アレス FMG / ARES FMG 【短機関銃】 †
アレス社(ARES Incorporated)のフランシス・ワリン(Francis J. Warin)が1970年代に設計した携帯型短機関銃。FMGとは『Folding (sub)Machine Gun』を略したもので、つまり『折りたたみ式SMG』である。アレス社が著名な銃器デザイナーであるユージン・ストーナーが興した会社であったことから、ストーナー自身によるデザインと広く誤解されているが、実際には1986年にフランシス・ワリンによってパテントが取得されている。 当時、世界各国でテログループなどによる誘拐事件が多発。政府関係者のみならずビジネスマンまでもが標的となりつつあった*1。そこで携帯に便利で、なおかつ大きな火力を持つ自衛用火器として設計された。 奇しくもアレス FMGとほぼ同時期に開発されていた折り畳み式短機関銃が、M21である。アメリカのガンスミス、ユタ・コナーによってUC-9(Undercover 9)の名称で開発されたもので、コナーが銃器ディーラーであったデイブ・ボートマン(Dave Boatman)と組み、彼のショップから発売するに当たって改めて「M21」と名付けられた。この経緯から、「ボートマン M21」或いは「UC M21]といった名称でも紹介される。 しかし、当時発効したフルオート銃の規制法『FOPA86』のため、アレス FMGはプロトタイプにとどまり、M21もごくごく少数が生産されたのみとなっている。この2つの非常に似通った折り畳み式短機関銃が、ほぼ同時期に誕生した経緯と関係性は明らかにされていない。 似たコンセプトの銃として、1990年代にロシア・KBP設計局が開発した「PP-90」が存在する。こちらはFMGにより近いスタイルをしているが、使用弾薬を9mm×18マカロフ弾に改めている*4ほか、折りたたみ式のサイトの追加やコッキングハンドルの改良が行われている。ロシア内務省の特殊部隊向けに開発され、海外への輸出も行われており、このタイプのSMGでは最も成功したモデルである。 2008年には、アメリカのマグプル社が、「FMG-9」という同様のコンセプトの折り畳み式短機関銃を開発している。
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