畳み式[[フォアグリップ]]などを有していたが、Mk.IIではこれらも廃するほどの簡素化が図られた。 さらに部品の一体化を推し進めて、更なる生産性向上が図られたMk.IIIが作られているが、簡素化が過剰だったせいか不良が続発。このために殆どがイギリス軍に使われること無くMk.IIよりも早くに生産中止となり、残りの在庫は後方で保管されるか空中投下コンテナに詰め込まれてレジスタンスらへばら撒かれた。 ステンは連合国陣営に図面が供与され、カナダとニュージーランドでも生産されたが、枢軸側に占領された各国のレジスタンスらによって密造も行われた。例えばデンマークでは、占領下のマドセン社の工場から鹵獲した[[スオミ M1931>短機関銃/スオミ M1931]]用のバレルをコペンハーゲンの市電修理工場に持ち込み、ステンタイプのレシーバーと合体させ、抵抗活動に使用している。 また、敵国ドイツにおいても、鹵獲品をはじめとするステンガンがドイツ軍で多数使用された。大戦末期には[[マウザー]]社でゲレート・ポツダムの名でコピー製造されたMk.IIが後方攪乱に使用され、終戦直前に作られたコピー銃MP3008は、フォルクスシュトゥルムトルッペ((国民突撃隊;第二次大戦末期にドイツが老人、子供を動員して編成した防衛隊))に供給されている。 ステンの派生型に、Mk.IIに[[サイレンサー>減音器]]を装着したMk.IISと、Mk.Vにサイレンサーを装着したMk.VIがある。共にイギリスが指揮した数々の特殊作戦で活躍し、これに注目したアメリカやオーストラリアも自国の特殊部隊にMk.IIS及びMk.VIを配備させる事となった。 第二次大戦後、英軍が装備するステン短機関銃は、1950年代には後継の[[スターリング短機関銃>短機関銃/スターリング Mk2]]に更新されていったものの、特殊作戦用のMk.IIS及びMk.VIは、スターリングMk.V(L34A1)((スターリング短機関銃のサイレンサー装着型。))が登場する1970年代までの長きに渡って現役であった。また戦中、国外の様々な国に渡ったステン短機関銃は、第二次大戦後も朝鮮戦争やベトナム戦争、中東戦争や印パ戦争などで敵味方双方で使われた。 なお、ステン短機関銃において有名な数々の駄銃伝説であるが、その殆どが、あらゆる工業製品に付き物の初期生産品における不良や、簡素化の進みすぎたMk.III、レジスタンスらによって密造された粗悪なステンによって生まれた不幸な話である。さらに付け足すとすれば、簡素化し過ぎて見るからに安物じみた外見によるイメージも多分にあったと思われる。 ただし、設計に起因する問題もあった。当時の他の短機関銃も同様だが、コッキングスロットは異物の侵入に対し無防備で、セイフティ操作を欠くと途端に故障を誘発し、装填済みのマガジンを差したままコッキングせずにおくと、落下などで後部から強い衝撃が加わったさいに慣性によってボルトが前後し[[暴発>スラムファイア]]を起こすことがあった。マガジンの弾上がりの悪さも定評があり、後継のスターリングのマガジンでは形状を湾曲させ、補強リブやガイドローラー付きマガジンフォロワーなど多数の対策が盛り込まれている。 一方、これらの話とは対照的に、戦後も長く運用された実績を裏付ける話もある。イギリスが北アフリカ戦線で実施した評価試験では、ステンMk.IIはあらゆる要素においてトンプソン短機関銃よりも優れ、特に劣悪な環境に耐え、集弾性も良いという結果であった。しかしながら外見によるイメージは最後まで払底される事は叶わなかった。 // 第二次大戦中にイギリスが短機関銃不足を解消するため1941年に開発した戦時急造型[[短機関銃]]。 // [[RSAFエンフィールド>RSAF]]主導のもとBSA社のシェパード技師、ターピン技師両名の手で開発された(名前の「STEN」は両技師の頭文字[S・T]とRSAFエンフィールドの略名[EN]を組み合わせた物)。[[プレス加工]]を多用したためコストダウンが図られている。 // 町工場でも大量生産できる事を前提に作られた簡易な構造が幸いし、イギリス軍のほかレジスタンス側に大量輸送され、活躍した。 // しかし所詮は急造品、生産性重視の設計が仇となったのか、耐久性や弾倉構造に問題があり「生産直後の状態では弾が出ない」という噂があるほどの駄銃だった(最終型でさえマガジンを満タンにすると全く弾が出ず、使用時には20発程度しか装填しなかった)。「水道管に銃身と引き金とマガジンをくっつけたような」外見からか、兵士達からは「鉛管工のお気に入り」だの「ステンチガン(くさい銃)」だの、クソミソなあだ名まで頂戴してしまったという。 // しかし当時のイギリスではとにかく多くの短機関銃を生産する必要があったことから、数々の改良を施されながら終戦まで生産が続けられた。そのとことん割り切った生産性の高さは他国でも注目され、例えばデンマークでは、レジスタンスが占領下の工場からぶんどったマドセンSMG、[[スオミ M1931>短機関銃/スオミ M1931]]用のバレルをコペンハーゲンの市電修理工場(!)に持ち込み、ステンタイプのレシーバーと合体させ、抵抗活動に使用している。 // さらには敵国ドイツまでが、戦況が日増しに悪化する中、コピー改良銃MP3008を生産。フォルクスシュトゥルムトルッペ(国民突撃隊;老人、子供を動員した半ばヤケクソ気味の防衛隊)に供給している。ちょうどイギリスと攻守入れ替わったところで、ステンガンが登場した格好になる(その他、鹵獲品のステンもドイツ軍で多数使用されている。また鹵獲の少ない大戦初期には後方霍乱の目的でMk2をそのままゲレート・ポツダムの名でコピー製造した)。 // 本家ステンガンも、最終モデルのMk.Vあたりでようやく性能も安定。一部は戦後も引き続き使用された。戦争が多発していた旧英国植民地(パキスタン、インド等)や、イスラエル等でも戦後に使用された記録がある。 ***各種バリエーション [#r8792107] |外観|モデル|特徴|h |#ref(stenmk1.gif,center,nolink,Mk.I)|~Mk.I|最初期モデル。[[フォールディングフォアグリップ>フォアグリップ]]装着| |#ref(stenmk2.gif,center,nolink,Mk.II)|~Mk.II|Mk.Iの簡易型で、最も生産されたモデル。大戦末期に[[マウザー]]社でも製造された| |#ref(stenmk2s.gif,center,nolink,Mk.IIS)|~Mk.IIS|Mk.IIに[[サイレンサー>減音器]]を装着したモデル。特殊部隊向け| |#ref(stenmk3.gif,center,nolink,Mk.III)|~Mk.III|Mk.IIに[[プレス加工]]を施し、より生産性を向上させたモデル&br;最もパーツ数が少なく、最も動作不良が多い| |#ref(stenmk4.gif,center,nolink,Mk.IV タイプA)|~Mk.IV|Mk.IIベースに[[フォールディングストック>銃床]]を装着した、空挺部隊向けモデル| |#ref(stenmk5.gif,center,nolink,Mk.V)|~Mk.V|最終モデル。木製の[[グリップ>銃把]]・ストックが採用され、[[着剣>銃剣]]装置も装備された| |#ref(stenmk6.gif,center,nolink,Mk.VI)|~Mk.VI|MK.Vにサイレンサーを装着したモデル。着剣装置廃止| |#ref(mp3008.gif,center,nolink,MP3008)|~MP3008|ドイツ製コピー。[[MP40>短機関銃/エルマベルケ MP40]]の[[弾倉>マガジン]]が流用可能| |#ref(austen.gif,center,nolink,オーステン)|~オーステン|オーストラリアの独自改良型。フォールディングストック、独立グリップ、フォアグリップを装備| |#ref(zagim91.gif,center,nolink,ザギM91)|~ザギM91|クロアチア製独自改良モデル。レシーバーは[[ポリマーフレーム]]製&br;ピストルグリップ、引き出し式ストックを装備。[[MP40>短機関銃/エルマベルケ MP40]]の弾倉を流用&br;放熱バレルジャケット付きノーマルモデルと、サプレッサー装着モデルがある&br;“ザギ(Zagi)”の名称は、第14回夏季ユニバーシアード((ザギM91の製造工場があるクロアチアの首都・ザグレブは、1987年に行われたユニバーシアードの開催都市。))のマスコットキャラ(リス)の名前に由来| |#ref(burisuka.gif,center,nolink,ブリスカヴィカ)|~ブリスカヴィカ|占領下ポーランドの地下で製造された独自改良型&br;MP40を参考にしたフォールディングストックとグリップを装備。MP40の弾倉を流用する| #br |登場作品|ジャンル|使用者|備考|h |[[007]]|−|−|項目参照| |AKIRA|映画|テロリスト|−| |[[ENLISTED]]|−|−|項目参照| |HERT OF DARKNESS|漫画|丸尾中尉|−| |[[L.A. ギャング ストーリー]]|−|−|項目参照| |アカギ|漫画|兵士|イメージ映像&br;Mk.II| |[[あそびにいくヨ!]]|−|−|項目参照| |アメリカン・ギャングスター|映画|麻薬組織構成員|詳しいモデルは不明&br;麻薬加工場の銃撃戦で使用| |[[荒巻義雄 艦隊シリーズ]]|−|−|項目参照| |イナズマンF(フラッシュ)|特撮|デスパー兵士|[[プロップガン]]| |ウルトラマン80|特撮|ファンタス星人|Mk.III&br;本銃型のビームガン| |[[ウルフェンシュタイン]]|−|−|項目参照| |快傑ズバット|特撮|ダッカー団員|Mk.II| |~|~|東条進吾|ダッカー団員の物を奪って使用| |~|~|ウルフガイ|MK.II&br;手下の物を借りる| |~|~|ナチスジャガー&br;ミスターZ|MK.II| |[[キャプテン・アメリカ]]|−|−|項目参照| |[[グランド・セフト・オートシリーズ]]|−|−|項目参照| |[[クレヨンしんちゃん]]|−|−|項目参照| |[[コール オブ デューティ]]|−|−|項目参照| |[[コール オブ デューティ2]]|−|−|項目参照| |[[コール オブ デューティ3]]|−|−|項目参照| |[[コール オブ デューティ ファイネスト アワー]]|−|−|項目参照| |[[コール オブ デューティ: ブラックオプス]]|−|−|項目参照| |[[コール オブ デューティ ワールドウォーII]]|−|−|項目参照| |[[サクラ大戦]]|−|−|項目参照| |[[サラマンダー]]|−|−|項目参照| |[[ジオブリーダーズ>ダイナマイトが百五拾屯 雑魚キャラコーナー]]|−|−|項目参照| |[[史上最大の作戦]]|−|−|項目参照| |終戦のローレライ|小説|フリッツ・S・エヴナー|MP3008| |[[人狼 JIN-ROH]]|−|−|項目参照| |[[ストライクウィッチーズ]]|−|−|項目参照| |[[スナイパー エリート]]|−|−|項目参照| |[[スモーキン・エース]]|−|−|項目参照| |[[スワガー・サーガ]]|−|−|項目参照| |[[西部警察]]|−|−|項目参照| |セブン・イヤーズ・イン・チベット|映画|英軍グルカ兵|Mk.II| |[[戦場のピアニスト]]|−|−|項目参照| |その名は101|漫画|スペンサー|Mk.II&br;自身の超能力で操作する| |大鉄人17|特撮|ブレイン党員|Mk.II&br;[[スリング]]装着&br;鈍器として使用する者も| |~|~|岩田鉄五郎|ブレイン党員の物を奪う| |[[ダイナマイト刑事(PS2版)>ダイナマイト刑事]]|−|−|項目参照| |[[ドールズフロントライン]]|−|−|項目参照| |どくそせん|漫画(解説本)|−|ボーレン&フォス社製 MP44| |ドリームバスター|漫画|ザッツハウゼンのD・B|−| |バトルフィーバーJ|特撮|カットマン|Mk.III| |[[バトルフィールド1942 ロード・トゥ・ローマ>バトルフィールド1942#q6fb3790]]|−|−|項目参照| |[[バトルフィールド V>Battlefield V]]|−|−|項目参照| |[[バトル・ロワイアル]]|−|−|項目参照| |[[ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝>ハムナプトラシリーズ#oe10f513]]|−|−|項目参照| |[[速水螺旋人の馬車馬大作戦]]|−|−|項目参照| |[[ヘルシング]]|−|−|項目参照| |[[放課後アサルト×ガールズ]]|−|−|項目参照| |ミカドロイド|映画|ジンラ號|劇中名称「一〇〇式短機関銃改(べ式)」&br;[[劇中プロップ>プロップガン]]は、ステンMk2のモデルガンをベースに&br;[[百式機関短銃特型>短機関銃/名古屋造兵廠 一〇〇式機関短銃]]風の[[銃床]]と[[ベルグマンMP18>短機関銃/ベルグマン MP18]]風の&br;バレルジャケットを追加した物| |[[マッドマックス 怒りのデス・ロード>マッドマックス#ob3339f4]]|−|−|項目参照| |ミカドロイド|映画|ジンラ號|劇中名称「一〇〇式短機関銃改(べ式)」&br;[[劇中プロップ>プロップガン]]は、ステンMk2の[[モデルガン>遊戯銃]]をベースに&br;[[百式機関短銃特型>短機関銃/名古屋造兵廠 一〇〇式機関短銃]]風の[[銃床]]と[[ベルグマンMP18>短機関銃/ベルグマン MP18]]風の&br;バレルジャケットを追加した物| |[[メダル オブ オナー]]|−|−|項目参照| |[[ユニバーサル・ソルジャー]]|−|−|項目参照| |[[リーグ・オブ・レジェンド>リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い]]|−|−|項目参照| |リリアとトレイズ|小説|ロル憂国戦線|[[サプレッサー>減音器]]装着もあり&br;第6巻| |[[ワイルド7]]|−|−|項目参照| #hr CENTER:このページの画像は[[シカゴレジメンタルス>http://www.regimentals.jp/]]から転載しています。 CENTER:このページのアイコンは[[ENDOの部屋>http://www1.ocn.ne.jp/~avro504/]]から転載しています。 CENTER:転載に関しては、転載元の転載規約に従って行ってください。 #hr ***外部リンク [#r4cc5a28] ・[[Sten ムービー>http://www.nazarian.no/wep.asp?id=162&group_id=4&country_id=69&lang=0&p=8]] ---- #pcomment